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はじめに
高校で習う文法の中で、一番苦手とする人が多いのが「仮定法」です。
「仮定法の時制がいまいちピンと来ない!」
「仮定法現在、仮定法過去、仮定法過去完了…そもそも日本語の意味が分からない!」
「I were~って何?なんでI was じゃないの!?」
などなど…
あなたもそんな疑問を持ったことはありませんか?
仮定法を完璧に「理解する」というのは少し難しいことです。
それは、直説法との見分けが難しいことと、時制が複雑であることが理由に挙げられます。難しいがゆえに、センター英語の文法問題では、仮定法は必ず出題されています。
ですから、いくら苦手であっても、大学受験をする方は、仮定法を克服しなければいけません!仮定法は文法問題で超頻出単元なので、仮定法を完璧にしてしまえば文法問題でのミスは激減します!
ぜひ、この記事を読んで仮定法を完璧にしてくださいね◎
仮定法って?
仮定法とは「現実とは違う話」
仮定法というのは、「現実とは違う話」をするときに用いられます。
「(本当はそうではないんだけど)もし〜だったら」という話をするときに必ず登場するのが仮定法です。
たとえば、雨が降ってる日に女の子が
「もし今日が晴れていたら、犬の散歩をしたのになあ。」
と言ったとします。この場合、実際は雨が降っていて犬の散歩にはいけないので、「晴れていたら」というのは「現実とは違う」話です。こういったとき、英語では《動詞の形を変えて》、その発言が「現実とは違う」ことを明確に表そうとします。そのために使われるのが仮定法です。
女の子の発言を英文に訳すと、
If it was sunny today, I would take my dog for a walk.
となります。現在の話であるのに、動詞は過去形が用いられていますね。仮定法では、それが現実とは違う話だと解るように、現在のことでも現在形ではなく《過去形を使って》表現するのです!
とにもかくも、仮定法は「現実ではない、夢や理想などの仮定の話」をするときに用いられるのです。そのことを、まずは頭にインプットしてくださいね☆彡
現在・過去・未来すべての時制で使う
仮定法は、現在のこと、過去のこと、未来のこと、すべての事柄で使われます。
あなたもきっと
「今受験生じゃなければ、勉強しないのになあ」〈現在〉
「高1のときにもっと勉強していれば、今、苦労しなかったのになあ」〈過去〉
「次の模試で偏差値を上げられたら、両親は喜ぶだろうなあ」〈未来〉
というようなことを考えたこと、ありませんか?
人というのは、仮定的な事柄を考えることができる唯一の高等動物です。「この時ああしてたら」「あの時ああなれば」とタラレバを言うことができるのが人間です。過去・現在・未来、すべての時制に対してタラレバ言えちゃうんですね。
そのタラレバを使った英文法を、日本語では、「仮定法現在・仮定法過去・仮定法過去完了・仮定法未来」などと堅苦しく難しい言葉で表しているのです。このような日本語の名称は、解りにくすぎる上に、仮定法を理解するのに邪魔になるので、正直、気にしなくて大丈夫です。
「仮定法は過去・現在・未来、すべての時制で用いられる」と理解していれば問題ありません!
実は英会話で多用されるのが仮定法
仮定法、実は日常英会話でしょっちゅう出てくるんです。
誰しも、「もし〜だったら」「もしあの時〜してれば」っていう話はついついしてしまいますよね。それは英語圏の人も同じです。日常的に「〜だったらなあ」という会話をするものです。私も語学留学中に、ネイティヴの友達がよく “I wish~” (願望の仮定法)と言っていたのを覚えています。
日常的にも頻繁に使われている仮定法。マスターしたいですよね!そのために、本記事では仮定法の基本から慣用表現まで詳しく説明をしたいと思います:D♪
仮定法の基本〈ifを使った仮定法〉
直説法と仮定法の違い
最初に、直説法と仮定法の違いを明確に区別できるようになりましょう。
まずは定義の説明から!
