実技が苦手でもクリエイティブになれる! 美大生の新常識

この記事は最終更新日から1年以上が経過しています。内容が古くなっているのでご注意ください。

はじめに

デザインやアートを職業にする――。そんな将来に憧れつつも、「絵の才能はないから」「実技試験のレベルが高そうだから」と、美大を志望することに躊躇する人は多いかもしれませんね。でも、ちょっと待ってください。イマドキの美大は必ずしもデッサンなどの実技試験を必要とせず、一般大学と同じように筆記試験だけでも入学できるんです。今回は、筆記試験だけで美大に入学した2人の先輩の生の声をお届けします!

文学少女だった私が彫刻に目覚め……今は編集の面白さに夢中!

手塚 美楽 さん
武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科 3年生

――もともとは文学部を目指していたそうですね。そんな手塚さんが、なぜ美大へ?

三島由紀夫が好きで、高校1年生の頃は文学部を志望していました。美大を考え始めたのは、高校2年生のとき。何の気なしに手に取った美術専門誌の男性ヌード特集を見て、生まれて初めて身体の美しさに心が震えました。そこで彫刻学科を目指そうと美術予備校に通い始めたんですが、今度は「美術史を知らないと、よい作品は作れないのではないか」という思いに駆られまして(笑)。

そのときに、予備校の先生が「美術史や作品評論を学ぶのなら……」と勧めてくれたのが、武蔵野美術大学(以下、ムサビ)の芸術文化学科でした。

――文学から彫刻、美術史と方向性が幅広い! 受験対策も大変だったのでは?

実は、全く(笑)。ムサビは共通テスト3教科方式で、実技試験はありませんでした。国公立大学を併願していた私にとって、共通テストだけで完結するありがたい方式でした。

――芸術文化学科では、雑誌の編集にも興味が広がったそうですね。

雑誌には、さまざまな人の意見やそのときの流行など、多くの情報が詰まっています。現代美術作品の抽象表現を新鮮に感じたのも、雑誌の影響です。もっと深く知りたい! そんな思いから、編集に楽しみを見出すようになりました。

言葉に関わる表現は、授業でも学びました。これは、広告の最前線で活躍するクリエイターの指導のもと制作したポスターです。テーマは、「性的少数者の人権のために」。繊細な問題であるがゆえのはかなさを、溶けてゆくアイスクリームのビジュアルに託して表現しました。

――学外でも編集の活動に取り組まれているそうですね。

大学1年生から出版社のWEB記事ライターを、1年後期からはカルチャー誌の編集部でアルバイトを経験しました。また、インターンシップでは美術専門誌の編集部で実務にも挑戦。インタビューの文字起こしなど、記事に直接関わる喜びを体感しました。

また、出版社主催の歌集出版の公募に選ばれたことから、現在は短歌を作っている真っ最中。出版に向けて、言葉と対峙する日々です。

――すごいご活躍ですね! 編集を勉強するのに、はやり美大は有利だと思いますか?

はい。美大生は個性的な人ばかりで、見聞を広げるには圧倒的に有利。「編集者は好奇心が旺盛であるべき」とよく言いますが、そうならざるを得ない環境です。

今後もこの環境で学び、卒業後は編集者になるのが目標です。私が一冊の雑誌のあの言葉に、あの写真に心を動かされたように、誰かの心を動かしたい。そして、その人の未来にも繋がるきっかけが作れれば。そんな文化の流れに、我が身を置けたらと思っています。

美大と工学系を併願。得意の理系3教科で受験し、クリエイティブな世界に

乾 友乃 さん
武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 2年生

――当初は工学系大学を狙っていたそうですね。美大を志した経緯を教えてください。

デザインやアートに興味を持っていたのですが、受験用に絵を習っていたわけでもなく……。最初は建築学科を考えていました。

美大を視野に入れたのは、ムサビの新学科であるクリエイティブイノベーション学科の存在を知ったことがきっかけです。中学・高校の総合的学習の授業で学んだ「創造的思考力を使って考えを発表する」というプロセスが好きだったこともあり、「私がやりたかったことは、これだ!」としっくりきました。

また、1・2年次で実技を基礎から学べる環境は、まるで夢のようでした(笑)。入試に実技はなく、筆記だけだったのも私にぴったりでした。

――入試は、どの方式を選びましたか?

理系学力重視型と共通テスト3教科方式を選択。理系の国公立大学も併願していたこともあり、この方式なら特定の対策をしなくても大丈夫かなと思いました。

――乾さんにぴったりな選択ですね。入学後、美大のイメージは変わりましたか?

入学前は、派手な人が多そうだなと勝手に思い込んでいたのですが、実際には全くそんなことはなくて。みんな、日々の課題や自分のやりたいことに真面目に取り組んでいます。そして何より、自分の意見を持っている人が多い! 目標に向かって、自分からどんどん行動していく姿は、とてもカッコいいと思います。

――授業はどうでした? 入学前に絵の勉強は特にしていなかったそうですが、不安はありませんでした?

確かに最初は不安でした。でも、こちらも全く問題なく……(笑)。先生は私のやり方を否定せず、どうしたら私の表現したいことを実現できるかアドバイスをくださったので、自由に楽しく絵を描くことができました。

これは、1年次の授業での作品です。題材は、私が感じる「石」のオーラ。触るとゴツゴツしていますが、太陽の光を浴びた石は優しく温かく、まるで母や家族のよう。この触感と心で感じる温かなイメージを絵に表現しました。

2年次の今は、文字組のデザインをテーマにした「造形演習」に情熱を注いでいます。「知識を得るだけでなく、感覚をつかまないと将来役に立たないよ」という先生の言葉を噛みしめながら、感性を研ぎ澄まして課題に取り組んでいます。

――五感をもフルに使い、表現とデザインへの飽くなき挑戦を続ける乾さん。将来の夢を教えてください。

卒業後は、人を幸せにする仕事がしたいと思っています。心が壊れたり、生きづらさを感じやすい時代に、人々のためにアートは何ができるのか。その先の未来に、とても興味があります。

おわりに

「美大」は、新しい未来を切り拓く力や自由な発想力といった、これから誰もが必要となるスキルを育む場所。絵を描くなどの「実技」のない入試方式を取り入れ、学生の多様化も加速中です。気になる人は、武蔵野美術大学の「MUSABI WEB OPEN CAMPUS」「オンライン進学相談会」ページを覗いてみてください。

武蔵野美術大学「MUSABI WEB OPEN CAMPUS」特設サイト 詳しくはこちら 「オンライン進学相談会」随時付け中!! 詳しくはこちら
この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
    スマホアプリで
    学習管理をもっと便利に