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はじめに
集合は記号が色々とありすぎてごっちゃになる…
ド・モルガンの法則ってなんだっけ…?
和集合の問題はいつもミスしてしまう…
なんて思ったことはありませんか?
集合は学校で習うとき、要素やら部分集合やら空集合やら否定やらなんやら、新しい言葉が一気に降り掛かってくることが多いです。
慣れればそんなに難しくないのですが、最初は面食らってしまいますよね。
しかし、それを放置していると大学受験でとても不利になってしまいます。
なぜなら、センター試験の数学1Aではほぼ毎年、論理と集合の問題が出題されています。集合があやふやなだけで、大問を1つ落とすことにもなりかねないのです。
今回の記事では、「集合」「要素」といった言葉の意味を丁寧に解説したあと、ド・モルガンの法則などの大学受験でよく出てくる法則を説明し、最後にセンター試験の問題に挑戦します。
集合をきちんと理解して、センター試験の論理と集合を得点源に変えてしまいましょう!
「要素」「集合」って何が違うの?
ではまず、集合を理解する上で基礎の基礎である「要素」と「集合」の意味について説明します。
要素が集まったものが集合
簡単にいえば、「要素が集まったものが集合」です。
最初から数字で考えるのは難しいので、日本語で考えてみましょう。
例えばアイドルグループのTOKIOは、以下のメンバーから構成されています。
長瀬 智也
松岡 昌宏
城島 茂
山口 達也
国分 太一
彼らのことを、「(TOKIOという集合を構成する)要素」といいます。
数式で考えてみると、
「xは3の倍数」という条件pがあるとします。この条件pを満たす要素の集合をPとおき、図で表すと
こうなります。全部書くことは不可能なので省略しましたが、42以降の3の倍数ももちろんこの円の中に入ります。
つまりは集合とは「グループ」、要素とは「メンバー」ですね。
集合と要素の表し方
さて、この「要素が集まったものが集合」ということが数学的に表す方法は、以下の2つです。
①[集合の名前]={○, ○, ○, …, ○(要素をすべて書き出す)}
②[集合の名前]={x|xが満たす条件}
この「xが満たす条件」というのが少しわかりにくいかもしれませんが、要は「要素が満たす条件をxを使って表す」ということです。
例えば「1以上9以下の3の倍数」という条件を満たす要素の集合をAとおくと、
①だと A={3. 6. 9}
②だと A={x|xは1以上9以下の3の倍数}
となるわけです。
この問題のように要素をすべて書き出せる場合は①②の両方が使えますが、
先程の「3の倍数」のようにすべて書き出すのが不可能な場合は、数学的な正しく記したいなら、②しか使えません。
例)P={x|xは3の倍数}
②はなんで文字を置くの?「|」ってなに?と思うかもしれません。
これは右から読んでいくと覚えやすいと思います。
「∈」は「属する」という意味
これまではすべての要素と集合の関係をどう表すか、という話でしたが、
「1つの要素が、集合に属している」
わかりやすく言うと「城島茂という要素は、TOKIOというグループに属している」「x=3は、「xは3の倍数である」という要素の集合Pに属している」ということを、
記号で表すこともできます。
このときに使うのが「∈」という記号。
「要素aが集合Aに属する」は、「a∈A」と表せるのです。
上の例だと、
城島茂∈TOKIO
x=3∈P
となります。
反対に、属さないときは∈にスラッシュを入れた記号である、「∉」を使います。
トム・クルーズ∉TOKIO
x=4∉P
ですね。
この「∈」は、あとで出て来る部分集合を示す「⊂」と混同しやすいです。
非常に基礎的な部分ではありますが、2016年のセンター試験では実際にこの2つの記号が区別できていないとできない問題が出題されたので、単なる記号と侮らずにきちんと覚えましょう。
集合で出てくる記号を解説!
それでは、集合同士の関係を表す記号の説明に移ります。
=(等しい)
集合Pと集合Qの要素がすべて等しいとき、P=Qと表します。
例えば
p:0より大きい整数
q:自然数
という条件があったとします。
このとき、条件pを満たす要素の集合をP、条件qを満たす要素の集合をQとすると、
Pの要素は1, 2, 3, 4,…
Qの要素も1, 2, 3, 4,…
で、同じです。
⊆(部分集合)と⊂(真部分集合)
P={1, 2, 3, 5}
Q={1, 3}
という集合P, Qがあるとします。
このとき、Qにある要素はすべてPにありますね。これを「QはPの部分集合である」といいます。
そして、このような状態も記号で表すことができます。
等しい等しくないと言っているのは、P=Qの場合でも、QはPの部分集合と言えるためです。もちろん反対にPがQの部分集合ともいえます。
部分集合と言っても、このようなP=Qも含むよというときは⊆、含まないときは⊂を使います。≦と<のようなものです。
実際に問題を解いてみましょう。
【問題】以下の条件を満たす集合P、Qの関係を記号を用いて表わせ。
p:x²=4
q:x=2
【解説】
P={-2, 2]
Q={2}
より、Q⊂P
∪(または)と∩(かつ)
集合Aと集合Bのどちらかに属する要素の集合をA∪B、
集合Aと集合Bの両方に属する要素の集合をA∩B
と表します。
この図の青いところがA∪B、
紫色の斜線が入っているところがA∩Bです。
A={3, 4, 5, 7}
B={1, 2, 3, 6}
という集合A, Bで考えてみると、
となり、
A∪B = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}
A∩B = {3}
とわかります。
∅(空集合)
何も要素を持たない集合のことを、「空集合」と呼び「∅」と表します。
なんで要素がないのに集合をつくるんだ?と思うかもしれませんが、これを定義したほうが数学では都合が良いそうです。虚数のようなものです。
虚数ってなんだっけ?という方はこちら↓
実数とは?複素数・自然数との違いは?意外と知らない定義を解説!
たとえば
A={1, 2, 4}
B={100, 200}
という集合A, Bがあるとき、AとB両方に含まれる要素は存在しないですよね。
こういった場合、
A∩B=∅
と表すのです。
 ̄(補集合)
集合Aがあるとして、
全体集合から、Aに含まれる要素を抜いた集合を
と表します。
この全体集合とは、ざっくり言うと「問題において考える数すべて」のことです。
例えばA={1, 2, 3}としましょう。
このとき、 ̄Aは1, 2, 3以外の要素の集合なわけですが、「これは整数だけ?」「実数まで?」「虚数も含むの?」という疑問が生じますよね。
それを防ぐために、「今回はこの数の範囲まで考えますよ」という全体集合を定義するわけです。
例えば全体集合をU={x|1≦x≦10∧xは整数}と定義すると、
 ̄A={4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}となります。
ド・モルガンの法則
集合について、以下の法則が成立します。
ちなみになぜこれをド・モルガンの法則と呼ぶかというと、オーガスタス・ド・モルガンという人が発見した法則だからです。
一見なぜこれが成り立つのかわかりにくいですが、ベン図を使うとすぐ理解できます。
これはセンター試験でも本当によく出てくるので、確実におさえましょう!
【練習問題】
全体集合U={x|1≦x≦5}、
A={2, 3, 5}
B={1, 2, 4, 5}
とするとき、 ̄A∪ ̄Bを求めなさい。
【解説】
ド・モルガンの法則より、 ̄A∪ ̄B =  ̄(A∩B)
A∩B = {2, 5}なので、
 ̄A∪ ̄B = {1, 3, 4}