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はじめに
本記事では等差数列についてご紹介します。数列は多くの中学生・高校生が苦手とする単元ですが、なぜ苦手なのか考えたことはありますか?
それは、公式を暗記するだけで意味を説明することができないからです。その結果、前提が変わったり、平方数などの見慣れない数が出て来たりする問題に太刀打ちできなくなってしまいます。
数列はセンター試験でほぼ毎年出題される、非常に重要な単元です。
そこでこの記事では、もっとも初歩である「等差数列」を題材に、公式の意味や問題の解き方を説明していきます。
数列が苦手だったために志望校に落ちてしまった…なんてことがないよう、しっかり勉強しましょう!
等差数列とは?
「等差数列とはなにか」ということがきちんと理解できていれば、あとで紹介する公式は自然に導けるので、覚える必要がありません。反対に、これが理解できていない限り、等差数列をマスターすることは絶対にできません。
数学のどんな単元においても、定義は非常に大事です。きちんと理解しましょう!
等差数列とは「はじめの数に、一定の数を足し続ける数列」
簡単にいえば、等差数列とは「はじめの数に、一定の数を足し続ける数列」です。
たとえば、
2, 5, 8, 11, 14, 17, 20…
この数列は、はじめの数(2)に、一定の数(3)を足し続けていますね。こういったものが等差数列です。
一定の数を足し続けているわけですから、隣同士の項(2と5、14と17など)はその一定の数(3)だけ開いているわけです。
これが、「等差数列」、つまり「差が等しい数列」と呼ばれる所以です。
等比数列と何がちがう?
等差数列と一緒によく出てくるのが等比数列ですが、等差数列とは何が違うのでしょうか。
等差数列とは「はじめの数に、一定の数を足し続ける数列」、
一方、
等比数列とは「はじめの数に、一定の数をかけ続ける数列」
です。
2, 4, 8, 16, 32, 64, 128…
この数列は、はじめの数(2)に、一定の数(2)をかけ続けていますね。こういったものが等比数列です。
等差数列と等比数列は見間違えやすいので、常に注意してください。
等差数列の公式の意味を説明!
ではいよいよ公式を説明していきます。とはいえ、先に述べた「等差数列とは、はじめの数に、一定の数を足し続ける数列」ということがわかっていれば大丈夫です。
公式を暗記するのではなく、なぜその公式が導けるのか?というところを理解するようにしましょう。
「初項」「公差」だけを押さえれば等差数列の一般項は求められる
等差数列の問題でよく出てくるのが「一般項」を求める問題です。
一般項とは、「数列の中のn番目の数を求める式」のこと(ただしnは自然数)。たとえば数列の中で5番目にある数を求めたい場合、n=5を代入すればその数が求められる、という式を一般項と呼びます。
さて、さきほどから何度もくりかえしていますが、等差数列とは、はじめの数に、一定の数を足し続ける数列のこと。
つまり、この「はじめの数」と「一定の数」、また「一定の数を何回足したか」、この3つを求めることができれば、数列の中のn番目の数を求めることができるのです。そしてそれは、一般項を求められるということでもあります。
ここでの、「はじめの数」のことを「初項」、「一定の数」のことを「公差」と呼びます。
具体例を見てみましょう。
【問題】3, 7, 11, 15, 19, 23,,,
以上の等差数列の一般項求めよ。
【解説】
はじめの数=初項は3、
一定の数=公差は4。
この2つは数列を見ればすぐわかりますね。
では、一般項、つまり数列の中のn番目の数に至るまでに、何回4を足す必要があるのでしょうか?
上の図を見てください。
n番目の数を出すには、公差を(n-1)回足す必要があります。間の数は木の数よりも1つ少ないという、植木算と同じですね。
以上より、
初項=3
公差=4
公差を何回足したか=n-1
という3つの数字が出そろいました。
これを一般化してみましょう。
これが、等差数列の一般項を求める公式です。
等差数列のコツ:両脇を足したら真ん中の2倍?
もう一つよく出てくるのが、「等差数列における連続する3つの項について、右端の数と左端の数の和は真ん中の数の2倍」ということ。
つまり、等差数列において「... a, b, c, ...」という数字列があった場合、
2b = a+c
ということです。
これは納得しやすいのではないでしょうか。
等差数列における連続する3つの項であるa, b, cは、公差をdとすると、
a = A - d
b = A
c = A + d
と表せます。
a+c = A - d + A + d = 2A = 2b
よってa+c = 2bです。
この法則を使った問題を解いてみましょう。
【問題】等差数列をなす3数があり、その和は15、積は105である。この3数を求めよ。
【解説】3数をそれぞれa, b, cとおく。ただし、a<b<cである。
a, b, cは等差数列をなしているため、
2b = a+c ①
が導ける。
また、
a + b + c = 15 ②
abc = 105 ③
①②より、3b=15 ∴b=5
これを②③に代入すると、
a + c = 10 ④
ac = 21 ⑤
④よりc = 10 -a これを⑤に代入して、
a(10-a) = 21
⇔a²-10a+21=0
⇔(a-3)(a-7)=0
⇔a=3, 7
④に代入して、(a, c)=(3, 7), (7, 3)
しかし、a<b<cであるので、(a, c) = (3, 7)
以上より、求める3数は3, 5, 7
等差数列の和の公式
さて、最後は「等差数列の和」を求める公式です。
まずは、以下の数列で考えていきましょう。
1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17
これは初項1、公差2の等差数列です。
この9つの項の和(今後Sと表します)を求めるには、どうしたらいいのでしょうか?
ちなみに1つ1つ地道に足していくのは今回はナシです。
ここで、前後ひっくり返した式を用意してみましょう。つまり、
S = 1 + 3 + 5 + 7 +9+11+13+15+17①
S =17+15+13+11+9+ 7 + 5 + 3 + 1 ②
①と②の縦にそろっている数(1と17、3と15など)の和がすべて18になっているのに気づきましたか?
①+②をすると、
2S =18+18+18+18+18+18+18+18+18 =18×9
となるのがわかります。この18×9とはつまり、
[初項と末項を足した数]×[項数]
です。
つまり、この数列では、
2S = [初項と末項を足した数]×[項数]
∴S = ½ ( [初項と末項を足した数]×[項数] )
となるわけです。
そして、この「S = ½ ( [初項と末項を足した数]×[項数] )」はすべての等差数列で使えます。一般化した例で考えてみましょう。
※この説明は「...」が入っている時点で数学的に厳密ではありません。興味のある方は数学的に厳密な証明を考えてみてください。シグマを使うやり方、項数が偶数である場合と奇数である場合に分けるやり方などがあります。
等差数列の問題を解いてみよう
では、等差数列の公式をさらったところで、問題に取り組んでみましょう。