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はじめに
「どの学部にしようか迷っている」「農学部って何を学んでる学部なの?」「農学部生の就職先は?」
学部選びで迷っているあなた。この記事では農学部で学べる内容や農学部卒業生の就職先から、受験で必要な科目まで紹介します。
大学・学部選びにぜひ役立ててください!
農学部とは
“農学部”と聞くと、畑仕事に関わる事柄を連想すると思いますが、農学部では一体どのようなものを扱っているのでしょうか。
農学部では主に「第一次産業や生き物の命」に関する事柄を研究します。
第一次産業については、“農“から連想される農業の他に、林業(伐採や保護活動)、水産業(養殖、漁業)も研究対象とします。“農業”にとどまらず幅広く自然を相手にしていることは盲点だった方もいるのではないでしょうか。
また、第一次産業と経済の関係や、第一次産業で使う機械について研究することもあります。
一方で、生き物の命については、遺伝子組換えやバイオテクノロジー(生命工学)を扱います。これらの技術を直接目にすることはありませんが、「種なしスイカ」や「より甘くておいしいイチゴ」など、少しずつ私たちの暮らしに浸透しています。これらは工学部の中でも学ぶことができますが、農学部でも十分に勉強することができます。各大学で学ぶことができる内容が様々なので、大学のHPできちんと確認しましょう。
また、ときには「命や遺伝子情報にむやみに手を出すのは許されていいの?」と倫理的に問いかけることも求められ、研究に満足するだけではなく道徳的な考察も重視されます。自然や命を扱う以上、敬意を払うことは大切ですね。さらに経済を絡めた研究も必要であり、「利益がいくら…」「日本の強みの農産物は…」なんて内容を扱う場合もあります。
このように理系の学部ですが、社会や倫理との関係を専門に考える科目もあります。技能・知識・倫理を持ち合わせることが求められますが、食や自然産業に関心がある方にとっては最高のフィールドです。
また、学年や専門分野によってキャンパスでの過ごし方が異なってきます。一般的には1・2年で農学の基礎を学び、3年以降でゼミや研究室に配属され専門性を高めていきます。
他にも、実際に一次産業の現場や大学んお実習所でのフィールドワークを中心に研究を進める方もいれば、実験室での実験を中心に研究する方もいます。こいったカリキュラムはしっかりと確認することが大切ですね。
農学部の学問分野
農学部の学問領域は、第一次産業や生命に関わるものが多いです。それゆえ専門性が高くなりがちですが、農学部がカバーする学問領域は以下のようなものがあります。
・農学
・農芸化学
・畜産学
・農業工学
・農業経済学
・農耕社会学
・林学
・獣医学
・森林科学
・水産学
自然や生命に関わる領域が多いですね。自然や生命そのものを相手にするものもあれば、機械、社会を相手にするものもあります。農学部ではノウハウだけではなく、理論の研究も盛んに行われています。
産業では、植物や海産物を相手にする人や、農業や漁業の機械を造る人、商品の流通を考える人、品質向上に力を注ぐ人などがいます。作業服を着て命と向き合うイメージが強いですが、ビジネス的に自然と関わる人もいます。最近ではTPP合意による貿易自由化が、日本の農業界を揺るがすニュースとなりました。多くの農家や経済学者が反対した時期がありましたが、これらも学問の対象となります。農学部はこのように広く産業と向き合う学部なのです。
農学部の主な対象は自然ですが、政府が示す政策や目標なども研究対象となります。例としては、食料自給率を上げるにはどうすればいいか、日本の農業を守るためには何ができるかなどが挙げられます。
農学部は、農業を軸に多くの学問領域をカバーしているといえますね。
主な学科
農学部の主な学科について紹介します。学科で分けると、農業を学ぶもの、水産業を学ぶもの、生命について学ぶもの、農学と社会学をかけ合わせたものなど、より具体的な研究内容が見えてきます。
ここでは国公立/私立大学の偏差値の高い順に、主な学科を紹介します。大学や学科を選ぶのにぜひ役立ててください。
国公立大学の農学部TOP3
【東京大学 理科Ⅱ類】 農学部
【京都大学 農学部】資源生物科学科、応用生命科学科、地域環境工学科、食料・環境経済学科、森林科学科、食品生物科学科
【北海道大学 農学部】
私立大学の農学部TOP3
【明治大学 農学部】 農学科、農芸化学科、生命科学科、食料環境政策学科
【名城大学 農学部】 生命資源学科、応用生物科学科、生物環境科学科
【近畿大学 農学部】 農業生産科学科、水産学化、応用生命科学科、食品栄養科学科(管理栄養士養成課程)、環境管理学科、バイオサイエンス学科
農学部の主な就職先
農学部生の卒業後の進路について紹介します。専門性が高いこともあり、大学院に進み研究者としての人生を歩む方もいます。特に国公立大学の農学部生に顕著に見られる傾向です。
一方で、4年で大学を卒業し、就職する道を選ぶ人もいます。ここでは、農学部生の主な就職先について見ていきましょう!
【東京大学 農学部】※修士課程修了者
No.1:製造業
No.2:情報・通信業
No.3:金融業
【京都大学 農学部】
No.1:公務員
No.2:サービス業
No.3:建設業
【北海道大学 農学部】
No.1:公務員
No.2:金融
No.3:メーカー
【明治大学 農学部】
No.1:メーカー
No.2:卸売・小売業
No.3:情報通信
【名城大学 農学部】
No.1:製造業
No.2:サービス業
No.3:卸売・小売業
【近畿大学 農学部】
No.1:製造業
No.2:卸売・小売業
No.3:サービス業
メーカーや卸売など、学部で学んだことを活かせるところに就職することが多いですね。一方で公務員となる方もいますが、畜産業や水産業など農学部で得たノウハウを活用できるフィールドは広く存在します。
大学院に進んでもよし、就職してもよし。進路が広く開かれているのは農学部の魅力ですね。将来あなたは何をしたいのか、ということも考えて農学部への入学を検討してみてください。
主な入試科目(国公立/私立)
ここでは農学部の入試に必要な科目を、国公立センター試験、国公立二次試験、私立大学本試験の3つに分けて紹介します。農学部は理系学部としてみなされますが、文系科目でも理系科目でも受験することが可能なことが多いです。
【国公立大学 センター試験】※東京大学の例
必須科目:国語、数学(ⅠA)、英語
選択科目:社会(日本史B、世界史B、地理B、倫理・政治・経済から1科目)、数学(ⅡB、簿記・会計、情報関係基礎から2科目)、理科(物理、化学、生物、地学から2科目)
【国公立大学 二次試験】※東京大学の例
必須科目:国語、数学(ⅠA・ⅡB・Ⅲ)、英語
選択科目:理科(物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物、地学基礎・地学から2科目)
【私立大学】※明治大学農学部(農学科)の例
必須科目:英語
選択科目:国語、数学(ⅠA・ⅡB)、理科(化学、生物のどちらか)から2科目
国語も入試科目として課されるので、文系理系を問わず広く門戸が開かれているといえます。中には社会も選択科目として受験することができる入試もあるので、特に文系の方はぜひチェックしてみましょう。