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はじめに
センター試験の倫理といえば、多くの文系受験生が社会の第二解答科目として選択する科目です。歴史科目よりも暗記量が少なく、簡単に高得点が取りやすいと思われがちな公民科目。しかし、近年のセンター倫理は、決して簡単に高得点を取れる科目ではないんです。実際に、過去数年のセンター倫理の平均点は60点を切ってしまっています…。
ただ暗記をすればいいかと思いきや、いまいち思想の内容が理解できなかったり考え方がつかめなかったりと、センター倫理は意外と厄介な科目です。知識のインプットだけではどうにもできないのです。センター倫理では、問題文・リード文の読解力や思考力も試されます。
今回は、そんなセンター倫理で高得点を取るための勉強法と対策を、倫理ダイスキ受験生だった私が詳しくお伝えしたいと思います!
そんな私も、高校2年の3月に初めてセンター倫理を解いた時は50点しか取ることができませんでした。しかし、きちんと対策をとった結果、センター試験直前の1月には安定して90点以上を取ることができるようになりました!(センター試験本番は、センター倫政で受験をして94点でした。)
この記事を見てくださっているあなたも、センター試験当日に9割が取れるように、私が実践した倫理の勉強法と対策をこれから紹介していきますね。
センター倫理の概要
センター倫理の出題形式
センター倫理は例年、大問4つで構成されています。
第1問が青年期・現代社会分野
第2問が源流思想
第3問が日本思想
第4問が西洋近代思想
例年変わらずこの順で出題されています。
形式は、リード文中の下線に関連した内容について、選択肢の正誤を問う問題が中心となっています。
問題内容としては、文章資料の内容の読解問題や統計資料の読み取り問題、3行以上の文章選択肢が含まれる問題などが出題されています。
とにかくセンター倫理は読む文章が多いです。この文量の多さに怖気づいてしまうことも…。
まず、センター倫理に取り組むときは、国語を受験するような気持ちで臨みましょう。そうすれば、文章量に対する焦りは軽減されると思います。センター対策としては、最初に問題の文章量に圧倒されないメンタルを養うことがキーポイントですね。
センター倫理の特徴
センター倫理の特徴は、“暗記だけでは高得点を取れない”ところです。
センター倫理には、受験生の暗記力だけではなく「読解力・論理的思考力」をじっくり問う意図が明確になっています。
大問の文章全体を読み、趣旨に合致するものを選ばせる問題や、図や表が示された資料を見て文章の正誤を答える問題などは、センター倫理独特の問題です。しかし、これらは特に対策の必要はなく、落ち着いて取り組めば確実に正解を選び出せるようになっているので、問題形式に慣れてしまえば大丈夫です。独特な問題には「慣れ」が一番なので、過去問や予想問題集などを繰り返し解くことで慣れていきましょう。
重複になりますが、問題文の量が多いというのもセンター倫理の特徴です。
一つの問題の選択肢それぞれが3文以上の長文であることもざらです。最初は文量に怖気づいてしまうかもしれませんが、冷静に落ち着いて読めば、確実に正誤の判断は可能です。問題文の量が多いことをあまり気にしすぎないのが一番です。
試験時間は60分ありますが、センター倫理なら時間は余ると思います。今現在、模試などで「時間が足りない!」と感じてしまっている人は危険です。センター倫理は時間が余って当然。と思えるぐらいまで問題集に取り組みましょう!
