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はじめに
あなたも「数学3」に入ってそれ以前の数学よりも格段に難しくなったと感じていませんか?
多くの理系大学受験生にとって、数三の勉強は大学受験の鬼門だといえます。
微分積分、二次曲線、極限などそれ単体でも厄介な単元が複雑に関わってくるのですから、難しく感じるのも当然といえるかもしれませんね。
今回は数学3の単元の1つである二次曲線、その重要事項である楕円についてお話します。
楕円の方程式の解説に始まり面積や接線の求め方など他の数学3の単元との関連についてもお話します!
楕円って何?
円をなんとなく横に引き伸ばせば楕円になると思っていませんか?(私は高校生になるまでそう思ってました。)
実は楕円には数学的な定義があり、数学の問題で楕円といったら次の条件を満たす図形を指すのです。
この2つの定点のことを焦点と言います。
焦点からの距離の和が一定になる点を集めたものが楕円というわけですね。
例えば下の図の楕円で言えば、水色の点Aと点Bが焦点です。
そのため、赤い線分の長さの和と青い線分の長さの和は等しくなります。
楕円の方程式を見れば、「焦点・長軸・短軸」がわかる!
楕円の方程式は次の形で表されます。
この方程式の中に、たくさんの情報が詰まっているのです。
まず、aとbのどちらが大きいのかで、楕円が横長か縦長かがわかります。
aが大きいとx軸方向に、bが大きいとy軸方向に長い楕円になります。
大きい価の方向に伸びる!と覚えておけば大丈夫です。
長い方向の軸を長軸、短い方向の軸を短軸と言います。
a>b>0,つまり横長の楕円であれば、長軸の長さは2a,短軸の長さは2bとなります。
焦点は長軸上にあり、その座標はa>b>0であれば(±√a²-b²,0)、b>a>0であれば(0,±√b²-a²)となります。
楕円の接線
楕円の接線の方程式はとても簡単な形を取ります。
接点のx座標、y座標を楕円の方程式に「1つだけ」代入してあげれば良いのです。
楕円の面積の求め方
円周率に「長軸の半分」と「短軸の半分」を掛けることで楕円の面積が求められます。
円を横に拡大すると楕円になる
楕円の接線の方程式と面積の公式を見て何か気付いたことはありませんか?
そう、これらは円についての接線の方程式と面積の公式と形が似ているのです。
円のグラフをx軸ory軸方向に引き伸ばすと楕円になるので、これらの公式も同様に円の公式を引き伸ばすことで求められます。
(参考)
円の(x0,y0)接線の方程式:x0x+y0y=r²
円の面積:πr²
上の図のように円をx軸に沿って引き伸ばすと楕円になります。
この時、面積も同じ比率で変化します。
1辺がbの正方形と横がa,縦がbの長方形の面積の比がb:aになるのと同じですね。
よって半径bの円の面積πb²とb:aの比になるので、上記の楕円の面積はπabとなります。


楕円の平行移動
楕円の焦点、長軸短軸、接線、面積と様々な特徴を追ってきました。
しかし、実はここまで見てきた楕円の方程式は実は「焦点の中点が原点」のものでしか無いのです。
実際は座標上のあらゆる場所に楕円は存在することが出来ます。
そういった楕円を表すためには、「平行移動」をすることが必要です。
上の図の赤い楕円は黒い楕円を(x0,y0)だけ平行移動したものになります。
その方程式は次のようになります。
a>b>0のとき、焦点もそのまま平行移動されて(x0±√a²-b²,y0)となります。
これは、二次関数など他のグラフを平行移動させるときと同様の操作ですね。
平行移動に不安がある人は、次の記事を読んで二次関数の場合で勉強してみてください!
【二次関数】グラフと公式を使った最大値・最小値問題の解き方!
楕円の性質を使って問題を解いてみよう
これを軌跡の問題と捉えると、P(x,y)と置いて、AP+BP=8を解く事によって方程式を求めようという方針が立ちますね。
しかしいざ解いてみるとわかりますが、案外この方程式は解きにくく、実際に答えを導くためには計算量が膨大になってしまいます。
もう一度問題をよく見てみましょう。
「点A,Bからの距離の和が8の点を表す方程式」を聞かれていますね。これはよくよく考えると楕円になることがわかります。
焦点がx軸上にあるので長軸はx軸、2つの焦点の中点が(1,0)なので求める方程式は
の形をとることがわかります。
焦点のx座標√a²-b²=2、長軸の長さ2a=8なので
a²=16,b²=12
とわかります。
よって求める方程式は
です。