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はじめに
「理系の大学生活が忙しいって本当?」
文理選択をするときや受験する学部を選ぶときにこんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。私の高校時代には理系の学生生活は大変で、アルバイトやサークル活動も出来ないという噂さえ流れていました。
「こんなことが勉強したい」
「将来はこんな職業に就きたい」
というような志はもちろん一番大切ですが、現実問題どんな学生生活を送ることになるかは大切な問題です。
今回の記事では、理系が文系と比べて忙しいと言われる理由はなぜなのか、また大変だと言われる理系の中でも比較的忙しくない学部やめっぽう忙しいと言われる学部はどこなのかを紹介します。
どうして理系は忙しいのか?その理由とは
コマ数が多い
これには様々な理由がありますが、文系よりも理系のほうが卒業に必要な単位数が多いとか実験は時間の割にもらえる単位数が少ないということが主な理由です。
例えば私が通う東京大学では、最初の2年間で文系は70単位、理系は76単位が必要になります。2年間で6単位と言うとあまり差は無いように思えますが、確かに差は存在するのです。
また、学年が進むに連れて理系の時間割の大半を占めることになる実験ですが、この実験は2コマで1単位というように計算されることが普通です。一方で通常の座学の授業では1コマで2単位がもらえます。
卒業に必要な単位数が理系のほうが多い上に、同じ時間で取れる単位の数は理系のほうが少ないのですから文系より理系のほうが当然コマ数は多くなります。
実験は時間延長が当たり前
また、時間の割にもらえる単位が少ないために理系学生を悩ませる実験ですが、更に厄介なことにこの実験というのは時間通りに終わらないことさえあります。
学生実験(研究のために行う実験に対して、授業で行う実験を高呼びます)では、一日にやることが決まっているために、学生の手際が悪かったり上手く結果が出せない時には容赦なく延長が掛けられるのです。
私の実体験では、18:00に終わる予定の実験が20:00まで掛かったことがあります。より大変な学科だと、22:00まで実験が終わらなかったという友人の話を聞いたことがあります。
もちろん手際よく実験を行えば予定より早く終わることもありますが、概して実験は遅くまで掛かるものだといえるでしょう。
研究室生活は忙しい
理系の学生は4年生、(大学によっては3年生)になると研究室に配属されることになります。
研究室では、各研究室のテーマに沿って実験を行い成果を出す研究生活を送ることになります。
この研究室での生活というのもまた、(配属される研究室にもよりますが)忙しいです。
忙しい研究室なら、文字通り朝から晩まで実験に明け暮れる生活を送ることになります。
教授が放任主義であれば週1回程度行われるミーティングで成果を発表できさえすれば何をやっていても咎められないという場合もありますが、とにかく大学4年生以降の生活というのはこの研究室を中心に回っていきます。
研究室の選び方も理系学生の忙しさを決める1つのポイントでしょう。
理系のキャンパスだけ隔離されていることも
例:青山学院 文系 青山キャンパス(東京都渋谷区) 理系 相模原キャンパス(神奈川県相模原市)
そういったキャンパスを一部では「隔離キャンパス」等と呼ぶこともあるようです。理系の学部だけ別のキャンパスになるのは、実験の設備等に広い敷地が必要であることなどが理由です。
そういった大学ではサークルや部活の活動は都会にあるメインキャンパスで行われていることが多いです。理系の学生がサークルに参加しようと思うと授業後にわざわざ時間を掛けて隔離キャンパスからメインキャンパスに移動しなければいけません。
ただサークル活動をするだけでも時間を食う、といった状況になりがちなのも理系の忙しさを助長する原因の1つになっているでしょう。
もちろん忙しいとは言え
しかし理系の生活が忙しいとは言え、大学生活何も出来ないというわけではありません。
私も理系の学部に通っていますが、授業や実験に出ながら体育会の部活に所属して、アルバイトも行っていました。
同じ部活には理系の中でも最も忙しいと言われる医学部に通う友人も居ましたし、結局は本人の時間の使い方が重要になってくるのです。
時間の使い方を意識すればちゃんと
理系の中でも忙しい学部・忙しくない学部の違い
ここまで読んで「どうやら理系は忙しそうだぞ」と考えていることと思います。
