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はじめに
進学先を考える際にまず考えること、それは「自分が何を学ぶのか」ですよね。でも、高校生の段階で、学びたい専門分野が明確に決まっている人は少数派なのではないでしょうか。「何となくこっちの方向かな?」という方も多くいるかと思います。そんな時代の流れを受けて、大学の学びは多様化してきています。入学時から「この分野だけを極める!」と一本道を歩むのではなく、高い専門性と複眼思考を培いながら、自らの方向性を定めることができる大学が増えています。中でも、早期からこうした自由度の高い学び方を取り入れている大学があるんです。
「学部・学科制」ではなく、「学域・学類制」を導入している大阪府立大学
「公立大学の一般入試志願者数No.1」(『大学ランキング2020』朝日新聞出版)の大阪府立大学は、1883年設置の「獣医学講習所」にルーツを持つ歴史ある大学。現在の大阪府立大学は、大阪府立大学(旧)・大阪女子大学・大阪府立看護大学が2005年に統合して誕生しました。
その最大の特色は、従来の7学部28学科から4学域13学類に移行した「学域・学類制」で、2012年から導入されています。1年次はさまざまな分野を横断的に学ぶことができ、理系・文系といった考え方にとらわれずに学ぶことができる環境となっています。例えば、「現代システム科学域」の「マネジメント学類」では、経営・経済といった文系の学問と、データ分析など理系に近い学問の両方を学ぶことができます。
また、必修の初年次ゼミナールは、全学域生が対象で、90以上のテーマから興味のあるテーマを選ぶことができ、学域を越えた仲間と少人数のゼミで議論しながら学ぶことができます。共通教育科目では、リベラルアーツの幅広い科目を選択することが可能です。こうして多様な学びを経験し、自分の特性や方向を見極めた上で、2年次からの専門課程を選択できるのです(一部の学類を除く)。この「経過選択制」により、自らの適性と専門分野のミスマッチを防ぐことができます。受験期ではなく、大学で実際に学びながら専門分野を選べる方が、断然しっくりきますよね。
主専攻以外の分野を学べる「副専攻」
大きな枠組みから学ぶことができる学域・学類制を採用する大阪府立大学には、主専攻以外の専門分野を副専攻として本格的に学べる「副専攻」という教育プログラムもあります。「グローバル・コミュニケーション」「DDCフランス語コミュニケーション学」「環境学」「情報システム学」「経済学」「認知科学」「地域再生(CR)」「創薬科学」といった学域の枠を越えた学びが用意されているのです。
例えば、工学域の学生がアプローチする「創薬科学」と、生命環境科学域の学生がアプローチする「創薬科学」では、見方がかなり変わってきます。そうしたバックグラウンドの異なる学生が、同じテーマについて学ぶことでお互いに大きな刺激になります。現代の複雑な社会問題を解決するためには、高い専門性とさまざまな角度から物事を捉える複眼思考をあわせ持った人材が求められています。そういった時代背景を受け、分野の垣根を越えた副専攻プログラムは設計されています。
工学域の一般選抜は中期日程のみ。受験のチャンスが増える!
「現代システム科学域」「工学域」「生命環境科学域」「地域保健学域」の4つの学域のうち、最も入試倍率が高いのが「工学域」。航空宇宙工学・海洋システム工学といった全国でもめずらしい分野を専門的に学べることも人気の理由です。
同じ関西には、京都大学・大阪大学をはじめとして多数の難関国公立大学がありますが、これらの大学と「工学域」は入試日程が重ならず、他の国公立大学と併願が可能です。また、名古屋にも試験会場が設けられているため、関西・中国地方のみならず、東海地方からの志願者も増えています。「この難関を突破すれば、モチベーションの高い仲間たちに会える!」と思えば、受験勉強にも力が入りそうですね。
おわりに
大阪府立大学は、さまざまな分野の知識を融合させ、複眼思考の人材を育てていることを紹介してきました。また、2019年度の看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士の国家試験合格率はすべて100%と、医療系の資格取得にも強いのです。
2022年にはさらに大阪市立大学と融合し、大阪公立大学(仮称・設置認可申請中)が誕生します。学生数・教員数で日本最大の公立大学になります。学びの領域がますます豊かに広がっていきそうですね。大阪都心部の森之宮に新キャンパスを建設する予定もあります。学ぶ領域も、学び方も、育てる人材も、全てにおいてチャレンジング。国公立大学をめざしているなら、詳しくチェックしてみることをおすすめします。
※新組織は設置認可申請中のものであり、今後変更の可能性があります。