この記事は最終更新日から1年以上が経過しています。内容が古くなっているのでご注意ください。
はじめに
あなたは臨床工学技士という仕事を知っていますか?
臨床とあるから医療に関わる仕事、工学ということは機械を扱う仕事?とイメージをすることはできてもなかなかその仕事内容を正しく答えられる人は少ないかと思います。
臨床工学技士は、医療機器を操り人々の命を守る、非常に重要な仕事です。
臨床工学技士に興味がある人も、知らなかったという人もぜひこの記事を読んで臨床工学技士について詳しくなってください。
臨床工学技士の基礎知識
臨床工学技士という名前は知っていても、具体的にどんな仕事をするのかよく知らない人もいるかと思います。最先端の技術が集約されている場所である病院には、様々な役割の人たちが働いているため一見しただけでは誰が何をやっているかはわかりません。
そこでまず「臨床工学技士」という職業について紹介します。
臨床工学技士とは
臨床工学技士が接する患者は、人工心肺装置や人工透析装置が無いと生きていけないという病状の人がほとんどです。臨床工学技士の仕事はそういった人たちの助けとなる、正に命を救う仕事だといえます。
また、臨床工学技士は工学技士の名通り機械を扱う仕事になります。そのため北里大学や藤田保健衛生大学に代表される医療系の大学だけではなく、東京工科大学や神奈川工科大学などの工学系大学にも臨床工学技士の資格を取得できる学科があります。
「医療に興味がある」という人だけではなく、「機械が好きで、機械を通じて人の役に立ちたい」という人にもお勧めできるのが臨床工学技士の特徴です。
臨床検査技師との違い
この臨床工学技士と臨床検査技師、なかなか違いがわかりにくいかと思います。
臨床検査技師は、その名の通り、臨床検査を主な業務として行います。
例えば、患者さんに直接心電図や超音波検査を行ったり、血液や尿等の検体を検査するのが臨床検査技師の仕事です。
一方で繰り返しになりますが臨床工学技士の仕事は患者の生命維持管理装置を管理するのが仕事になります。
簡単にまとめると、病気を見つけるのが臨床検査技師の仕事で病気から命を守るのが臨床工学技士の仕事と言えるでしょう。
どちらも医療に関する専門的な仕事ですし、特別な資格が必要な仕事です。両者の仕事の違いをしっかりと把握し、自分はどちらの立場から人の健康に携わっていきたいか考えてみると良いでしょう。
臨床工学技士の働く場所・仕事内容は
臨床工学技士が働く場所は大きく分けると医療現場かそれ以外に分かれます。
医療の現場で働く臨床工学技士も、大学病院のような大病院で働く臨床工学技士もいれば、比較的小さな透析クリニックで働く人もいます。病院での仕事は様々な業務に携わることが出来る一方でとても忙しいようです。逆に透析クリニックでは人工透析業務が仕事の中心になりますが、時間に融通が利くといいます。もちろん各病院やクリニックに依って変わる部分が大きいですが。様々な規模の医療機関に働き口があるというのは臨床工学技士の特徴といえるかもしれません。
また、臨床工学技士の働く場所は医療現場に限られません。例えば医療機器メーカーでは臨床工学技士としての知識を用いて、医療機器の使い方を顧客にわかりやすく伝えると言ったような仕事があります。医療装置・医療機器に対する深い知識を活かして医療現場以外にも活躍の場を広げることができるというわけです。
臨床工学技士の給料・年収
臨床工学技士の年収は平均で約450〜600万円位になるようです。
これには、勤務先の残業が多いかどうか(例えば大きな病院では残業が多い)や、その人の学歴(専門学校卒or大学卒)などによって影響されるといいます。
先程見たとおり臨床工学技士は比較的活躍の場が多い職業であることもあって、収入に不満を持つ人は転職先を探して転職することがメジャーなようです。
臨床工学技士になるには
さて、そんな臨床工学技士になるためにはどういった手順が必要なのでしょうか。
臨床工学技士になるのに必要な資格試験の内容や受験資格についてお話します。
国家試験受験のためには3年制の専門学校または大学を卒業する必要あり
試験の合格率は例年80%前後なので、しっかりと勉強すれば特別難しいというわけでは無さそうです。
しかし、国家試験は誰でも受けられると言うわけではありません。臨床工学技士の国家試験を受けるためには、3年制の臨床工学の専門学校か、臨床工学技士養成課程を持っている大学を卒業する必要があります。
つまり、臨床工学技士を目指すための第一歩は専門学校または大学に進学することになります。
臨床工学技士になるには大学と専門学校どちらにいけばいいの?
