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はじめに
一次関数とは「y=ax+b」で表される式のことです。
文字ばっかりで勉強したくなくなりますね。
おまけに変化の割合、傾き、変域なんていうよく分からない単語まで出てきます。
ただでさえやる気がでない、集中が続かないのに単語まで難しいと「ノー勉でもいいや」と思ってしまうかもしれません。
ですが諦めるのはまだ早い!
単語や見た目が難しそうなのは数学によくあることです。
友だちに教えてもらったり、実際に解いてみると数学の問題を簡単に理解できたなんて経験ありませんか?数学は、実際に計算してみると意外と理解できる科目なのです。
一次関数でもそんな体験ができます。
今回の記事では、
・「一次関数とは何だ?」という基礎的な説明
・実際にグラフや問題を使った解説
さらには
・高校入試問題・大学入試問題で扱われる一次関数の例の紹介
をします!
一次関数とは?
まずは難しそうな四文字熟語「一次関数」とは何かを見ていきましょう。
数学が難しく見えるのは教科書のややこしい日本語の説明のせいです。
「一次関数」がどういう式やグラフのことを示しているのかが分かれば、テスト勉強にもかなり挑みやすくなるはずです。
一次関数とは?
私が中学2年生で習った時は、
「一次関数」とは、
という数式のことだと割り切っていました。
そして「一次関数のグラフは直線を表すものである」ということも割り切っていました。
テストで点を取るには「一次って何?」「関数?」と悩むよりも、
「一次関数とはy=ax+bで表される数式のことだ」「一次関数は直線を表している」と割り切って問題を解くほうが効率良く点をとれます。
ここからは「一次」と「関数」の説明です。数学の言葉を理解したい人はじっくり読んで下さい。興味のない人は「へ〜」と思いながら読んで下さい。
「一次関数」の「一次」とは、変数(y=ax+bの式であればx)の「次数」が1であるということです。
「次数」とは、xが何回かけられているかを表す数字のことで、通常変数の右上に書かれます。何も書かれていなければ次数は1です。
例えば、
であれば二次
であれば五次です。
また、「関数」については
「xにある値を代入するとyの値も1つだけに決まる時、yはxの関数と言う。」
という決まりがあります。
「一次関数」とは、変数が「一次」の「関数」のことです。
中学2年生の時の私は「関数」の意味は分かりませんでしたが、後々高校生になってから「関数」がどういうものか分かるようになってきました。
最初のうちは分からなくても後々分かるようになることもありますので、「関数」の説明はまだ完璧に理解する必要はありません。
【まとめ】
・「一次関数」とは
と表される数式のこと。(右辺が一次の関数)
・一次関数のグラフは直線である。
一次関数で出てくる「変化の割合」とは?
一次関数の単元では「傾き」「変化の割合」などの単語をよく目にします。
問題文でも頻出なので、「傾き」「変化の割合」が何を表すのかを確実に理解しましょう。
まずは「変化の割合」から見ていきましょう。
「変化の割合」とは、ある関数についてxが「変化」したときに、yがどれくらい「変化」するかを割り算で表したもの(「割合」)になります。
(点から点への変化)
日本語の説明では分かりにくいので具体的な例で見ていきましょう。
早速、さっき学んだ一次関数y=ax+bを考えてみましょう。
一次関数y=3x+5について変化の割合を求めます。
この一次関数でxが3から5に増えたとします。
xは2増えてます。
x=3のとき、
y=3×3+5=14
x=5のとき、
y=3×5+5=20
となるのでyは14から20、つまり6増えてます。
xが2増えて、yが6増えているので、
になります。
変化の割合とは、
です。(定義、公式)
「変化量」とは、どれだけ変化したかを表した量なので、
で求めます。変化量は負の値になることもあるので注意してください。(変化量を増加量と呼ぶ場合もあります。)
日本語の説明で見ると文字が多くてややこしいですが、実際にする計算は
だけです。
日本語ばかりの説明でわかりにくかったと思います。
イメージを掴むために、もう1問変化の割合について問題を見てみましょう。
一次関数y=-3x+5について見てみましょう。
xが-3から2に変化したとします。
xは5増えてます。
x=-3のとき、
y=-3×(-3)+5=14
x=2のとき、
y=-3×2+5=-1
となるのでyは14から-1、つまり-15増えてます。(15減っています。)
xが5増えて、yが-15増えているので、
ここで、
「変化の割合って、xの値によって変わるの?それとも、同じ一次関数ならどんなxの値でも同じなの?」
と考えることができていたらとても鋭い方です。
私は先生に言われるまでこんなこと考えもしませんでした。
変化の割合が同じ一次関数についてxの値を変えることでどうなるのか見ていきましょう。
一次関数y=-3x+5について、x=3からx=8まで変化したとして変化の割合を求めてみましょう。
上で求めた変化の割合は-3でした。
x=3のとき、y=-3×3+5=-4
x=8のとき、y=-3×8+5=-19
xの値を変えても変化の割合は同じになりました。
結論を言うと、同じ一次関数についてであればxをどんな値にしようと変化の割合は同じです。
証明は後述します。
【まとめ】
・変化の割合とは、ある関数についてxが変化したときにyがどれくらい変化するかを分数で表したもの
・同じ一次関数についてであれば変化の割合は同じ
一次関数の傾きとは?
一次関数の「傾き」は、
のaのことです。
xの前についている数字のことで、aの絶対値が大きくなればなるほど一次関数のグラフ(直線)が急になり、aの絶対値が小さくなればなるほど一次関数のグラフは緩やかになります。
a=1,b=3とすると、y=x+3
この一次関数のx=1のときのyの値は4
a=2,b=3とすると、y=2x+3
この一次関数のx=1のときのyの値は5
xが同じ値でもaの絶対値が大きいほどyの絶対値も大きくなり、グラフが急になります。
グラフの傾きを左右する数字だから、「傾き」と呼ばれています。
また、グラフの傾き・緩急は直線のグラフの横と縦の比率とも言えます。
変化の割合と傾き??