センター倫理で高得点を取れない理由
過去のセンター試験では2016年度と2015年度は平均点がかなり低迷しています。
これはおそらく全体の文章量が増えたことと、組み合わせ問題ですべての選択肢について、正誤を判断する問題が多く見られたことが影響しています。より深く、正確な知識が受験生に求められました。
センター倫理で高得点を取れない理由は、多くの受験生が“なあなあ”な暗記をしてしまっているからです。ある程度の浅い暗記しかしていないばかりに、選択肢の文章に惑わされ、間違った文章を選んでしまうのです。たとえば、「この思想家といえばこの言葉だ」と安易に判断したばかりに、言葉は正しくても、文章全体としては間違ったことが述べられているというパターンは多くあります。
浅く中途半端な知識だけを頭に入れていては、問題の正誤を正しく判断することはできません。センター倫理では、徹底的な思想の理解が受験生には求められているのです。「各思想家の主張をしっかりと頭にインプットし、自分の言葉でアウトプットできるようにすること」を意識して勉強しましょう。
これを意識し、センター側の意図を十分に理解したうえで対策を取れば、高得点は確実に取ることができます!言ってしまえば、独学でも確実に得点を伸ばすことができる科目がセンター倫理です。
センター倫理の勉強法
教科書をこまめに復習する
授業で倫理を習う人は、毎授業のあとに、教科書を復習することをおすすめします。毎回となると面倒であれば、一週間に一度でも教科書を読みましょう。
センター試験では、教科書を逸脱しない範囲から問題が出題されます。つまり、教科書を覚えてしまえばインプットは完璧です。音読をして覚えるのが個人的にはおすすめですね。やっぱり声に出して読むとそれだけ頭に入りやすいです。
授業で倫理を習う機会がなく、独学だという人は、まず教科書を暗唱することから始めましょう。倫理はそんなに分厚い教科書ではないので、あっという間に読み終えることができると思います。カテゴリーごとに何日かに分けて教科書を読み尽くすことが大切です。教科書ではキーワードが太字になっていたりしますが、ただキーワードを暗記するのではなく、その語句の意味や基本概念を理解することを怠ってはいけません。
教科書で理解できない思想や概念は、資料集でカバーできます!特に近代西洋思想は小難しい思想が多くなってきます。なのでそこらへんは資料集を参考にして、彼らの思想を徹底的に理解できるように心がけましょう!
5W1Hを意識する
5W1Hとは、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素のことです。
倫理の勉強でも、この5W1Hを意識することがポイントになってきます。いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにして思想を展開していったのか。このことを強く意識して思想を理解していきましょう!
センター試験の問題では、「だれがなにを言ったのか」を問う問題が頻繁に出題されます。たとえば、3人の思想家の名前と、それぞれの思想が掲げられ、誰がどの思想を述べたのか正しい組み合わせを選ばせるタイプの問題があります。全部の組み合わせに対して選択肢が用意されているため、消去法が使えない厄介なパターンです。また、「◯◯の思想の説明として最も適切なものを選べ」といった問題で、誤文であっても、全くのデタラメな文章というわけではなく、他の思想家の考えを使っているケースが多々あります。こういった文章に騙されて「この思想聞いたことある!」と安易に選んでしまうと、違う思想家の主張だったりして不正解という失敗は、よくあるパターンです。
そのため、思想だけを覚えたりキーワードだけを覚えたり人物名だけを覚えたりせずに、「だれが(Who)」「なにを(What)言ったのか」をセットにして覚えるようにしましょう!そうすれば、消去法が使えなくても確実に正解にたどり着けますし、他の問題でも誤文を見つけやすくなります!
さらにWho、Whatだけでなく、いつ(When)、どこで(Where)、なぜ(What)、どのように(How)を意識していれば、どの時代のどこで、どんな時代背景や理由があってその思想を展開し、どのように広げていったのかが分かります。そうすればその思想家に関する問題にはバッチリ対応ができるようになります!
なので、いつでも5W1Hを意識した勉強をしていきましょう!
「言葉」を大切にする
倫理の勉強では、「言葉」を大切にすることがポイントです。
倫理で高得点を取れない人は、各思想家の主張や各テーマに関する基本語句と基本概念の丸暗記に終始してしまっている傾向があります。肝心なことは、それぞれの基本語句と基本概念が持つ意味を、用語集などを活用して確かめながら学習することです。丸暗記だけで、言葉の意味を理解していなければ正誤問題でつまずいてしまいます。正誤判断問題では、 “それっぽい誤文”が散らばっています。各思想家の主張を自分の「言葉」で説明できるぐらいの知識は最低限備えなければ、センター倫理に太刀打ちできません。
また、「言葉」をおろそかにしてしまうと、問題本文の趣旨や資料文の内容を正確に読み取らせる問題での失敗にも繋がります。
文脈判断も問われるので、現代文チックな面もありますが、きちんと読めば容易に理解できるものばかりです。「言葉を大切にする」という意識を持ちながら学習をしていきましょう。
名言を覚えるところから入る
思想家の主張を学習する際、その人物の名言や格言を覚えることがおすすめです。
たとえばソクラテスはこんな名言を残しています。
「自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。」
いわゆる、「無知の知」ですね。
思想家たちはみな、私達の心に残るようなさまざまな名言を残しています。
名言や格言を読むことで感動したり驚嘆したりすると思います。そういった感情の揺さぶりがあると、その記憶は頭に残りやすくなります!
