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はじめに
因数分解とは、「足し算・引き算で表されている数式をかけ算の形に変形する」ことです。数学の色んな場面で出てきます。
そんな因数分解には、公式だけでなく早く計算できる解き方があります。
今回の記事では、「因数分解とは何か?」という基礎的な内容から、解き方の解説や練習問題まで載せています。
因数分解は高校入試だけでなく、高校数学や大学入試でも頻出の単元です。
もちろん、早く正確に計算できるようにしなくてはいけません。しかし、がむしゃらに練習問題を解いていてもできるようにはなりません。
まずはこの記事で因数分解の基本を理解しましょう!
因数分解とは何だ!?
まずは数学を勉強した多くの人が思い浮かべたことがあるであろう、
「そもそも因数分解って何?」
「なんで因数分解しなければいけないのか」
という疑問に答えていきましょう!
因数分解とは何だ!?
因数分解は、簡単に言うと
「足し算・引き算で表されている数式をカッコつきのかけ算の形にすること」です。「展開」の反対ですね。
つまりコンパクトにまとめる式変形のことです。
例えば、
となります。公式・やり方・解き方は後ほど見ていきましょう。
因数分解する意味って?
「因数分解」が
「足し算・引き算で表されている数式をかけ算の形にすること(展開の逆)」
であることが分かりましたね。
では、なぜ因数分解をしなくてはいけないのでしょうか???
それは、因数分解を使うと方程式を解くことができるからです。
これまでに習った1次方程式は
因数分解を使わなくても解くことができますが、
これから習う2次方程式、さらにはその先の3次方程式を解くときには因数分解が必要になります。
高校入試や大学入試で因数分解が必要になリます◎
因数分解の公式と解き方・やり方
ここからは具体的な因数分解の公式や解き方・やり方を学んでいきましょう。
共通する数字・文字・式でまとめる(「共通因数でくくる」と言います。)方法以外に、
基本的な因数分解の方法には2種類あり、
・【公式】による因数分解
・【たすきがけ】による因数分解
があります。
因数分解の基本的な公式
因数分解でまず大切なのは公式です!
考えながら因数分解をしていると時間がかかりますが、
公式に当てはまる形であれば考える間もなく答えを出すことができます!
【2乗公式】
になります。(a,bには具体的な実数が入ります。)
④はたすきがけという方法で因数分解するほうが理解が深まるので覚えなくても大丈夫です。
いきなりaやbが出てきた公式そのものを覚えることは出来ないので公式表を見ながら具体的に問題を解いて覚えていきましょう!
【3乗公式】
三次式の因数分解の公式も4つあります。
覚えにくいので何回も問題演習しましょう!
例題はあなたの持っている教科書や問題集に載っているはずです!
自分で問題を探したり、手を動かして解いてみることが最も大切です。
二次式なら、たすきがけで因数分解!
たすきがけという因数分解の方法は、二次式で因数分解できるものであればどんなものでも使えます。
早く計算できるようになるには、
「慣れること」
が最も大切です。
慣れてしまえば、たすきがけも一瞬でできるようになります!
【たすきがけ】
たすきがけとは、下のような図を使って因数分解をする方法のことです。
左側の大きなバッテンがタスキをかけている様に見えるためにたすきがけという名前になっています。
◯ばかりで何がなんだか分かりませんね(笑)
でも安心してください。
この記事を読み終わる頃には、たすきがけの図の使い方もバッチリ分かるようになっています。
図を使いながらたすきがけでの因数分解のやり方を見ていきましょう!
例として、
を、たすきがけを使って
の形に因数分解してみましょう。
【STEP1】二次式の係数を書き出す!
まずは、二次式の係数p,q,rをたすきがけの図に書き込みます。
qとrの位置が式と図で入れ替わっていることに注意してください!
【STEP2】左側の◯に数字を入れる!
STEP2では、左側の◯に数字を入れていきます。
ここで出て来る数字が上の図のa,b,c,dです!
下の図に、どのような数字を◯に入れるのかを示しました。
【STEP3】右側の◯に数字を入れる!
ついに、タスキのバッテンの意味が分かる時が来ました。
右側の◯に数字を入れていきましょう!
STEP3が最も難しくなっています。
慣れれば悩むことなく計算できるようになるので、計算練習をこなしましょう!
下の図に計算方法を説明しました!
【STEP4】因数分解完成!
これで最後です!
図の緑の線で囲まれた部分に係数と定数項がでてくるので、因数分解の完成形が分かります!
図から分かった(ax+b)と(cx+d)を組み合わせて
(ax+b)(cx+d)
とすると因数分解が完成します!
文字だけでは分からないので、具体的な数字での例で因数分解してみましょう!