そして重要なのが「現実か、現実とは異なるのか」を判断するのは話者です。話者が、現実に起こりうるかもと思ったら直説法を使い、現実とは異なると判断したら仮定法を使うことになるのです。
「仮定法って、ifで始まる文のことでしょ?」
と言う方がいますが、それは大きな間違いです。ifを使った直説法も存在します。ですので、ifが出てきたら仮定法だと思ってしまっていては、直説法と仮定法の区別なんてできません。
ここで直説法と仮定法を使った例文を紹介したいと思います。
上の2つの文の動詞の違いに注目してください。
①と②の文では動詞の時制が違いますね。でもこれは「現在」と「過去」の違いを表しているわけではありません。①の「明日雨が降る」という文は、現実に起こる可能性がありますが、②の「たくさんお金があったら」という文は、現実とは違う内容です。実際にはお金がないから新しい車を買えない状況なんですね。そのことを明確に示すために、あえて時制を(現在の内容でも)過去形にしているんです!
①のように、「現実に起こる可能性のあること」を表す文では直説法を用います。
一方で、②のように、「現実と異なること」を表す文では仮定法を用います。現実とは異なる“仮定の話”なので、仮定法のルールに則り、過去形が使われているのです。
ここで、仮定法だと判断する決め手となるのは《助動詞》です。
if節内の動詞の過去形だけでは、いまいち判断しづらいですが、仮定法の文の主節内では《助動詞が過去形》となります。通常、助動詞が過去形で用いられることはありません。(※いくつか例外はあります。)ですので、wouldやcould、mightなどの助動詞が過去形になっていたら、高確率で仮定法だと推測することができます。
まずは基本を覚えよう〈仮定法過去〉
仮定法の基本ルールは上のとおりです。仮定法で現在形が使われることはありません。〈今〉のことで、事実とは反することを述べるときは過去形を用いて表します。たとえば、
If I were sick, I would not go to school.
病気だったら、学校を休むのになあ。
…ちょっと不謹慎な例文になっちゃいましたが、学校に行くのがめんどくさい時に誰しも思いがちなことですよね。これは〈今〉思っていることなので、動詞を過去形にして表しています。この用法を、「仮定法過去」と文法的には呼んでいます。(言葉は覚えなくても大丈夫です。)
この文では、「元気だから学校に行かなきゃいけない…」という、今の悲しい事実が隠れています。
この例文を読んで “I were” って間違ってない?と思った人もいるかもしれません。確かに、普通は “I was” と表しますよね。しかし、仮定法の場合は “I were” で良いのです。
なぜなら、「仮定法のbe動詞はwereを使う」というルールがあるからです。
仮定の話だということを明確に示すために“were”を使います。
ですので、 “I were” だとか “He were” だとか使われているときは、それは100%仮定法の文です。ただし、口語ではwasが使われることもあるので、あくまでも仮定法かどうかというのは、助動詞で判断してくださいね。
仮定法過去のさらに過去〈仮定法過去完了〉
このルールのとおり、過去の出来事で、事実とは反することを述べるときには、動詞の形を過去完了形にします。これを文法的に「仮定法過去完了」と呼んでいます。
動詞に注目してもらえると解るのですが、随分とややこしい形になっています。こんな形の文章が出てきたら、すぐに仮定法過去完了だと判断できるようになりましょう。
①には「早く出発しなかったからバスに乗り遅れた」という事実が、②には「彼女の準備ができていなかったからすぐに出かけられなかった」という事実が隠れています。ちなみに②の文は if節と主節が逆転していますが、文法的には全く問題ありません。こういった形の文もよくあるので、始まり方に惑わされないように気をつけましょう!
前述の通り、「ifから始まる文だけが仮定法だというわけではない」のです。
注意すべき仮定法の時制
一つ注意すべき時制の問題があります。それは、if節と主節で、表す「時」が異なる場合です。例文を見てみましょう。
if節内は過去完了形が使われているので、「過去の事実に反する仮定」を表し、これは仮定法過去完了です。主節にはnowがあるので「現在の事実に反する仮定」を表していて、仮定法過去が使われています。この文には、「(少し前に)電車を乗り間違えてしまったから、今あなたに会えていない」という事実が隠れています。
このように、if節と主節で時制が異なってくる場合もありますが、1つずつ丁寧に読めば理解できます。「時制がズレることもある」という事実だけ覚えておいてくださいね。
未来を表す仮定法〈仮定法未来〉
現在・未来において“起こりそうもないことを述べる”場合に使う動詞(または助動詞)の形を仮定法未来といいます。ありそうもない未来について話しているので、日本語に訳すときは「万一」、「もし〜するようなことがあれば」というニュアンスになります。
①were to
if節の中で “were to” を使うと、未来の事についての仮定を表せます。were toは〈be to 不定詞〉の過去形なので、未来のニュアンスを持っているのです。(※〈be to 不定詞〉は「〜する予定だ」という意味を持っています)
こういった突拍子もない質問は、雑談中によく出てきたりしますよね。この文には「まあ、まずあり得ないけど、万が一首相になったらどうしたい?」といった話者の心情が隠れています。起こり得ない未来について話していることを、相手に明確に伝えるために、動詞を過去形にしているのです。
②should
if節内で使われるshouldは《実現の可能性が低い》という話し手の判断を表します。shouldが使われている仮定法では「万一」をつけて日本語に訳すと安心です。
ちなみに、shouldの仮定法の表現に限っては、
(1)主節の動詞が過去形にならないこと、と
(2)主節が命令文になることもあります。
(1)If she should come, what will you tell her?
