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はじめに
本記事では連立方程式の解き方をご紹介します。連立方程式が解けない!
というあなた。
連立方程式の怖いところは、ベクトル、三角関数、微分・積分などなど、数学の様々な問題で出てくること。「連立方程式が解けない」とは、「数学のほとんどの問題が解けない」ということを意味します。
連立方程式が解けない人のほとんどは、中学数学がまずあやしいことが多いです。
そこで、この記事では、中学数学から大学受験まで、よく使う解法を、基本である「代入法」と「加減法」から丁寧に説明していきます。
連立方程式をマスターして、数学を得意科目にしましょう!
連立方程式の解き方のすべての基本!「代入法」と「加減法」
それでは連立方程式の具体的な解法を紹介していきます。
まずは基本中の基本、加減法と代入法です。すべての連立方程式はこの2つを組み合わせることで解くことができます。
連立方程式の解き方基本:加減法
加減法とは、わかりやすくいえば
ステップ1:複数の方程式が共通して持つ文字の中から1つの文字を選び、その文字の係数をそろえる
ステップ2:係数をそろえた文字が消去できるように、方程式を足したり引いたりする
この2ステップのことです。
係数とは、文字の前についている数字のこと。「6x」だったら「6」が係数です。
文章だけで理解するのは難しいので実際の例を見てみましょう。
【問題】xとyの値を求めよ。
2x-y=1
x+2y=8
【解説】
まず、説明がしやすいように
①2x-y=1
②x+2y=8
と記号をおきます。
さて、先ほど加減法とは
ステップ1:複数の方程式が共通して持つ文字の中から1つの文字を選び、その文字の係数をそろえる
ステップ2:係数をそろえた文字が消去できるように、方程式を足したり引いたりする
であると説明しました。
xとy、どちらの係数をそろえるかは、どちらでも構いません。
ここでは両方を解説します。
<xの係数をそろえるとき>
②の両辺を2倍すると2x+4y=16 これを③とおく。(…ステップ1)
①2x-y=1
③2x+4y=16
より、①-③で -5y=-15⇔y=3(…ステップ2)
y=3を①に代入して、①⇔2x-3=1⇔x=2
よって求める値はx=2, y=3
<yの係数をそろえるとき>
①の両辺を2倍すると4x-2y=2 これを③とおく。(…ステップ1)
②x+2y=8
③4x-2y=2
より、②+③で 5x=10⇔x=2(…ステップ2)
x=2を②に代入して、2+2y=8⇔2y=6⇔y=3
よって求める値はx=2, y=3
1)複数の方程式が共通して持つ文字の中から1つの文字を選び、その文字の係数を揃える
2)係数を揃えた文字が消去できるように、方程式を足したり引いたりする
連立方程式の解き方基本:代入法
さて、加減法の次は代入法です。
代入法とは、「方程式を他の方程式にはめこむこと」。こちらも例題を用いて詳しく説明します。
【問題】xとyの値を求めよ。
2x-y=1
x+2y=8
(加減法の説明で用いた例題と同じ問題です)
【解説】
まず、説明がしやすいように
①2x-y=1
②x+2y=8
と記号をおきます。
ここで①をよく見ると、移項してy=2x-1という式が作れることがわかります。
これを②に代入すると、 ②⇔x+2(2x-1)=8⇔5x=10⇔x=2
これをy=2x-1に代入すると、y=2×2-1=3
よって、求める値はx=2, y=3
同じことが②でもできます。
②よりx=8-2y
①に代入して、2(8-2y)-y=1⇔5y=15⇔y=3 これをx=8-2yに代入して、x=8-2×3=2
よって、求める値はx=2, y=3
加減法が複数の方程式を足したり引いたりするのに対し、
代入法は1つの方程式を他の方程式にはめ込む、というイメージです。
方程式を他の方程式にはめこむこと
連立方程式「x+2y = 2x-y+9 = 11」の解き方
さて、加減法と代入法がわかったところで、もう少し複雑な問題を解いてみましょう。
【問題】xとyの値を求めよ。
x+2y=2x-y+9=11
【解説】
この問題の少し難しい点は、「複数の式がすべて=でつながっており、一見連立方程式でないように見える」ところ。
ですが、式をバラしてあげれば先ほど解いた「2x-y=1, x+2y=8」と同じ形にすることができます。
つまり、
x+2y=2x-y+9=11は
x+2y=11①
2x-y+9=11②
と同じである、ということです。
ここからは加減法と代入法、どちらを使っても解くことができます。
<加減法を用いる場合>
x+2y=11①
2x-y+9=11②
②⇔2x-y=2 これを③とおく。
①の両辺を2倍して、2x+4y=22 これを④とおく。
④-③⇔5y=20⇔y=4
これを③に代入して、2x-4=2⇔2x=6⇔x=3
以上より、求める答えはx=3, y=4
<代入法を用いる場合>
②よりy=2x-2 これを③とおく。
③を①に代入して、 x+2(2x-2)=11⇔5x=15⇔x=3
これを③に代入して、y=2×3-2=4
以上より、求める答えはx=3, y=4
文字が3つ出てくる連立方程式の解き方
ここまでの連立方程式はすべてxとyという2種類の文字しか出てきませんでしたが、実際は文字が2つとは限りません。
以下の問題を考えてみましょう。
【問題】x, y, zの値を求めよ。
x+y+z = 6
3x+2y+z = 10
x-2y-z = -6
【解説】
文字が3つでも、やることは変わりません。加減法と代入法を用いて、1つずつ文字を消去していきます。
x+y+z = 6①
3x+2y+z = 10②
x-2y-z = -6③
①+③ 2x-y=0⇔y=2x これを④とおく。(…加減法でzを消去し、yをxで表す式を作る)
④を①②に代入すると、(…代入法でyを消去)
①⇔x+2x+z=6⇔3x+z=6⑤
②⇔3x+2×2x+z=10⇔7x+z=10⑥(…あとは⑤⑥を解くだけ!)