【例題】
【STEP1】
まずは係数を書き込みましょう。
【STEP2】
次は左側の◯に数字を入れていきましょう。
【STEP3】
左側の◯に数字が入りました!
上と下の数字をかけると、確かに5と16になっていますね。
ですが、少し考えてみてください。
バッテンで結ばれた数字をかけると、20と4になります。
20+4=24なので、18と一致しません。
バッテンで結ばれた数字をかけて出て来る2つの数字を足し合わせて18にならなければ、たすきがけは失敗です。
うまく18に一致するように、左側の◯に入る数字を選ぶと、
となります。
【STEP4】
この図より、因数分解の完成形は
【答え】
数をこなして因数分解に慣れよう!
因数分解は、自分で手を動かして問題を解いた数だけ速くなります。
インターネット上の記事や教科書をいくら眺めてやり方を覚えるだけでは速くはなりません。
記事や教科書に載っている公式を見ながら、自分でノートに繰り返し繰り返しとくことで、入試問題を解くときにも使える因数分解の力が身につくのです。
【まとめ】
因数分解のやり方は、
①共通する数字・文字・式でまとめる(共通因数でくくる)方法
②公式を用いる方法
③たすきがけを用いる方法
の3種類が基本です!
因数分解の手順と例題
ここからは、具体的な問題とともに上で紹介した因数分解の使い方を見ていきましょう。
因数分解のやり方の手順として、
①共通する数字や式で
まとめられる(共通因数でくくれる)か判断する
↓
②公式が使えるかどうか判断する
↓
③たすきがけが使えるかどうか判断する
↓
④置き換えが使えるかどうか判断する
↓
⑤ ①~④が使えなかった時、
文字の右上の数字が最も小さい文字でまとめると因数分解の糸口になりえる(高難易度)
↓
⑥因数分解できない
となります。
まずは①~③の手順を、次に④と⑤の手順を見ていきましょう。
基本的な因数分解(①~③)
①共通する数字や式でまとめる(共通因数でくくる)ことができるか判断する
共通因数でくくるとは、上のように式変形することです。
文字の前の数字(係数)が全て3の倍数となっているので、3が共通する数字になるわけです。
数字以外にも、「共通する文字・式でまとめる」ことができます。
上の式のように、
aが共通する文字、(5a+2)が共通した式になります。
②公式が使えるかどうか判断する
①との複合問題で考えてみましょう。
という式変形になります。
一段階目で共通因数でくくり、二段階目で
の公式を用いて因数分解しています。
公式が使える形かどうかは、問題を多く解いていると分かってきます。
最初は公式を使うことができなくても、
答えを見て「ここで使うのか!」というひらめきを重ねていけば、
上手に因数分解できるようになります。
③たすきがけが使えるかどうか判断する
たすきがけが使えるかどうかの判断は最初のうちはトライして見ないと分かりません。
慣れるにつれて見ただけでたすきがけができるかどうか判断できるようになります。
因数分解は自分で手を動かして数をこなし、慣れることで誰でもできるようになります。
難しい因数分解(④・⑤)
④置き換えが使えるかどうか判断する
という式について、
と置き換えると、
と式変形できます。元の見た目のまま因数分解するよりも見やすくなります。
ですが、置き換えによる因数分解には注意しなくてはいけないことが1つあります!
それは、置き換えた式は最後に代入しなくてはいけないということです。
見やすくするために置きかえただけなので、
置き換えで使用した文字(ここではA)をそのまま答えに書くことはできません。
最後にA=(5a+2)を代入しないと答えにはならないのですね。
⑤ ①~④が使えなかった時は次数が最も小さい文字でまとめてみる
上の因数分解は少し難しそうですよね。
ですが、次数(文字の右上の数字)の小さい順にまとめてみましょう。
xは次数が3までありますが、yは右上の数字が無い(つまり次数が1である)ため、
次数の最も小さいyでまとめてみましょう。
すると共通の式としてx+8が出現してくるので今度はx+8でまとめちゃえば因数分解完成です!
使われている文字が2種類以上の時に「次数が最も小さい文字でまとめる」方法で因数分解の糸口を見つけられる可能性があります。
難しい因数分解(高校レベルの因数分解)
ここでは新しい因数分解の公式を2つと、新しい因数分解の考え方を1つ紹介します。
どちらも高校レベルの応用や難問因数分解になるため、まずはこれまで紹介した手順を完璧にしてください。
【公式】
【考え方】
複数の文字が使われていて、どの文字も最低次数が同じ場合には
「どれか1つの文字(ここではa)を元に
の形を作る」(A,B,Cは式を表す) ことを意識しましょう。
具体的な例を用いて説明していきます。
もう一行目から因数分解したくない人が多いかと思いますが、一つ一つ分解していくとそんなに難しいことではないことがわかります。