大切なのは、知識だけではない。医学の道を目指す人にこそ、知ってほしいこと

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はじめに

将来は医学部に入りたい! そう考えている方は、多いのではないでしょうか。
大学には様々な学部がありますが、そのなかでも医学部は少し特殊かもしれません。なぜなら、患者さんをはじめとした「人」の人生に向き合う学問だから。学力も大切ですが、考え方や心持ちもすごく大切なのです。
そこで今回は、埼玉医科大学医学部長の村越先生に、インタビューを実施。医療人に求められることはなにか、お話を伺いました!

「すぐれた医療人」になるために、必要なことってなんですか?

――テクノロジーの進歩などもあり、医療を取り巻く環境は変わりつつあります。そのなかでも「すぐれた医療人」になるために、必要なことはなんでしょうか。

医学部長 村越隆之
様々な要素がありますが、一番大切なのは、患者さん中心の医療を実践し、必要な知識・技能・態度を身につけたのちも、たえず自分磨きを続けること。
学力や知識はもちろん重要ですが、それだけで医師になることはできません。患者さんの心に寄り添い、謙虚な姿勢で十分に信頼関係を育む。そして、医学部を卒業したあとも学びを続け、質の高い医療を患者さんに提供し続ける。こういったことが、とても大切です。
埼玉医科大学では、このような考え方を<期待する医療人像>として、「高い倫理観と人間性の涵養」「国際水準の医学・医療の実践」「社会的視点に立った調和と協力」といった言葉でまとめています。たんに優秀なだけではない、人間性も考え方も洗練された医療人が、すぐれた医療人と言えるのではないでしょうか。

埼玉医科大学の「師弟同行の学風」と、「6年一貫・統合教育」

――埼玉医科大学では、建学の理念として「生命への深い愛情と理解と奉仕に生きるすぐれた実地臨床医家の育成」「自らが考え、求め、努め、以て自らの生長を主体的に開展し得る人間の育成」「師弟同行の学風の育成」を掲げています。前者2つは、すぐれた医療人の考え方につながりますが、最後の「師弟同行の学風の育成」について教えていただけますか。

医学部長 村越隆之
「師弟同行」(していどうぎょう)とは、教員が学生に一方的に教えるというのではなく、教員と学生が実践を通してともに学びあう、という意味を持つ言葉です。実際に、本医学部のカリキュラムでは少人数教育を多く取り入れることで、常に一人一人の学生が自主的、主体的に調べ、考え、発言する機会を増やし、学生と教員が学ぶ過程を確認しあうことを可能にしています。また、普段から学生と教員の距離がとても近く、自分に合った勉強の仕方、人間関係、将来のキャリアパス、勉強以外のこと、なんでも話し合える関係がそこかしこで見られることが特徴。教員と学生が近い距離でお互いに学び合う環境をつくることで、このような「師弟同行」の学風を育んでいます。

――そのほかに、埼玉医科大学の教育にはどのような特徴がありますか。

医学部長 村越隆之
「6年一貫・統合教育」を実施している点です。これまでの医学部では、内科の勉強、外科の勉強、といったように、各科の学問ごとに学んでいくのが通常でした。しかし、医学を学問体系ごとではなく統合的に学習することにより、科目にとらわれることなく、広い視野を持って患者さんを診る目を養うことができますし、医学・医療の知識、臨床医として必要な技能と態度を、効果的に修得することが可能です。
さらに、卒業後の初期臨床研修では、臨床医として必要な知識・技能・態度を磨いていきます。本学では、大学病院(毛呂山キャンパス)、総合医療センター(川越キャンパス)および、国際医療センター(日高キャンパス)の3つの病院からなる大学病院群を有しており、卒業後もこれらの病院で研修を行うことができます。

大学病院群は、国内有数の病床数。2019年7月には新教育実習棟が竣工。

――埼玉医科大学の教育環境について教えてください

医学部長 村越隆之
埼玉医科大学病院群は総病床数(入院ベット数)約2,700床を有していますが、この数字は国内でも有数。3病院とも圧倒的な症例数を誇っています。数多くの多様な症例を経験することは卒業後の研修ではもちろんのこと、卒業前の臨床医学教育でもとても役立ちます。また、各病院がそれぞれ特徴ある診療体制を有するとともに研究機関でもある点が大学病院ならでは。もともと、埼玉医科大学は明治以来、この地で地域医療を実践していた毛呂病院(もろびょういん)が母体となって生まれた大学です。そのため、本大学病院群では高度先進医療はもちろんのこと、地域医療や在宅医療も学ぶことができます。
医学部のキャンパスがある場所は、埼玉県の毛呂山町(もろやままち)。学生が学習に集中できるよう、講義室や附属図書館、学生ホール、食堂など必要な設備を、緑あふれる広いキャンパス内に配置しています。また同敷地内には3病院の中で卒前教育のコアを担う埼玉医科大学病院があり、現場の医療を入学直後から常に肌で感じることができる環境にあります。
加えて本学では、2022年に創立50周年を迎えるにあたり、新教育実習棟・カタロスタワーが竣工しました。カタロスタワーは、すぐれた臨床医を育てるための少人数教育を中心とした実習・演習やシミュレーション教育を自在に展開できる施設となっています。(その中の主要な教室や多くのフリースペースは学生たちがネーミングしました。)

(ネーミング決定に参加した学生たち)

おわりに

村越医学部長のインタビューは、いかがでしたか。
埼玉医科大学は医師国家試験合格率において、直近では全国平均91.4%を上回る94.6%。卒業後の進路も、臨床医として広く学ぶ、一つの道を究める、教育に生きる、世界に羽ばたく、研究で名を上げるなど、様々です。また近年、埼玉医科大学では「地域医学推進室」として、原点である地域医療をより深く学ぶ教育プログラムも推進していますので、地域に根ざした医療への理解をより深めるといったこともできるでしょう。

将来、医学の道に進みたい方は「どこの医学部に進むか」がとても重要になってきます。
世の中には様々な大学の医学部がありますが、進学したあとに後悔しないよう、今のうちからしっかりと調べ、進路を考えていきましょう!

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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