神奈川工科大学「宇宙工学」に注目!JAXA「はやぶさ2」プロジェクトに携わった照井教授にインタビュー

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はじめに

この春から神奈川工科大学工学部機械工学科に照井冬人教授が着任されました。照井先生は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に在籍し、探査機「はやぶさ2」のプロジェクトに携わっていたそうです。世界初の2回のタッチダウンを成功させるなど、宇宙工学の分野で数々の実績を残されています。
先生のこれまでの貴重な経験から、実際に大学でどのようなことが学べるか、卒業後の進路など、気になるお話を伺ってきました!

JAXAで「はやぶさ2」のプロジェクトで偉業達成!

――JAXAで「はやぶさ2」のプロジェクトに携わっていたとのことですが、具体的にどのような活動をされていたのでしょうか?

「はやぶさ(初号機)」プロジェクトでは地球に戻ってくる途中の運用から参加しました。「はやぶさ2」に関しては、航法誘導制御系の開発や、探査機から送られてくる情報を確認して指令を送るような運用における航法誘導制御系の責任者でした。
特に、小惑星への2回のタッチダウンを担当していました。

結果として、世界初の2回のタッチダウンを含め、計画されていた小惑星近傍での運用をすべて成功させることができました。

――すべてを成功させた偉業の裏には、どんな苦労や過程があったのでしょうか?

そこに至るまでの過程は、楽ではなかったです。試行錯誤しながら、確実に探査機を壊さないような運用計画を作る必要がありました。失敗はできないので、着陸のためにリハーサルを繰り返します。リハーサルでは上手くいかず、降下の途中で探査機が異常に気づき、緊急上昇してしまったこともありました。その原因は、運用手順の不備にありました。探査機はそれを異常と感じて自分を守るために急上昇していたんです。上手くいくように調整して、本番では成功することができました。

――成功の裏には想像を超える計画、準備があるんですね。

運用計画、制御のために使う搭載計算機、センサーやアクチュエーターなどのハードウエア、搭載計算機の中に入っているソフトウェアの開発、試験などすべてに責任があります。運用においては降下してからタッチダウンをするまでの手順すべてに一つのミスも許されません。

――とても緊張感のあるプロジェクトですね。その中で感動したことは何ですか?

やはり、2019年2月22日に実施した小惑星への最初のタッチダウンですね。あらゆる対策は尽くしたと言っても始めての時が一番不安な要素は多いです。その時は毎日が無我夢中だったので感じませんでしたが、今思うと前年の年末から正月、2月22日まで、物凄いプレッシャーの中で我々は仕事を続けていたのだと思います。成功して上昇していることが地上から確認できた時は感動したと同時にほっとしました。

「宇宙工学」はどんな学問?先生の研究室では何を研究するの?

――先生の研究分野は何でしょうか?

宇宙工学、画像航法誘導制御工学、アストロダイナミクス(宇宙動力学)です。

――「宇宙工学」といっても幅広いですが、具体的にどのようなことを学べるのでしょうか?

宇宙工学は、制御工学に限らず、軌道力学、姿勢力学、構造力学、画像処理、宇宙用ハードウェア/ソフトウェア、試験、運用と幅広いです。宇宙はすべてがうまくまわらないといけないので、ハードとソフト、試験も運用も全てに関し幅広く知識を身につける必要があります。

――具体的に先生の研究室では、どのようなことを研究する予定ですか?

「宇宙機制御工学研究室」は人工衛星、小惑星探査機などの位置や姿勢を思い通りに動かす制御のやり方を研究する研究室です。これまでの経験を生かして、(実際の技術的なニーズに答えるという意味で)「地に足がついた」、(自分で経験したことに基づいて自分で手を動かした問題を取り扱うという意味で)「血が通った」教育、研究を目指したいです。

――先生の研究分野を学んだ学生の進路、将来の展望などはどういった可能性が考えられるでしょうか?

宇宙機(ロケット、人工衛星、宇宙ステーション、惑星探査機)は、3次元空間を移動する移動体(ビークル)です。私の研究室では、その制御関連の技術を学びます。移動体は宇宙機に限らず、飛行機、ドローン、自動車、船舶、自転車、移動ロボットなどたくさんあります。ここで学んだことは、それらの開発や操縦、運転、運航の仕事に関係する際に役立つ基礎知識になります。

意欲のある皆さんと一緒に盛り上げていきたい!

――神奈川工科大学の魅力はどこにありますか?

学生と教員の距離の近さに魅力を感じます。学生の状況に応じてキメの細かい教育をしています。コロナ禍でも工夫をして意欲的に学びの機会を提供できています。

――どんな学生に来てほしいですか?

興味・意欲がある人を待っています。
大学では高校と大きく違って、自由が広がっています。自分で主体的に知識を得て、主体的に考える機会を得る場所。意欲と興味さえあれば実力はつけられますし、こちらからも惜しみなく学びの場を提供します。

――最後に、受験勉強をがんばっている高校生へのメッセージをください。

ここで自分の好きなことを探してください。それを職業にできて、生きていく。――それが少しでも人のためになるのなら、充実した人生が送れるはずです。研究を通じて大学時代に「成功体験」を身につけて社会に出てほしいと思っています。それが一生の糧になるでしょう。

おわりに

照井先生は、幼少期に夢中になったアニメに影響を受けて、中学生の頃には宇宙工学の道を志したそうです。神奈川工科大学では、そんな自分の好きなこと、興味があることについて、意欲さえあればいくらでも学びを提供してくれる環境が整っています。照井先生のいる神奈川工科大学で宇宙工学の世界に飛び込んでみませんか?

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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