倫理は面倒でやる気が出ない…という人は、まず、その思想家の名言を知って、彼らに興味を持つことから始めましょう!そうすることで覚えようという気持ちが芽生え、学習がぐんと進むと思います。
私自身、なぜか中国思想は興味が持てずやる気が出なかったのですが、ふとした時に資料集で孔子の偉業や名言を知ったら、単純に「すごい!」と感動してしまいました。それからはちゃんと中国思想の学習をしたので、得点は安定するようになりました。
どうも倫理の勉強はやる気が起きない…という人はぜひ一度試してみてください!
おすすめ参考書
基礎がまだ…という人におすすめの参考書
『人物で読み解くセンター倫理』は初学者におすすめの参考書です。
イラストもポップで可愛く、内容も蔭山先生の面白いコラムが豊富でかなり読みやすい、カジュアルな感じの本になっています。倫理が苦手で仕方がないという人はまずこれを読んでみてください!人物から思想を理解していくので、イメージがしやすく、言葉の羅列だけの本よりも記憶に残りやすいと思います。

この本は倫理選択に関係なく読んでもらいたい本です。見開きで1人の人物の説明が書かれているのですがこれが本当に面白いエピソードとかがあって飽きません。筆者が「コイツはヤバい奴」とか言って説明していて思想も非常にわかりやすいです。あと英独仏の哲学者は大抵神ありきで話をするのでそんなんチートやんって感じで面白いです。
センター社会の定番参考書黄色本(面白いほど取れるシリーズ)をやる前に3週ほど読みました。 各テーマの中心となる思想家たちの思想や生き様、それぞれの関係性などを手早く楽しく理解することができました。 思想家にスポットライトを当てるのがテーマなので応用倫理・生命倫理・国際社会・青年期のあたりはほとんど触れられていません。 網羅的な参考書ではないのでこのあとに細かい暗記事項やその他思想家の肉付けとして黄色本をやりました。 短期間に周回する前提ならテーマごとに配置されている一問一答のところは飛ばしても構わないと思います。
主要な人物哲学者100人の思想が、人物ごとにそれぞれ見開き1ページで書かれています。 これから倫理の勉強を始めたいという人に読んでほしい参考書です。残念ながら、これ一冊でセンターに挑むことは出来ませんが、内容が面白いので倫理に興味を持つにはもってこいです。 そして先ほど述べた通り、これ一冊では受験には挑めません。高校倫理で扱う哲学者は100人以上いますし、教科書に載っていてもこの参考書には載っていない部分が多くあるからです。なので網羅性の高い山川の「一問一答」と合わせて勉強すると良いかもしれません。 内容も絵も、ここまで面白くてここまでレベルの高い参考書はなかなか無いのではと思います。 気になった方は近所の書店でパラパラっと見てみて欲しいです。受験には使わないおもしろい知識もいっぱい詰まってます。
次に紹介したいのが『蔭山のセンター倫理 パワーアップ版』です。こちらも蔭山先生が執筆している参考書で、初学者や、基本が解らない人におすすめです。講義調になっているのですらすら読めます。思想の流れがしっかりわかるセンター倫理のための対策本です。細かい思想などのすべてを網羅しているわけではありませんが、基本的な理解が進んでいない人には十分なボリュームです。出題が増加している現代社会分野もしっかりサポートした充実感のあるパワーアップ版となっています!安定して7割を取ることを目指したいあなたにおすすめの参考書です。

これで満点が取れるわけではないが、思想家一人一人についてなんとなく理解することができる。 これを読んでなんとなく理解したら問題演習をしまくって点数をあげればいいと思う。
