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はじめに
みなさんは「交通工学」という学びの分野を知っていますか? 「交通工学」とは、自動車交通、鉄道、航空、海運など、人々の生活に欠かせない“交通”に関わる幅広い技術を研究する学問です。
今回は、交通工学を専門とする日本で唯一の学科、日本大学理工学部交通システム工学科に通う1年生2名にインタビューを実施。交通工学のパイオニアである学科の魅力や、実際の「交通工学」の勉強がどういったものなのか、詳しく伺ってきました。
・Y.Kさん(写真左)
・T.Sさん(写真右)
先輩たちが交通システム工学科を志望した理由とは?
――日本大学理工学部交通システム工学科へ進学を決めた理由を教えてください。
Tさん(以下、T): 元々は、技術科の教員を目指していたんです。理工学系で技術科の教員免許が取得できる大学を探していたところ、高校2年生の時に参加した日本大学理工学部のオープンキャンパスで、偶然この学科に出会いました。「交通工学」という分野を知ったのもこの時がはじめてです。
僕は元々、鉄道やバス、飛行機といった交通手段で移動することが大好きで、中学高校では交通研究部に所属し、様々な交通機関の現状や課題を調査・研究していました。鉄道会社に赴いて地域活性化の為にできることを話し合う交流会に参加し、自分の提案が入賞したこともありましたね。
ですので、交通システム工学科に出会った時「ここしかない!」と感じました。これまで培ってきた交通の知識が活かせると共に、大好きな交通についての学びを深めることができると思い、迷わずこの学科を志望しました。
Yさん(以下、Y):私が進学を決めた理由は、交通施設に関心を持っていたからです。高校生の時、最寄りの駅に新しい改札と通路ができたのですが、それまで人が多すぎて通りにくいと感じていた道が、1つの施設が変わるだけでこんなに快適になるのだということに興味を惹かれました。
大学でも道路や駅など、交通に関する勉強がしたいと思い、インターネットで調べていたところ、交通システム工学科のホームページを見つけました。はじめは土木系の学科を見ていたのですが、交通に特化している学科であることを知り、進学を決めました。
様々な視点で“交通”を捉える、「交通工学」の学び
――入学してもうすぐ1年経ちますが、現在はどのようなことを学んでいるのですか?
T:交通工学に関する基礎的な分野を幅広く勉強しています。「交通総論」という授業では、そもそも交通とは何かという導入から始まり、交通技術者になるために必要な基礎知識をしっかりと学ぶことができました。
――印象に残っている授業があれば教えてください。
Y:「交通システム工学インセンティブ」という科目で取り組んだ、「自分の身近にある交通に関する問題を見つけて、どう解決していくか」を考える授業が印象に残っています。
私は、家の近くにある歩道で感じたことをテーマにしました。その歩道は真ん中に白線が引かれていて、自転車と歩行者が通る場所を分けているんです。それなのに、自転車と歩行者がぶつかりそうになっている光景を目にすることも多くって……。どうすればしっかりと自分の通る道を認識できるようになるのか、考えることにしました。
――どのような解決策を考えたのですか?
Y:一目で区別できるように自転車レーンに色をつければ、人々の認識が上がるのではないかと考えました。教授からは、「どうして人の認識が上がるのかまで考えてみて」とフィードバックを貰い、さらに調査を進めていったのを覚えています。
この授業を通して、交通に関する諸問題を解決するためには、交通施設を設計・建設する技術的な視点だけでなく、人の行動やその場所の環境など、あらゆる視点を持つことが必要なのだと実感することができました。
――Tさんはどのような問題をテーマにしたのでしょうか。
T:家の近くを走っている地下鉄の換気について取り上げました。その地下鉄には、一部窓が空かない部分がありまして……。新型コロナウイルスの影響も考慮して、より換気を良くする方法を考えることにしました。通勤高速バスを導入して混雑緩和を目指す案や、換気扇のバッテリーを強力なものに変えて効率よく換気扇を動かす案など、様々な側面から解決策を考えたのが印象に残っています。
調べを進めていくと、自分が考えていた案と同じ策が、実際にとある鉄道会社で採用されていたことを知りました。その時は驚いたのですが、本当にこの案で問題が解決したら面白いなと思っていたので、素直に嬉しかったですね。
全国の「交通好き」が集まる、学科の魅力
――交通システム工学科の魅力を教えてください。
T: “交通”の名前の通り、交通システム工学科には全国各地から交通をこよなく愛する人達が集まっています。僕もその1人ではありますが、みんなで鉄道やバスなど、交通関連の話ができるのは本当に楽しい環境だと思います! 先生方も優しく気兼ねなく質問できるので、授業の雰囲気がとても良いのも魅力ですね。
Y:私が思う交通システム工学科の魅力は、授業で先生や卒業生の方からリアルな現場の話が聞けることですね。実社会での仕事の様子を、授業を通して知ることで、将来自分が交通の分野で働くイメージがしやすいと思います。
T:たしかにそうですね! 3年次には、実際に鉄道会社で勤務している方から直接講義を受けるカリキュラムがあるそうです。より実践的な知識を身につけることができそうだと今からとても楽しみにしています。
――就職にも役立つ知識が得られそうですね! 将来はどんな仕事に就きたいと考えていますか?
Y:交通に興味を持ったきっかけが駅の施設だったので、鉄道に関する職業に就いて、駅や線路の計画・管理に携わりたいと思っています。しかし、授業を通して「まちづくりの中の交通」についても興味が湧いてきました。学んだ知識を活かして、都市計画に関わる仕事も担当してみたいと考えています。
T:僕は、まだ明確に「将来これがしたい!」というのを決めていないんです。交通の分野で活躍したいと思ってはいますが、これから沢山の授業を受けていくなかで、自分が本当にやりたいことを見つけていきたいですね。
交通システム工学科で学ぶ先輩たちにとって「交通工学」とは?
――最後に、2人にとって「交通工学とは何か」を聞かせてください!
Y:「交通工学」は、生活の基盤となる“交通”を通して、人々の移動だけでなく、暮らしそのものを快適にすることができる学問だと感じています。
T:建設や機械、土木などの各分野を発展させて、交通分野に特化させたものだと思っています。さらに昨今では、5G技術の発展やコロナウイルスの流行などにより、人々の生活様式が大きく変化しました。「交通工学」は、そんな人々の生活の移り変わりに併せてアップデートをし続けていく、そんな学問だと考えています。
おわりに
いかがでしたか? インタビューで紹介した授業の他にも、建築や環境問題、情報通信技術など、交通システム工学科の“交通”の学びは多岐に渡ります。
「鉄道や自動車が好き!」「将来は鉄道・運輸関係の仕事に就きたい!」と考えているあなたはもちろん、「ちょっと交通に興味がある……」という人も、日本の「交通工学」をリードする、日本大学理工学部交通システム工学科で、交通の知識を深めてみませんか? 自分の夢を叶える「学び」に出会えるかもしれませんよ。