「理系=男性」等の先入観に捉われず「学びたい」という想いを大切に。きっかけ1つで可能性は無限大!

はじめに

みなさんは、大学でどんなことを学ぼうと思っていますか。
進みたい道が明確に決まっている方。まだ考え中の方。様々だと思いますが、「理系に興味があるけど数学が苦手だから向いていないかも」「理系に進みたいけど女子だから文系がいいかも」なんていうふうに、「自分にはできないかも」と悩むことがあるかもしれません。
しかしそれって、本当に正しいのでしょうか。もしかしたら、固定観念からくる勝手な思い込みかもしれません。
そこで今回は、理系→文系→理系という道を歩んできた麗澤大学工学部講師の新井亜弓先生に、インタビューを実施!
やりたいことに果敢に取り組み、異色のキャリアを持つ新井先生に、これまでの取り組みや、未知の分野にチャレンジするときの考え方について伺いました。

実は数学が苦手だった? 教師の一言で、理系の道へ

――はじめに、新井先生の研究内容について教えてください。
モバイル機器を通じて得られるビックデータの解析を行っています。例えばみなさんが普段使っているスマートフォンでは、GPS機能をオンにすると位置情報がわかりますよね。こういった情報を解析すると、誰がいつ、どこにいたのかというのが、定量的なデータとして見えてくる。こうしたデータを都市開発や街の設計に取り入れることで、より過ごしやすく、より住みやすい街づくりに活かすことができます。

――高校生や大学生の頃から、現在の研究分野に興味はあったのでしょうか。
そんなことはありません。現在の研究分野は理系ですが、そもそも中高生のある時期までは数学に苦手意識がありました。だけど当時の教師から「物事を論理的に考えるのが得意だから、勉強すれば数学が得意になるかもしれないよ」と言われ、数学をやろうと思うように。そのうち本当に数学が好きになり、大学は建築学科に進学。大学院卒業後は都市開発に関わる仕事に就きました。

――建築学科から、なぜ現在の研究分野に進んだのですか。
都市開発の仕事では、「こんな街をつくると人がたくさん集まりますよ」という話をよくします。でも、私が携わっていたプロジェクトは、きちんと根拠を提示して、納得をしてもらえるような報告書を作成するのが難しかったんです。色々な人たちにプロジェクトの有用性や意義を、数字等の明確な根拠を基に説明できるようになりたく、データ分析に興味を持つようになりました。
ちょうど同じ頃、JICA(国際協力機構)で都市開発や法整備、保健などの専門知識を持った人が、経済学や統計学を学んで、それを途上国の開発に活かすことを支援する研修員のプログラムがあることを知りました。そこで勤めていた会社を退職し、経済学や統計学を勉強。その後、発展途上国の暮らしを研究するために、JICAの研究所メンバーとして海外で現地調査を行うようになりました。これは国際協力分野であるため、文系色の強い仕事と言えるかもしれません。JICAで開発の仕事をする中でビッグデータと出会い、再び大学院に行き直してデータサイエンスの勉強をしました。いまでは主にビッグデータの分析に関わっていて、その研究成果をもとに、国際連合などで国づくりに関わる提案や発表をしています。

やってみてダメだったら、そのとき考えればいい!


――理系→文系→理系と独自の道を歩んできた中で、学んだことはありますか。
たくさんありますが、ひとつ挙げるとしたら現場を自分の目で見て、考えることの大切さです。世の中では今何が起きているのか。ひょっとしたら、自分の知らないところで、何か予想もしないことが起きているんじゃないか。自分の目で見て、考えを巡らせることがとても重要です。それはどんな分野でも、どんな仕事でも変わりはないと思います。

――中学・高校時代は苦手な数学の克服に取り組んだり、社会人になってからは専門分野を変更したりと、常に新しいことにチャレンジしています。そこに不安はないのでしょうか。
私の場合は「やってみてダメだったら、そのとき考えればいいじゃん!」と、いつも思っています。JICAで働きたいと思った際には、仕事を辞めてもう一度学生になったのですが、そのときも不安より、自分の興味のあることにチャレンジできるという楽しさで頭が一杯でした。
「なんだか楽しそう」「やってみたいな」と思えるものが見つかったら、前向きな気持ちで飛び込んでみるのが良いと思います。


得意分野を活かしながら、協力して取り組むことが大切

――受験生の中には、「この分野に興味はあるけど自分には向いていないかも」と、尻込みしてしまう方もいると思います。
私のところにも、「理系に進みたいけど数学が得意じゃないから悩んでいる」という相談がくることがあります。でも実は、数学が担う役割ってほんの一部。数学が苦手なら、得意な人とチームを組んで一緒に取り組めば良いのです。
例えばスマホアプリひとつ作るにしても、企画を考えたり、全体の設計を考えたり、プログラミングをしたり、プロモーションを考えたり、アンケートをとって改善案をまとめたりと、様々な仕事がある。「この分野が苦手だから自分には難しい」と考えるのではなく、自分や他者の得意分野を活かしながら、チームで課題解決に取り組む姿勢が大切です。

――チームで取り組むことに、イメージが湧かない受験生もいるかもしれません。
高校の勉強は個人で取り組むことが多いので、イメージが湧きにくいかもしれませんね。しかし社会に出ると、一人で完結する仕事って実は少ないんです。チームで取り組むことが大半なので、学生時代から他者と協力して1つの課題に取り組む姿勢を身につけるのが良いと思います。
実際に麗澤大学工学部でも、グループで課題に取り組む授業を取り入れることで、将来に役立つ力を育んでいます。

いろんな価値観に触れることで、自分の可能性を広げよう!

――最後に、理系の進路を目指す学生にメッセージをお願いします。
一人でする受験勉強も大切ですが、外に出ていろんなものを見たり、友達や先生と様々な話をしたりすることで、刺激をたくさん受けてほしいと思います。
一人の人間が知っていることって、本当に少ない。いろんな価値観に触れることで、自分の可能性を広げていってください。たくさんの価値観に触れることで「こうでなければいけない」という思い込みが、些細なきっかけで変わることがあります。私が中学生の時、教師に言われた一言で数学を好きになれたように。視野を広げることで、思いもよらぬ気づきや、目標が見つかることもあります。固定観念で若いみなさんの可能性を狭めてしまうのはもったいない。色々なことから刺激を受けながら、目標に向かって頑張ってください!

おわりに

新井先生のインタビューはいかがでしたか。
チャレンジを恐れず、自分の興味に従って行動してきたからこそ、今の新井先生があるのかもしれません。
みなさんも、興味があれば遠慮せず、とにかくやってみる。そうすることで、将来が拓けてくるかもしれません。受験までのラストスパート、頑張っていきましょう!

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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