さて、それでは大学に行くか専門学校に行くか、どうやって決めればよいのでしょうか?専門学校と大学の違いを見てみましょう。
専門学校であれば3年間で卒業できるので、掛かる学費が1年分少ない、1年早く働くことで現場の経験を積めたり収入が得られるというようなメリットが得られます。
一方で、大学では専門的な知識が学べるので臨床工学の知識をより深くまで得られる他、将来的に大学院に進学して学問としての臨床工学を究めることができるなど長い目で見れば大学に進学することによって得られるメリットもたくさんあります。
また、専門学校は入学試験が数学+小論文などで構成されていて、科目数が少ないのに対して大学では英語、数学、理科の3科目が必要になってくるため入試の難易度が専門学校よりも高いです。
まとめると、より早く現場で経験を積みたいのかじっくり時間を掛けて勉強したいのか、入学試験までにどの程度準備する時間があるかなどを考えて大学に進むか専門学校に進むかを考えると良いでしょう。
臨床工学技士になるためのおすすめ大学
最後に臨床工学技士の資格を取りたいあなたに向けて、おすすめの大学を紹介します。
公立小松大学
そのため他の大学に比べて学費を安く抑えることができます。臨床工学技士の私立大学がおよそ年間の授業料が100万円掛かるのに対して、小松大学では年間の授業料が58万円で済みます。
小松市の近くに住んでいる人はもちろん、それ以外の地域の人にとっても一つの選択肢になる大学だと言えるでしょう。
藤田保健衛生大学
藤田保健衛生大学の特徴は丁寧な授業とそれによって裏打ちされた高い資格試験の合格率です。2017年の試験では受験した46名全員が臨床工学技士試験に合格しています。これは合格率100%の大学・専門学校の中で最多の合格人数です。
また、受験生の立場からするとあまり意識されにくいですが、藤田保健衛生大学は2018年2月7日に発表された「世界大学ランキングアジア版」でアジア第83位(日本国内の順位では11位、私立大学では1位)という高い順位にランクインしています。藤田保健衛生大学の教員は世界的に見ても高く評価されているのです。
偏差値がより高い大学を押さえてのこの順位ですから、藤田保健衛生大学に進学するのはある意味お買い得といえるかもしれません。場所も愛知県なので、東海地方だけではなく関東圏の人も関西圏の人も比較的受験しやすいと言えるでしょう。
日本大学
その中でも工学部の電気電子工学科と機械工学科に臨床工学技士課程が設置されています。前に「医学系だけではなく工学系の大学でも臨床工学技士になれる」と書きましたが日本大学はまさに工学系の専門から臨床工学技士を目指すことができる大学だと言えます。
日本大学の臨床工学技士課程の特徴は、臨床工学技士になるための科目の履修が2年生から始まることです。電気電子工学科や機械工学科を通常の学生と同様に受験して、1年次に40単位以上単位を取得することで臨床工学技士課程に進むことができます。
通常の工学部の単位に上乗せして臨床工学技士課程の授業を取る必要があるため勉強はより大変ですが、工学の知識もしっかり身に付けた上で臨床工学技士になることができます。
また、臨床工学技士課程が2年生からはじまるため、1年生のとき授業を受けながら臨床工学の道に進むかどうかを検討できるというのも他の大学にはないメリットと言えるでしょう。