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はじめに
数学3で登場する極座標表示。
(x,y)の組で点を表す直交座標表示にずっと慣れてきたあなたは、原点からの距離と角度で点を表すという特殊さにとても戸惑っているのではないでしょうか?
私も、極座標なんて使っても何か得するのかと思っていました。
しかし、この後に続く媒介変数表示の基礎になるだけじゃなく、極座標表示を使うことにはたくさんのメリットがあるのです!
今回は極座標表示とは何か?に始まり、極座標と直交座標の変換方法、入試問題でどんなふうに極座標が役に立つのかをお話しします!
極座標表示とは?長さと角度で点を表す!?
突然ですが、上の点Aの座標はなんですか?
当たり前ですが、A(x,y)=(1,1)ですね。x座標もy座標も1だと図から一目でわかります。
ところでこの同じ点Aを、全く別の数字を使って座標表示することができるのです。
それが、極座標というものです。
このように原点から点Aまで線を結ぶとわかりますが、点Aは原点からの距離rが√2,であり、x軸からの測った角度θが45°となっています。
この2つの数字を使って点Aを表すと、点A(r,θ)=(√2,45°)と書くことができるのです。
どうして原点からの距離と、x軸からの角度が定まるだけで一つの点に決まると言い切ることができるのでしょうか?もしかしたら点A以外にも同じ条件を満たす点があるかもしれません。
そんな悩みをお持ちのあなたは、次の図を見てみましょう。
ある点から同じ距離の点の集合は円になります。r=√2ということはその点が青い円周上にあるということを表しています。
また、x軸から測った角度が45°ということは、赤い半直線上に点があるということになりますね。
そして青い円と赤い半直線の交点はただ1点、点Aしか存在しません!
こういう訳で、原点からの距離とx軸から測った角度を使ってある1つの点を示すことができるのです!
これは直線x=1と直線y=1の交点がただ1つに定まることと一緒ですね。
極座標表示と直交座標表示(x,y座標系)の変換方法
さて、ある点を(x,y)(この表示の仕方を直交座標表示と言います)でも(r,θ)でも表すことができることがわかりました。
ということはある点を(x,y)で表すことができたらその点を(r,θ)で表すことができるはずです。そのまた逆も然り。
極座標で表示された点を直交座標で表示したり、直交座標で表示された点を極座標で表示することを「変換」と言います。
それでは極座標→直交座標変換や直交座標→極座標変換の仕方を見ていきましょう。
極座標→直交座標変換
極座標(r,θ)で表された点を(x,y)で表すときには、上の公式を使います。
半径rの円のx軸からθ回転した点の座標なので、xはcosθ、yはsinθをrに掛けたものになります。
直交座標→極座標変換
直交座標から極座標の変換にはこの公式を使います。
極座標→直交座標のときと違い、r=~~,θ=~~という形にできないのが厄介です。
これらの座標変換方法は、数学3の入試問題の中でもキモとなる部分なので、確実に覚えておきましょう!


極座標を使うメリット!二次曲線の極座標表示
さて、極座標と直交座標を変換できるようになれば、入試問題で極座標表示に出会っても慌てることなく処理できるようになるはずです。
ただ、今のままではただの面倒くさい表記方法に過ぎません。
実は極座標を使うことには大きなメリットがあるのです。
「2次曲線の極座標表示」についてお話します。
なんと極座標を使うとこの短い1次式だけで、様々な二次曲線を表現することができるのです。
実際にeの値とどの曲線が対応するのかを見ていくために、直交座標に直して整理してみましょう。
後はeの値に応じて場合分けします。
e=0のとき
より、e=0のとき円を表す。
0<e<1のとき
このように平方完成すると、これは楕円を表す方程式だということがわかります。
よって、0 < e < 1のとき楕円を表す。
e=1のとき
より、e=1のとき放物線を表す。
1<eのとき
e>1のとき、1-e² が負の値になってしまうので、0 < e < 1のときの方程式の両辺に-1を掛けて整理してみます。
e²-1>0より、これは双曲線の方程式になります。
以上の場合分けをまとめると次のようになります。
このように、直交座標では様々な形で表現しなければいけない二次曲線をたったひとつの方程式で表すことができるのが極座標の大きなメリットです。
逆に、大学受験の問題として極座標方程式が出題される場合はある方程式について
「この方程式はどんな曲線か」
という問題が圧倒的に多いです。
先ほど確認した直交座標と極座標の変換を駆使して、直交座標の形に直すことでその方程式が何の曲線かを判断することができます。