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はじめに
新型コロナの影響はとどまるところを知らず、現在は感染のみならず、後遺症に悩む方も多く見受けられるようになりました。後遺症は、みなさんと同じような若い世代の方にも現れているのが特徴。日常生活の様々な面で支障をきたしている方がたくさんいます。
このような状況のなか、後遺症のリハビリに携わる方々の需要は日々高まっています。そこで今回は、患者さんに寄り添いながらリハビリをサポートする理学療法士・作業療法士を輩出する、東京保健医療専門職大学の田畑稔教授と近野智子准教授にお話を伺いました。
コロナ禍の理学療法士・作業療法士の仕事について、おふたりにインタビュー!
写真右
田畑稔先生(リハビリテーション学部理学療法学科 学科長)
写真左
近野智子先生(リハビリテーション学部作業療法学科 副学科長)
−−理学療法士と作業療法士の仕事内容について、教えてください。
田畑先生
理学療法士とは、ケガや病気などで障害のある人に対して、座る、立つ、歩くといった基本動作能力の回復や維持、悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法で自立した日常生活が送れるよう支援する資格を持った人のことを言います。理学療法士と作業療法士では、患者さんの対象と仕事内容に違いがあります。
近野先生
作業療法士は、体に障害を持った方だけではなくて心の病を持たれている方、また年齢層も子供から高齢の方までが対象です。「心と体のリハビリテーション」を掲げており、理学療法よりも対象となる患者さんの幅が広いのが特徴です。
田畑先生が学科長を務める理学療法学科では、理学療法の専門性を活かし、現場の中核として社会の変化に対応できる実務リーダーを、作業療法学科では、作業療法士としての高度な専門性・実践力と豊かな応用力・創造力を備えた実務リーダーの養成を、それぞれ目指しています。
−−新型コロナは、理学療法士・作業療法士の仕事にどんな影響を及ぼしていますか。
田畑先生
理学療法士の場合、これまで患者さんと実際に対面でリハビリを行っていたのが、オンラインによる遠隔リハビリを実施するケースが増えてきました。また、対面リハビリを実施する際も、マスクだけでなく、フェイスシールドといった防護具を使用する必要があります。
近野先生
作業療法士の現場も同様の状況です。患者さんも感染対策は必須ですが、症状や状況によってはマスクをつけられないケースもあるため、どこまで徹底できるかに差がある。現場の苦労は大きなものがあります。
田畑先生
加えて、コミュニケーションの問題もあります。これまでは患部に触れたりしながら細かなアドバイスもできるのですが、防護具を付けた状況ではそれもなかなか難しい。各病院で仕事のやり方を各々工夫しながら、取り組んでいるようです。
−−現在、新型コロナの後遺症に悩む方がたくさんいます。理学療法士・作業療法士にできることはなんでしょうか。
近野先生
リハビリの目的は、リハビリを通していかにコロナ以前の生活に戻すか、もしくは近づけていけるかという点にあります。それは患者さんに寄り添い、ADL(日常生活動作:Activities of Daily Living)、 QOL(生活の質:Quality Of Life)を、ともに改善・向上していくことと言い換えてもいい。後遺症の度合いは患者さんにより様々ですが、今後の生活、そして職場復帰をはじめとした仕事への取り組み方を、一緒に考え、形にしていく姿勢が大切です。
田畑先生
理学療法士・作業療法士は、医師や看護師よりも長い時間患者さんと接します。たとえ身体機能が戻っても、今後の生活に不安を抱える方はたくさんいますから、長期間にわたって顔を合わせる理学療法士・作業療法士は、心を許せる存在になり得る。単なるリハビリを行うのではなく、親身にコミュニケーションをとることが大切です。
近野先生
田畑先生の言う通り、そういった姿勢はこれからより大切になっていくはずです。特に呼吸器系の後遺症は、日々の生活に大きく関わりますから、患者さんの症状や悩みに寄り添い、ケアができる理学療法士・作業療法士は現場で求められています。
田畑先生
そうですね。今回のコロナ禍に限らず、日本の高齢者が多い状況を考えると、「健康寿命の延伸」が大切になっています。健康寿命とは、平均寿命から寝たきりや介護状態の期間を差し引いた期間のこと。すなわち自分で身の回りのことを行いながら生活できる期間になりますが、患者さんの心と体に寄り添いケアをすることは、この健康寿命の延伸にもつながってくるのではないでしょうか。
−−東京保健医療専門職大学について、教えてください。
田畑先生
当大学は1クラス40人という規模で濃密な授業を行うことに加え、他大学よりも実習時間が格段に多いため、より現場を想定した形で学ぶことができます。また先ほどの健康寿命の延伸、予防理学療法、加えてAIやロボットを利用したリハビリテーション工学といったテーマの授業も、他大学にはない特徴のひとつ。より専門的に、深く学べるカリキュラムを用意しています。
近野先生
それらに加えて、経営マネジメント関連の科目も当大学ならでは。専門職としての知識や技術と合わせて、経営に関する知識も学ぶことができます。将来、病院や企業に勤める際に、経営やマネジメントに関する知識が求められる時代になっています。将来起業したり、健康産業につながるような会社を起こしたりする時にも、必ず役に立つはずです。
田畑先生
専門職大学のテーマのひとつが、「世の中とつながる」。現場に即した授業、最先端のテクノロジーを取り入れた授業、また経営やマネジメントなどの授業は、まさに世の中とつながる授業と言えるのではないでしょうか。
−−最後に、理学療法士・作業療法士を目指す高校生にメッセージをお願いします。
田畑先生
専門職大学は、大学で勉強したいテーマが決まっている、また知識と技術をきちんと身につけたい学生にとっては、ぴったりの環境です。先生も現場の第一線で働いていた、もしくは働いている方ばかり。医療の道に興味があれば、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
近野先生
取得単位数の多さ、またたくさんの実習といった濃密なカリキュラムは本学の特色。やる気のある学生にとっては、本当にやりがいのある大学だと思います。
専門職大学は、今までにない幅広い視点、社会的な視点をもった学生が育つ大学だという社会からの期待もあります。ぜひ将来、医療に関する仕事でたくさんの人に役に立ちたいと思う方は、進学を検討してみてください。
おわりに
新型コロナの影響、そして少子高齢社会の日本では、理学療法士・作業療法士の重要性がますます高まっています。
興味があれば、将来に向けて、徹底した現場目線の授業、そして最新のAI・ロボットや経営のカリキュラムを取り入れている東京保健医療専門職大学で学んでみてはいかがでしょうか。きっとたくさんのやりがい、そして充実した大学生活が待っているはずです。