高校3年生の人の中には理系に決めたのを後悔してしまった人もいるかもしれません。しかし、一口に理系と言っても学部学科によって学ぶことは千差万別。そこでここからは理系の中でも大変な学部や比較的忙しくない学部を紹介していきます。
これは一般的な傾向の話なので、すべての大学に当てはまるわけではありませんが、学部選びの上ではきっと役に立つ情報だと思います。
ポイントは、実験に時間がかかるかどうか
忙しい学科とはズバリ「実験が大変な学科」のことです。
理系の忙しさの元凶は「実験」だと言いました。しかし学科によってどんな実験をするかは全く変わります。
そのため理系学科の忙しさを見分ける最も大事なポイントは「実験にどれくらい拘束されるか」ということです。
実験にどれくらい時間がかかるかはどんな実験を行うかによって全く変わります。有機化学の研究室に入って複雑な化学反応を行うことになれば、一つの実験に半日〜1日掛かるなどというのもザラにあります。
一方で、シミュレーション系の実験でPC上で計算を行うようなものであれば、計算の内容やPCの性能にもよりますがそこまで時間が掛かるわけではありません。また長時間掛かるような計算だとしてもPCに付きっきりになって計算結果を見るような必要はありません。
このように学科ごとに実験の負担は大きく違います。そのためその学科に入るとどんな実験をどれ位するのかということを見てみると忙しさがだいたい推定できます。
忙しい学部その1 工学部建築学科
その中でも特に忙しいと言われているのが建築学科です。
建築学科では、他の工学部と同様に力学等の座学の授業が有るほか、製図や模型製作などの実習課題が課されます。
この制作実習は他の学科の実習と比べて忙しく、締め切り前は製図室で徹夜することも多いと言います。
更に、大学によっては卒業論文だけではなく卒業制作もする必要があるなど、4年生になってからも大変です。
建築学科に進むためには、それなりの覚悟が必要だと言っていいでしょう。
忙しい学部その2 医学部医学科
医学部の医学科、つまり医者を目指すための大学も相当忙しいことで知られています。
医師の国家試験の受験資格を満たすためには膨大な量のテストを受けて知識を蓄え、更に実験・実習をこなさなければいけないからです。
医学部は必修科目が多く、他の学科と比較してテストの難易度が高いということも忙しさを助長しているでしょう。
この通り医学部は大変ですが、医学部を選んだ人はそれを覚悟で医師になりたいと思っている人が多いので、大変ながらも充実した生活を送っているように見受けられます。
忙しい学部その3 理工農学部 生命系学科
生命系学科(バイオ系などとも呼ばれます)もまた忙しい学科として有名です。
そういった学科では細胞や実験動物を用いた実験をすることになります。
生き物相手ですから一つ一つの実験の結果が出るまでに時間が掛かりますし、世話をしなければ生き物は死んでしまいます。
細胞を材料とした研究を行っている私の友人は、実験中は土日も含めて毎朝必ず培養している細胞の世話をしに大学に行かなければいけないようです。彼は大学のすぐ近くに住んでいるためそこまで苦ではないようですが、遠くから通学している人にとっては大きな負担になるでしょう。
生命系学科では理系学科の中でも特に場所的拘束が強い学科だという訳です。
比較的忙しくない学部
それは、これらの学科が場所的拘束が比較的少ないことが理由として挙げられると思います。
プログラムのコードを書くことも、数学の問題を解くこともPCや本さえあれば問題なくできます。特別な実験器具は必要ありません。そういった性質上、大学に居なければならない時間が実験系の学科よりも少なくて済みます。後は当人の学業以外のことに時間を割くことができます。
もちろん与えられた課題をどれくらいの時間で解くことが出来るかはその人の能力によりますから、皆が皆楽チンな生活を送っているわけではありませんが、「1日掛けて仕込んだ実験が失敗に終わる」というようなアクシデントが起こらない分野であるだけ比較的楽だと言えるでしょう。
最後に
ここまで理系学生の忙しさについて様々な観点から見てきました。
なぜ理系は忙しいのか、理系の中でも特に忙しい学部はどこかという話は受験校選びの参考にしていただければと思います。
とはいえ「同じ学部学科でも大学が違えばカリキュラムは別物」です。
志望校を決める際にはしっかりと大学のホームページや各大学が作成している受験生向け資料に目を通して、時間割を確認しましょう。

