生命のメカニズムが技術に変わる! バイオテクノロジーのココがすごい!

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はじめに

「バイオテクノロジー」って、「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた造語だと知っていましたか? 言葉は新しいですが、お酒やチーズなどの食品の発酵、苗のかけあわせなど、古代から使われた技術でした。生命科学が発達し、遺伝子解析等が進む中で飛躍的に進歩。現代では医療・環境・エネルギー産業に貢献し、将来的には地球の抱える諸問題を解決できる技術として期待されています。一見バイオテクノロジーに関係ないような分野にも、実は活用されているのです。今回はそんな研究をいくつかご紹介していきましょう。

放射性物質に汚染された土壌をキノコが浄化!?

原子力発電所事故による土壌汚染が問題となっています。汚染物質は放射性セシウム。この物質を除去して土壌を改善する手段は、人力や重機で土壌表面を除去する「除染作業」のみです。
より有効な手段としてバイオテクノロジー分野が注目しているのが、キノコです。キノコは放射性セシウムを高濃度で濃縮する性質を持っています。このメカニズムを解明し、関連する遺伝子を突き止めれば、放射性セシウムの濃縮能力を高めたキノコの菌株を作製できます。土壌浄化に特化したキノコを汚染土壌に利用できないかと、研究が進められているのです。
食材でもあるキノコが、環境問題を解決する手段にもなるなんて、驚きですね。

ねらった部位へ希望通りの時間に薬を放出するカプセル!?

疾病の治療に欠かせない薬剤。薬剤は、投与されて標的部位に届くまでにさまざまな身体器官を通ります。その間に多くが吸収・分解されるため、標的部位に到達するのはごく一部です。標的部位にだけ薬剤を届ける「適“剤”適所」の技術開発にも、バイオテクノロジーが関わっています。
「シャペロニン」というタンパク質の複合体の内部には直径5nmの空洞があります。ここに薬剤を入れてカプセルとしての利用をめざす研究が行われています。というのも、「ATP加水分解」という生体反応が起きる際に、このタンパク質性ナノカプセルが蓋を開閉し、内包物の取り込みと放出を行うからです。カプセルに蓋を開ける時間を制御する変異を加え、局所送達シグナル配列を付与することで、カプセルを標的部位にのみ届け、指定通りの時間に薬剤を放出できるようになります。
より安全で効率的な薬剤使用を実現できるカプセルが、生物のしくみを利用して開発されているなんて、実用が待ち遠しいですね。

2コースでバイオ人材を育てる神奈川工科大学応用バイオ科学科とは!

ご紹介してきた「微生物を利用した環境浄化」「生物がもつタンパク質性ナノカプセルを利用したドラッグデリバリー」は、神奈川工科大学の応用バイオ科学科で行われている研究なんです。

応用バイオ科学科は2コースを設置しています。応用バイオコースは、開発志向型。「医薬・ライフサイエンス」「食品・植物科学」「環境・微生物学」の3分野を中心に、遺伝子レベルの研究に取り組み、生物が持つ機能を突き詰めます。産業界で即戦力となれるバイオ技術者の育成をめざします。

2020年に設置された生命科学コースは、基礎科学志向型。化学・生物学・物理学・数学・情報科学の基礎から生命化学・生物科学の専門分野を究めることで、情報収集とデータ解析のスキルを高め、未知なる課題の発見と解決能力を養います。

応用バイオ科学科では、実験と授業が融合したユニットプログラムで学びをスタートし、より専門性の高い実験に取り組んでいきます。実験と併行して生命科学と情報科学の融合分野であるバイオインフォマティクスのスキルも身につけることで、医療・食品・環境分野で活躍できる技術基盤を修得します。

高度な設備を使いこなせる充実の研究環境

1年次から数多くの実験に取り組めるのが応用バイオ科学科の特色ですが、その研究環境が地方国立大学に勝るほど素晴らしいのも強みのひとつです。
バイオ系の実験設備を集約した「バイオサイエンスセンター」では高度な分析機器や遺伝子実験室・微生物実験室などの施設が整っています。

また「バイオメディカル研究センター」では、最先端の高度な研究機器を使い、医薬品や医療技術の開発に取り組むことができます。

これらの施設・設備を使いこなし、研究成果を学内外の学会で発表したり、新たな知見を求めて「海外バイオ研修」で学ぶチャンスもあります。研究環境をフル活用した熱心な学びが評価され、企業への就職はもちろん、東京大学や東北大学の大学院に進学する学生も輩出しています。

おわりに

バイオテクノロジーは生物のしくみを理解し応用する技術であること、バイオテクノロジーを究めるにはさまざまな実験に取り組める環境が必要であることをご紹介してきました。もしバイオの世界に興味があるなら、どんな研究をしているのか、どんな施設や設備があるのかを具体的に調べることをおすすめします。神奈川工科大学は、オンラインでのオープンキャンパスや個別相談会を実施しています。知りたいこと、聞きたいことを投げかけてみると、未来が見えるかもしれませんね。

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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