それでは、「変化の割合」と「傾き」の関係性について見ていきましょう。
一般的な関係性を求めるときには、具体的な数字ではなく文字を使って計算します。
一次関数y=ax+bについて、xがsからtに変化したときの変化の割合を求めてみましょう。(s≠t)
このときのxの変化量は、
yの変化量は、
よって
つまり一次関数では、
変化の割合(xが変化したときにどれくらいyが変化するかを分数で示した値)
と
傾き(直線のグラフの横と縦の比率)
が同じなのです。
そしてxやyなどの変数を含んでいないので、同じ一次関数であればxやyがどう変わっても変化の割合は変わりません。
◎一次関数の変化の割合と傾きは同じものを表す!!!!
さっき見た問題で変化の割合と傾き関係を見てみましょう。
y=3x+5の変化の割合は、xの値に関わらず3でした。
y=-3x+5の変化の割合はxの値に関わらず-3でした。
実際に傾きと同じ値になっています。
◎一次関数では「変化の割合」と「傾き」が同じものを表します。
二次関数
については「変化の割合」とa(二次関数の曲がり具合を表す)が一致しません。
一次関数のグラフの書き方の手順解説!
ここからは一次関数のグラフの書き方を解説します。
一次関数のグラフを書くのが苦手な方でも、ここで説明する手順を見れば誰でもグラフを書けるようになります!
一次関数のグラフは直線になります。
式を満たすxとyの組み合わせを座標平面上に記したものを繋げてみると直線になることがわかります。
一次関数(比例の式)y=ax(a≠0)のグラフの書き方の手順
①x軸とy軸、原点を書きます。
この3つが書かれていないと大学入試の記述問題などでは減点される場合があります。
また、x軸とy軸、原点を書くことでグラフが見やすくなり、問題を解くヒントにもなります。
x軸、y軸、原点の3つを書くことを習慣にしましょう。(これまでの説明では省略してしまいましたが…)
②y=axは必ず原点を通ります(x=0のときy=0)。原点を通り、a>0のときは右上がり、a<0のときは右下がりの直線を書きます。【完成】
【a>0,aの値によって傾きが変わる】
【a<0,aの値によって傾きが変わる】
実際に一次関数y=axのグラフを書いてみましょう!
【例題】
y=2x
直線を書くときには、二点を結びます。
なので原点と、原点以外の通る点を結べばグラフは書けます。
y=2xは、原点以外に(1,2)を通ります。
(原点以外の通る点を見つけるときにはxに±1、±2を代入すれば分かりやすくなります。)
【x軸、y軸、原点を書く】
【原点と通る点を結ぶ】
【例題】
y=-4x
原点以外の通る点を見つけましょう。
x=1を代入すると(1,-4)を通ります。
【x軸、y軸、原点を書く】
【原点と通る点を結ぶ】
一次関数y=ax+bのグラフの書き方の手順
①x軸、y軸、原点を書く
②一次関数y=ax+bは必ず点(0,b)を通ります(x=0のときy=b)。y軸上にbの値を記入します。
このときbをy切片と呼びます。
③もう一点、y=ax+bが通る点を見つけます。(s,as+b)とします。
(0,b)(s,as+b)の二点を結ぶことでy=ax+bの直線が引けます。
もう一点見つける時は、x=±1、±2あたりを調べると分かりやすくなります。
実際に一次関数y=ax+bのグラフを書いてみましょう!
【例題】
y=2x+3
y切片は3です。
x=1を代入して、(1,5)を通ります。
【x軸、y軸、原点を書く】
【y切片を書く】
【y切片と通る点を結ぶ】
変域を持つ一次関数y=ax+bのグラフの書き方と手順
①まずはy=ax+bのグラフを書く
②イコールがある場合は黒丸、無い場合は白丸
例として1≦x≦3、1<x<3
一次関数の式の求め方
一次関数の式が分からないとグラフも書けません。
一次関数の式を求めるとは、傾きや通る点などの情報からy=ax+bのaとbを求めることです。
ここでは問題のパターンと式の求め方、問題の解き方を解説します。
問題パターンは2つありますが、どちらの問題でもまず最初に求める式を
とおいてください。
これが一次関数の式を求めるコツです。
【パターン1】傾きと直線が通る一点から一次関数の式を求める場合
【例題】
傾きが2で、(3,8)を通る直線の式を求めなさい。
【解説】
まずは求める式を
とおきます。
傾きが2なのでa=2です。よって求める式は
となります。
(3,8)を通るので上の式にx=3,y=8を代入して
よって求める式は
と求められます。
【パターン2】直線が通る二点から一次関数の式を求める場合
【例題】
二点(2,9)(4,15)を通る直線の式を求めなさい。
【解説】
まずは求める式を
とおきます。
(2,9)を通るのでxに2、yに9を代入します。
(4,15)を通るのでxに4、yに15を代入します。
(ⅱ式)−(ⅰ式)より、
求める式は
この問題にはもう一つ解き方があります。
【別解】
二点が分かっているので、先に変化の割合を求めることができます。
(2,9)(4,15)を通るので、
先に変化の割合を求めることでパターン1と同じ解き方ができるようになります。
後はⅲ式に(2,9)(4,15)のどちらかを代入すると答えが求まります。
【まとめ】
一次関数の式を求める場合は求める式を
とおく。