万一、彼女が来たら、何を言うつもりですか?
(2)If you should meet him, please tell him to call me.
万一、彼に会ったら、私に電話するように言ってください。
that節内の助動詞が原形になる〈仮定法現在〉
仮定法現在形は、現在や未来に関する“不確実な仮定や想像”を表し、《可能な条件に対する可能な結果》を述べるときに使います。 提案・要求をしたり警告を与えたりするときによく使われます。
よく、「提案や要求・決定などを表す動詞に続くthat節内の動詞は原形」と言われますが、この用法のことを仮定法現在と言うのです。
①先生は彼女に英語をもっと勉強するように勧めた。
②上司は彼がその会議に出ることを要求した。
通常ですと “she studies” 、“he comes” となるはずなので気持ち悪く感じますが、これで正しいのです。
提案や要求・決定などを表す動詞に続くthat節内の動詞の形は文法問題で頻出なのでしっかり覚えましょう!
いろんな形の仮定法
次にif以外の仮定法について説明していきます。ifが使われてなくても仮定法だという場合はたくさんあるので注意してくださいね。
まるで〜かのように〈as if を使った仮定法〉
“as if” は「事実と異なる空想」を表すときに用いられます。
①He looks as if he were ill. 〈仮定法過去〉
②You talks the accident as if you had been there. 〈仮定法過去完了〉
①彼はまるで病気であるかのように見える。
②君はまるでそこにいたかのように、その事故について話すね。
①は〈今〉、彼が病気かのように見えるので、as if のあとには仮定法過去の用法が続きます。この文からは、「実際に病気ではないのだけれど、病気かのように見えるほど彼の顔色が悪い」という現在の事実が隠れています。
②は話し手が、〈過去に〉その場所にいたかのように話しているので、as if のあとには仮定法過去完了の用法が続きます。この文からは、「話し手は、実際にその現場にいたわけではないのに、あたかも現場にいたかのように、その事故について話している」という事実が隠れています。
as if 内の動詞の時制は、主節の動詞が表す時点と同時のことであれば過去形を使い、それよりも以前のことであれば過去完了形を使います。
ちなみに①の文の主節の動詞を過去形にすると以下のようになります。
①’ He looked as if he were ill. 〈仮定法過去〉
彼はまるで病気であるかのように見えた。
主節の動詞が変わったからと言っても、その動詞が示すのと同じ時点の話であれば、as if節内では変わらず仮定法過去が用いられます。
〈参考〉
as if では直説法もあります。
話し手が事実だろうと判断している場合は直説法がくるので要注意です。
〜ならいいのになあ〈wishを使った仮定法〉
wishのあとに続く節の内容は「実現できそうにもない願望」を表します。「〜だったらいいのになあ」という話し手の願望を表すことができる仮定法です。
①彼女くらい美しかったらなあ。
②鳥のように飛べたらなあ。
③あの難しいテストで満点を取っていたらなあ。
①は、過去形の “were” が使われていますが、〈今〉の事実と違うことを述べている仮定法過去の用法です。“過去の話ではない”ことに注意です!
②は助動詞が使われる場合の例文として紹介しました。「〜できる」という意味の助動詞を、時制の一致のために過去形にしているだけですので、これも“過去の話ではない”ことに気をつけてくださいね。
③は、過去の出来事に対しての叶わない願望について話しているので、過去完了形を用いた仮定法過去完了の用法です。「〈過去〉の難しいテストで満点を取れていたら良かったのになあ」という話し手の願望を表しています。
wishが使われる文の時制は、as if と同じで、
主節の動詞が表す時点と同時のことであれば過去形を使い、それよりも以前のことであれば過去完了形を使います。
解りにくい! if が出てこない仮定法
今まで「if が使われている文が仮定法だ!」と思ってしまっていた人には、厄介なのが《ifが出てこない仮定法》です。いくつかあるので、順に説明していきますね。
① ifが省略されている文
本当は “if” が使われているのに、省略された文というのもあります。
ただし、if を省略する場合は if節の主語と動詞が倒置されて疑問文と同じ語順になります。
(1)Were I you, I would study English more.