⑥-⑤より4x=4⇔x=1が導けて、これを⑤に代入すると⑤⇔3+z=6⇔z=3
また、x=1を④に代入するとy=2。
よって、求める答えはx=1, y=2, z=3
正解できましたか?
文字同士のかけ算が入る連立方程式の解き方
連立方程式の中には、文字同士のかけ算が入っているものがあります。ここでは、そういった連立方程式の解き方を説明します。
連立方程式は「いかに簡単な計算をするか」を考えよう
まず重要なのは、「なるべく複雑な計算をしなくてもよい方法を考える」ことです。
文字が増えていくにつれて、解法もバリエーションが増えてきますが、その中でも1番楽に解が求められる解法を選択するようにしましょう。
以下、問題を通じて解説します。
文字が2つのときの連立方程式の解き方
【問題】xとyの値を求めよ
x+y=5
xy=6
このほかにも、①の両辺にyをかけて②を代入する方法もあります。
ちなみに、②の両辺をxで割って①に代入したりするやり方もありますが、この「文字で両辺を割る」というのは「その文字が0でない」ということを証明しなければいけません。
詳しくは後述しますが、「文字で両辺を割る」以外の解法があるときは、使わないほうが無難です。
文字が3つのときの連立方程式の解き方
【問題】x, y, zの値を求めよ。
x+y+z=6
xyz=6
x+z=y
この問題では、足し算の式が2つ、かけ算の式が1つあります。
当然ですが、yの2次方程式・3次方程式からyの値を求めるのと、yの1次方程式からyの値を求めるのでは、後者のほうがずっと簡単ですよね。次数が低いほど、楽に答えを求められます。
なので、まず足し算の式2つで、文字の値や式をできるだけ次数が低い形で求めます。
そして、それでできた式をかけ算の式に代入し、方程式を解いて値を求めましょう。
足し算の式で文字をなるべく字数が低い形にしてから、それをかけ算の式に代入する
連立方程式の文章題の解き方のコツ
ここでは、連立方程式の文章題について解説します。
基本は「答えとして出す値」を文字にする
文章題でカギとなるのは、「どの値に文字を置くか」です。文字の置き方をすこし変えるだけで、計算のしやすさや式の複雑さが一気に変わります。
基本的には、「最終的に答えとして出す値」に文字をおきましょう。
たとえば、
「1個100円のりんごと1個50円のみかんを合わせて8個買ったら、代金の合計が850円だった。りんごとみかんはそれぞれ何個買ったのか。」
という問題だったら、りんごの個数をx、みかんの個数をyとして式を立てれば、
x+y=8
100x+50y=850
というわかりやすい式がたてられる上、xとyの値が出たらそれを答えとして書けばいいので、余計なミスを犯さずにすみます。
ただ、問題の難易度が上がるにつれて、「最終的に答えを出す値」以外のものに文字をおいたほうがよい問題も出てきます。大学受験の入試問題だと、「何に文字を置くか」ということが問題のメインテーマになる、ということさえあります。
なので、まずは「最終的に答えを出す値」に文字を置き、それで式があまりにも複雑だったり解けなさそうであれば、他のものに文字を置くことを考える、
というやり方が最適だといえます。
「食塩水の濃度」を求める問題で練習してみよう
では、よく出題される「食塩水の濃度を求める」問題で、文章題の練習をしてみましょう。
【問題】
濃度がそれぞれ5%、10%の2種類の食塩水があります。これらを混ぜて、濃度が8%の食塩水を60gつくりたい場合、それぞれの食塩水は何グラムずつ混ぜるべきか。
【解説】
この場合の「最終的に答えを出す値」とは2種類の食塩水の、それぞれ混ぜるべき重さですから、
5%の食塩水の混ぜる重さをxグラム、
10%の食塩水の混ぜる重さをyグラムとおきます。
5%の食塩水xグラムと10%の食塩水yグラムを混ぜた食塩水が、濃度が8%の食塩水になるということは、
0.05x+0.1y=4.8 (…塩の重さ)
x+y=60 (…食塩水の重さ)
であるため、これを解いてx=24, y=36
よって、5%の食塩水は24グラム、10%の食塩水は36グラム混ぜるべき、と導けます。