観光を通じて地域に貢献できる「観光まちづくり学部」を紹介!

はじめに

「地域を見つめ、地域を動かす」をモットーに、令和4(2022)年4月にスタートしたのが國學院大學の「観光まちづくり学部」です。その特長はというと、文系・理系の垣根を越えて、多様な側面から新しい観光学を学べるところ。教えてくださる先生方の専門分野も、都市計画、交通計画、社会学、経済学、人文資源、自然資源、ホテル経営、マーケティング、データサイエンスなど、幅広いジャンルをカバーしています。

では、「観光まちづくり学部」では実際にどんな授業が行われ、他大学の観光系学部とどのように異なっているのでしょうか。また、これからの観光業界はどのようになっていくのでしょうか。今回は、民間の研究機関で30年以上にわたって旅行・観光分野のコンサルタントの仕事に携わってきた実績をもつ、同学部の塩谷英生先生にお話をうかがいました。

観光を軸に「まちづくり」を学び、地域に貢献できる!

――コロナ禍を経て、これからの観光産業はどのようになっていくのでしょうか?

コロナ禍前の観光産業は、訪日旅行市場の急速な拡大によって好調に推移していました。しかし、突然発生したパンデミックによって訪日旅行市場がほぼ消えてしまい、これまで以上に国内旅行が重視されるようになりました。
今後、訪日旅行市場は急速に回復することが見込まれますが、観光地にとっては、訪日旅行と国内旅行のバランスをとりながら観光施策を進めることでリスクを抑制していく必要があるでしょう。また、地域内の経済循環に寄与する観光事業者に着目し、その動きを支援していくような観光政策もより重要になっていくはずです。


――そうした状況をふまえて、「観光まちづくり学部」が誕生した背景について教えていただけますか?

人口減少社会に直面している現代の日本では、私たちが暮らす地域をいかにして次世代へ引き継いでいけるかが大きな課題となっています。そして、この課題を解決するためには、地域の社会・経済・環境に関する幅広い知識と技術を身につけ、それらを有機的に統合し、より良い未来へ向けた「観光まちづくり」の提案と実践ができる人材が必要となります。
「観光まちづくり学部」は、そうした社会の要請に応える形で誕生した学部です。日本各地の歴史、文化、自然を見つめ、観光を基軸に持続可能な「まちづくり」を考えながら、多様な側面から地域に貢献できる人材を育てていくことをめざしていて、地域を支える学問を理論と実践の両面から分野横断的に学んでいくことができます。

幅広い専門分野から、自分に適した研究を学びながら考えられる!

――塩谷先生はどんな授業を担当されているのでしょうか?

私が開講している授業のひとつが「統計分析の基礎」です。この授業では、地域連携協定を結んでいる岐阜県高山市から観光統計のデータをご提供いただいて、Excelによる実践的な統計データの分析手法について学んでいきます。学生の皆さんには、観光主管課の職員になったイメージで、これらのデータをもとに統計の作業を体験してもらいます。
また、2年次直前の春休みに開講する「基礎ゼミナールB」では、観光政策を進めるうえで不可欠な観光財源をテーマに、法定外税や入湯税の超過課税、協力金制度などの財源制度について学んでもらいます。2023年の春は、歴史と自然環境に恵まれた広島県廿日市市の宮島をフィールドとして、新たに導入される法定外税の仕組みやその目的について現場で学んでもらう予定です。この授業ではさまざまな先生がそれぞれの専門分野からテーマをもち寄り、少人数のゼミ形式でフィールドワークを行っていくので、学生にとっては自分自身に適した研究分野を絞り込んでいくうえで良い機会になるかと思います。


――先生から見て「観光まちづくり学部」と、他大学の観光系学部学科との大きな違いはどういった部分でしょうか?

まちづくりをめぐる幅広い分野をカバーできる教員がそろっていることから、学生の皆さんのさまざまな関心分野に対応できる点は「観光まちづくり学部」ならではの特長です。
また、実績のある教員が多いのですが、加えて協調性のある方がとても多いとも感じています。「観光まちづくり演習」のような、大勢の教員が連携して実施していく科目が多いので、ツボをおさえた実践的なカリキュラムを創っていけるのではと思っています。

世界最大の産業である「観光」について、より良く学んでいくためには?

――では、「観光まちづくり学部」でより良く学んでいくために、学生たちにはどんな姿勢を求めていますか?

皆さん自身の頭で観光や地域経済の仕組みを理解するだけでなく、地域の課題に対して「ここが問題ではないか」という急所を探り当てる力を磨いていく必要があります。そして、4年間を有効に使って、これからの観光地や観光産業に新しい価値を創り出す人材になってくれればと思います。
全国に数ある観光学部のなかでも、「観光」といえば「國學院大學」といわれるような存在をめざしていきたいですし、新しく入ってくる学生の皆さんにも、そのつもりで頑張ってもらえるとうれしいです。


――観光や経済に興味のある受験生に向けてのメッセージをお願いします。

観光産業は世界最大の産業ともいわれますが、実は経済統計書のなかに「観光産業」という分類はありません。観光産業は、交通、宿泊、飲食、小売業、娯楽など、多様な産業部門にまたがっていて、地域に落ちる観光消費額を計算するには、こうした幅広い産業への消費額をすべて足し合わせる必要があります。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがありますが、地域の経済循環の仕組みにも日頃から目を配ってみるとさまざまな気づきがあるはずです。そして、こうした経済効果の計算には、高校で学ぶ行列や等比級数などの知識が役立ちますし、Excelなどの計算ソフトの使い方にも早めに慣れておくと、大学でより充実した学びを得られると思います。

おわりに

これからの観光業界にとって、地域の社会・経済・環境との関係はより重要性を増していくこと。「観光まちづくり学部」では実践をふまえながら、それらを横断的に学んでいけることが、塩谷先生のお話からは伝わってきました。
観光はもちろん、まちづくりを通して地域に貢献したい、経済やデータサイエンスなどに興味があるという方は、ぜひ國學院大學をチェックしてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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