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はじめに
日本には四季があり、季節ごとに色とりどりの花が私たちの目を楽しませてくれます。受験勉強に疲れたら、ふと窓の外に視線を向けてみてはいかがでしょうか。自然の風景を眺めることは、心を休めるよい息抜きになります。
さて、普段何気なく見ている自然の風景に数学的な美しさが潜んでいるということをご存知でしょうか。例えば「フィボナッチ数列」という数列があります。これはイタリアの数学者フィボナッチが紹介したもので、「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55……」と、2つ前の項と1つ前の項を足し合わせていくことでできる数列です。ひまわりの花をよく観察すると、種がすき間なく並んでいますが、種の並びはらせん状に21個、34個、55個…とフィボナッチ数列に則っています。他にも松ぼっくりのかさの並び、パイナップルの模様、植物の葉の出かたにも見られます。フィボナッチ数列とこれらの自然界の生き物の関係性はまだ解明されていません。こうした自然界の「謎」に興味をそそられた人は、大学で発展的な研究をしてみてはいかがでしょうか。
社会のすべての領域で求められる数学の知見
地動説を唱え「天文学の父」と呼ばれるガリレオ・ガリレイは、「数学は、科学へとつながる鍵とドアである」と言っています。現在の多くの科学技術の基礎となるのは数学です。基礎となる数学を学ぶと、多くの科学技術へと関心の翼を広げていくことができます。
数学の領域では、最先端の科学技術を証明したり、社会課題を紐解くためのモデル式を作ったりします。ありとあらゆる分野で求められているのが数学の知見なのです。
また、数式には世界共通の言語という側面もあります。言葉は通じなくとも、数学を学んだ人であれば、数式を通して伝えたい理論を理解し合うことができます。
つまり、数学の応用範囲はさまざまな分野にあり、物理や化学などの自然現象、経済や社会現象の仕組みは、数学という「科学のことば」を使って説明することができるのです。津田塾大学の数学科は、こうした数学の可能性を「万物の基礎となる数学を掘り下げ、実社会で役立つ応用力に」という言葉に込めています。同学科では、特に科学技術の基礎となる数学的な考え方や、論理的思考法を身につけていくことができます。
津田塾大学数学科の魅力とは?
津田塾大学では1年次から4年次まで少人数の「セミナー」が必修となっています。「セミナー」は学生が事前にテキストで学んできたことを教員や他の学生に説明をする輪講形式の授業です。教員が授業をするのではなく、学生たちが授業をします。教員や他の学生から質問を受けることになるため、準備が必要ですが、自分の手と頭で数学に触れてみることができます。4年間通して「セミナー」を経験できるのは、津田塾大学ならではの教育で、主体的に学んでいくことで学生の力となり、数学への関心を深めていくことができるのです。
多くの授業では、講義と演習がセットになっています。例えば、講義では「関数が連続であるとはどういうことか」という概念について学んだり、さまざまな定理や公式を証明とともに学んだりします。そして、演習では問題を解きながら、講義で学んだ概念、定理や公式の理解を深めていきます。講義と演習をセットにしている背景には、数学を理解するには講義を聞くだけでなく、実際に自ら手を動かして解いていく必要があるという考えからといえます。
また、1、2年次は、「数学序論」や「解析学基礎Ⅰ・Ⅱ」「線形代数学I・II」など数学の基礎科目を学びます。この科目では高校まで学んだ数学の学習から少しずつステップアップしていくことを意識しています。高校で学んだことの確認や復習からスタートして、大学数学の高度な内容に無理なく入っていけるように配慮されたカリキュラムとなっているのです。なお、学習などに不安がある場合には、大学院生に相談できるサポート体制も整えています。
数学科では、中学と高校の数学の教員免許を取得することができます。さらに、コンピューターに関する講義も複数開講されており、高校の情報の教員免許も取得できます。教職課程では数学の専門科目のほか、授業の工夫や模擬授業を行う科目も用意され、実践的に教員になるための力を身につけていくことができます。
多様な業界で活躍する卒業生たち
同学科卒業後は、数学の教員となる学生、数学の専門的な知識と論理的思考力を活かし、情報サービスや通信、電機・電子メーカー、銀行や保険、証券などさまざまな企業に専門職として就職する学生が数多くいます。公務員として働く卒業生もいます。数学のリテラシーはあらゆる業界で必要とされているため、広く活躍の道が用意されているのです。
数学の専門性と英語力を活かし、高校の数学教員として教壇に立っている卒業生は、「数学をすべて英語で教えており、将来の目標は、国際バカロレアというプログラムで数学の指導ができるようになることです」と展望を語ります。
また、特許事務所で特許技術者をしている卒業生は、「仕事をしていて実感していることは、物事を論理的に整理する力はとても重要だということです。数学科での学習は、このような力を培うためにも、とても大切なものになると思います」と数学の学びの重要性を実感しています。
おわりに
数学の知見を深めると、あらゆる業界で活躍できるようになります。津田塾大学数学科は、高校数学と大学数学をつなぐサポートや、1年次から4年次までのセミナーで深く学ぶことができ、体系的に数学の学びを習得していくことができます。数学の知見を活かし、社会で大きく羽ばたいている卒業生がたくさんいる津田塾大学数学科をもっと深く知ってみませんか。