(2)Had I had enough time then, I would have come the party.
(3)Should I meet her, I would tell her the accident.
(1)もし私があなたなら、もっと英語の勉強をするけどな。
(2)もしあの時、時間があったら、パーティーに行ったんだけどな。
(3)万一、彼女に会ったら、その事故のことを彼女に話すつもりだ。
これらに if を補うと…
(1)If I were you, I would study English more.
(2)If I had had enough time then, I would have come the party.
(3)If I should meet her, I would tell her the accident.
という風になります。
ちなみに、実際にifが省略されるのは、were, had, should が文頭に出る倒置のときだけです!そんなに頻繁に省略されることはないので、とりあえず「省略されたらSVが逆になる」ということを覚えておいてくださいね。
②if 以外の「もし〜なら」の表現
【 but for / without (〜がなければ)】
but forとwithoutは「〜がなければ」という意味を表します。主節の動詞の形は時制に合わせて仮定法過去や仮定法過去完了が用いられます。
(1)But for money, it would be difficult to live on.
(2)Without your help, we wouldn’t have finished the research.
(1)お金がなければ、生計を立てるのは難しいだろう。
(2)君の助けがなければ、その研究は終わらなかっただろう。
1つ注意しなければならないのは、but for や without は前置詞なので、節を続けることはできません。後には必ず名詞的な語句が置かれます。
【 with (〜があれば)】
withは「〜があれば」という意味を表します。単純にwithoutの逆ですね。
(1)With time, I could finish my report.
(2)With your advice, we wouldn’t have failed.
(1)時間があれば、レポートを終わらせれるのに。
(2)君のアドバイスがあれば、失敗しなかっただろうに。
withも同様に、後には名詞的な語句しか置くことはできません。節が続くことは文法的にありえないので注意しましょう!
【otherwise (そうでなければ)】
otherwiseは「そうでなければ」という意味を表します。直前で述べられている事実と反対の仮定を表し、1語でif節と同じ内容を表せちゃいます。
I left ten minutes earlier; otherwise I would have missed the train.
私は10分早く出発した。そうでなければ、その電車に乗り遅れていただろう。
このotherwiseを逆にif節に置き換えると「もし10分早く出発していなかったら」となるので、
I left ten minutes earlier. If I hadn’t left ten minutes earlier, I would have missed the train.
という風になります。
1語でif節の内容を表せちゃうので便利な単語ですね。
【 to 不定詞】
なんと、to不定詞もif節の代わりになります。
To hear her talk, you would think he was a know it all.
彼が話しているのを聞くと、彼は物知りだと思うだろう。
この文は If you heard him talk, … と書き換えることができます。
ここまで見てきて、お分かりだと思いますが、仮定法の決め手は《助動詞》です!
仮定法の文の主節では、必ず《助動詞の過去形》が使われます。逆に言うと、助動詞の過去形は、仮定法以外ではめったに使われません。(※時制の一致などの例外はもちろんあります)
ですので、助動詞の過去形が出てきたら、仮定法の可能性を考えるようにしましょう!
暗記しちゃおう!仮定法の慣用表現
仮定法にも、暗記しちゃうべき慣用表現がいくつかありますので、ここでまとめて紹介します!
If it were not for は「現在の事実に反する仮定」のときに使い、if it had not been for は「過去の事実に反する仮定」のときに使います。 ちなみにこの表現の肯定文は存在しないので注意です!(✕If it were for, If it had been for )
“if only~” は “I wish~” とほぼ同義で“I wish~”よりも少し強めの願望表現といったニュアンスです。間接話法では使えないことが特徴です。
(✕He said that if only you were here!)
It’s time you had a lunch.
もうお昼を食べてもいい時間だ。
timeの前に high をつけると「とっくに〜する時間だ」、aboutをつけると「そろそろ〜する時間だ」という意味を表すこともできます。
It’s high time the children went to the bed.
もう子どもはとっくに寝る時間だ。
It’s about time she came here.
そろそろ彼女がこちらに来る時間だ。