センター倫理(政経)のための第一の参考書。これをしっかり全て暗記すれば過去問で7~8割は安定するはず。ただし、倫理(政経)の勉強ではインプットと同じかそれ以上にアウトプットが重要。読んで覚えたところはすぐにアウトプット系の参考書(単元ごとの過去問集)などで定着させよう。
これ1週間くらいで1周プラスアルファあやふやなところを読み込んだだけで、模試で倫政55点→82点で、ほぼ30点上がりました(笑)(笑)その次の模試でも80超えました!!!嘘やないです!! 政経は正味やってなかったんで、ほんとこれのおかげです(;ω;) 独学してる方にもおススメです! 私は模試や問題集で出てきて、ここに載ってないやつは書き込んで使ってます! 倫理か倫政受験する人!買って!(笑)
8割突破を目指す人におすすめの参考書
8割突破を目指す人におすすめしたいのが鉄板参考書「面白いほど」シリーズです。
先生と生徒の対話式になっているのですらすら読めます。難しい思想もわかりやすく簡単に解説されていて、さらに見やすいように整理された図もあるのでとにもかくも分かりやすいです。これ一冊でセンター倫理の得点を上げることは容易です。使い方としては一周目は赤シートを使わずいっきに全部読みましょう。ざっと読み通すことで思想の流れが理解できます。二周目以降は赤シートを使ってじっくり読みましょう。重要語句がパッと浮かぶようになれば完璧です。この一冊を何度も何度も繰り返せば、高得点間違いなしです!

倫理の勉強してた時期が受験期で一番楽しかったし、多分これのおかげ
読んでるうちにどっぷりハマった 教科書読むのが嫌いだったりする人はいいかも
とてもわかりやすく解説してくれて流れがとりやすいので、楽しく勉強できます。 しかし、センター問題で出てきたわからない単語を引こうとしたら載ってないって事が多々あります。 買うときは倫理用語集と合わせて買うことをお勧めします。 てか用語集だけでもいい(ぶっちゃけ)
9割超えを安定したい人におすすめの参考書
センター倫理では8割超えが安定しているという人には用語集の読破がおすすめです。網羅的参考書では触れない、重箱の隅をつつくような内容まで豊富に掲載されています。普通の参考書じゃ物足りない、まだまだ倫理の深いところまで知りたい!という人は用語集を読み漁りましょう。そうしてしまえば、センター倫理の問題では怖いものなし!です。わたしとしては、山川の用語集が一番おすすめです。用語の横に数字がついているのですが、それは倫理の全教科書11冊で掲載されている数を表しています。たとえば8冊の教科書にその用語が掲載されていれば、用語の横に⑧と書かれてあります。用語の重要度もひと目でわかるのでおすすめです♪
おすすめ問題集
参考書を利用して理解を深めたら、問題集で問題を解きまくり演習をしましょう。
問題集は少し難しめのものを選ぶと、センター倫理でくじけないで済みます。いくつかおすすめの問題集を掲載するので、過去問に取り組む前に、それらの問題集でしっかりとウォーミングアップをはかってくださいね。

ひととおりまんべんなくやりたい人にオススメです。 センター形式の問題がざーっと並んでいる感じなので、1度別の参考書でさらってからやるとすごく身につきますよ^ ^
最後に
センター倫理は、簡単には高得点は取れませんが、しっかりと対策を取れば取るだけ、確実に高得点が取れる科目です。
「いつ、だれが、なにを言ったのか」を意識して知識をインプットしましょう。さらに、問題文中の「言葉」に注意を払いながら、演習を続けてください。焦らずに文章をしっかりと読むことができれば、正しい選択肢を導き出すことができます。
センター倫理の対策はやった者勝ちです!怠らずに取り組めばしっかりと結果がついてきます。今回紹介した参考書をうまく利用して、高得点を取れるようにがんばってください!応援しています。