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はじめに
大学の学部の中で最難関と言える医学部。
医学部に進学した人はほぼ全員が医者として活躍します。そんな専門性の高い特殊な学部である医学部では何を学ぶのか、あなたも気になりませんか?
今回の記事では医学部で学ぶことや卒業後の状況について徹底解説していきます!
また、医学部の倍率や現役合格状況も受験生としてはかなり気になるところですよね。そんな気になる合格事情や就職先も網羅的にお伝えしていきますので、ぜひ読んでみてください!
医学部とは
医学部って?
医学には、大きく分けて「基礎医学」、「臨床医学」、「社会医学」の3つがあります。
「基礎医学」というのは、言葉のとおり、医学の基礎を学ぶことで、「解剖学」「生理学」「生化学」「薬理学」「病理学」「細菌学」などがあります。これらはいわゆる座学というもので、通常、医学部の最初の2年間に教えられます。
「臨床医学」というのは、より実践的な診療の学問です。病気にかかっている人をいかに治療すべきかということを体系的に学びます。「内科学」「外科学」「産婦人科学」「小児科学」「精神医学」「整形外科学」「脳神経外科学」「眼科学」「皮膚科学」「泌尿器科学」「耳鼻咽喉科学」「放射線医学」などがあります。これらは通常大学の2年次以降で学ぶものです。
「社会医学」というのは、人間の疾病や健康と階級、職業、地域社会、経済条件、伝統などの社会要因との関係を研究し、個人と社会の健康と福祉の向上を目標とする医学です。「衛生学」「公衆衛生学」「法医学」などがあります。
医学の学問領域
【基礎医学】
解剖学、病理学、生理学、薬理学、細菌学、寄生虫学、免疫学など
【臨床医学】
内科学、外科学、小児科学、耳鼻咽喉科学、眼科学、泌尿器科学、放射線医学、麻酔学、心身医学など
【社会医学】
衛生学、公衆衛生学、法医学など
医学部の学科
有名な上位の大学の医学部の学科を国立・私立別に紹介します!
【国立】
東京大学 医学部 医学科/健康総合科学科
京都大学 医学部 医学科/人間健康科学科
東京医科歯科大学 医学部 医学科/保健衛生学科
大阪大学 医学部 医学科/保健学科
千葉大学 医学部 医学科
名古屋大学 医学部 医学科/保健学科
【私立】
慶應義塾大学 医学部 医学科
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科/看護学科
順天堂大学 医学部 医学科
昭和大学 医学部 医学科
日本医科大学 医学部 医学科
防衛医科大学 医学教育部 医学科/看護学科
など。
ちなみに健康総合科学科や保健衛生学科、保健学科などでは、修了し国家試験に合格すると看護師や理学療法士の資格を得ることができます。
大学によっては、医学部の中に看護学が含まれる大学と、医学部とは別に看護学部が設けられている大学があります。
大多数の医学部は医学科のみで、医師養成の教育機関としての働きを担っています。
医学部の6年間で学ぶこと
医学部は、医師の養成をするために、病気の治療と健康の維持・増進を目的とした学問を教授しています。
医学科は6年制です。
6年間の勉強の末に卒業試験に合格してから、毎年2月中旬に行われる医師国家試験を受け、合格すれば医師として働き始めることができます。
カリキュラムは、大学によって違いはありますが、1年次は一般教養や基礎医学を中心に、医療現場での臨床実習も行い、倫理観や医師としての心構えを身につけます。
2~4年次は医学の専門的基礎知識や臨床医学を学びながら、多くの実験・実習をこなします。
4年次には、修得した知識や技能などを評価する全国共用試験を受けます。⚠これに合格しないと5年次の臨床実習に進めません。
【全国共用試験とは?】
ほとんどの医・歯学部では、5年生から病院での本格的な臨床実習がおこなわれます。しかし、その前に学生は「全国共用試験(正式名称:臨床実習開始前の学生評価のための共用試験)」を受験しなければいけません。この共用試験をクリアしないと、進級できず、臨床実習に参加することができません。
全国共用試験は、社団法人「医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)」が実施する試験です。全国共用試験には、CBT(Computer Based Testing)と、OSCE(Objective Structured Clinical Examination 通称:オスキー)の2つの試験があります。
CBTはコンピュータ形式のテストで、基礎医学と臨床医学の基本問題320問がランダムに出題され、それまでに学んだ知識の総合的理解力が評価されます。
設問は、基本問題が中心ですが、1,2年次に習った内容は忘れていることもあるでしょう。ですので、ほとんどの学生が、過去問や市販の対策用問題集を購入し、復習してから試験に臨んでいます。
一方、OSCEは、その学生が病棟デビューをしても問題ないか、臨床能力の資質を問う実技テストです。大学によって異なりますが、模擬患者を相手に、医療面接(問診)と、いくつかの診療科の診察を実施するのが一般的です。
医療面接では、診察時の配慮(プライバシー・羞恥心・苦痛への配慮、マナー・身だしなみ、言葉遣い、挨拶や説明)、患者さんとの良好な(共感的)コミュニケーション、患者さんに話を聴く(医学的情報、心理・社会的情報)力、患者さんに話を伝える力などが評価基準となっています。また、診察では、聴診器の使い方、バイタルサインの測定(四肢動脈の診察を含む)、部位ごとの細かく正確な診療などが評価されます。
CBTとOSCEの合格基準は、各大学が独自に設定しています。
この共用試験をクリアしなければ、臨床実習に進めないため、医学部・歯学部に入学したら、そのことを念頭に置いて、計画的な学習をしていく必要があります!
5~6年次は臨床実習漬けです。
5年次以降の病院実習を通称「ポリクリ」と言います。ポリクリというのは、数週間ずつかけて各診療科(内科、外科、整形外科、皮膚科、眼科など)を回る実習です。
内容としては外来見学(教授・助教授の外来の後ろで外来患者の診察を見学する)や、病棟実習(入院患者の診断・治療について学ぶ)や、手術見学(手術現場を後ろで見学する)というものがあります。
実際の医療現場に入るポリクリを通じて、自分の志望の診療科を固める人も多いです!
そして、6年次の後半にある卒業試験に合格すると、医師国家試験の受験資格が得られます。つまり卒業試験に合格できなければ、留年ということになり、国家試験を受けることもできません。
ちなみに、医師国家試験に合格し、医学部を卒業したあと、2年間は大学病院や厚生労働省の指定病院で臨床研修を受けるという決まりがあります。(※この期間給与はありますが、アルバイトなどは禁止です。)
医師には、高い臨床能力だけでなく、臨機応変かつ柔軟に対応できる力、患者とその家族、およびチーム医療に不可欠なコミュニケーション能力も求められます。大学の6年間で、その土台となる知恵や知識・技術・教養を養っていくのです。
医学部に進学し、勉強と実習を重ねて国家試験に合格すると、必ず医師として働くことが出来ます。ですので医学部進学というのは、将来的に職に困らないというのも特徴です。ただし、そこまでの道のりには多大なる努力が欠かせません!実直で努力家というのも医学部にはとても重要な素質だと言えます。


医学部の倍率と現役合格状況
文部科学省の学校基本調査によれば、平成28年度の医学部志願者数は国公立合わせて13万6,251人であったのに対し、合格者数は8,858人でした。つまり合格者数は約15%しかいないのです。医学部への合格はかなりの狭き門と言えるでしょう。
大学別の倍率を見てみると、
東京大学理科3類 4.8倍
京都大学医学部 2.4倍
東京医科歯科大学医学部 4.1倍
慶應義塾大学医学部 8.6倍
というように有名大学の倍率もかなり高くなっています。平均的には3~4倍くらいになります。他の学部に比べても倍率が非常に高いのが医学部です。
その理由は、医学部を受験する人は現役の高校3年生よりも、浪人生のほうが多いからです!医学部の受験者は約半数以上が浪人生なんです。医学部には「浪人してでも入りたい!」という熱い思いを抱いている人が非常に多いのです。中には何年も予備校で勉強を繰り返してやっと医学部に入学するという人さえいます。
現役合格率もあまり高くはなく、約40%ぐらいに留まっています。残りの60%は浪人生が占めています。医学部に現役で合格するというのは非常に難しく、一握りの人しか合格を勝ち取ることができません。医学部を目指すとなると、浪人覚悟で、必死の勉強をする必要があるでしょう。
国公立と私立では、やはり国公立のほうが難易度は高いです。センター試験と二次試験の両方を受けなければいけないので、試験勉強も大変です。さらに、センター試験ではボーダーラインが得点率90%以上という厳しさもあります。国公立の医学部を受験するにはかなりの学力が必要とされるのです。