はじめに
「日本の労働人口のおよそ半分が人工知能(AI)やロボットで代替可能になる」
これは2015年にオックスフォード大学と野村総研によって発表された有名な試算で、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
この発表から間もなく10年が経とうとしていますが、最近では人間のように自然な会話ができるAIチャットサービス、ChatGPTの登場により、その試算はますます現実味を帯びてきています。そして、AIの発達が加速するこれからの社会では、AIを使いこなせる人材が求められるため、その育成こそが日本の未来を決めることになります。
そこで今回は、2026年4月に「AIライフデザイン学部(仮称・設置構想中)」の新設が予定されている和洋女子大学の鬘谷 要(かつらや かなめ)先生に、来たるべきAI時代に必要なスキルについてお話しを伺いました。
これからの時代に求められるのは、AIを「使いこなせる」スキル
Studyplus×和洋女子大学 調査結果
――和洋女子大学に「AIライフデザイン学科」が新設される背景について教えてください。
スタディプラスと和洋女子大学が行ったアンケートによると、『女子高校生の6割がAIの学びに興味がある』『女子高校生の2人に1人がChatGPTの利用経験がある』といった結果が出ています。このデータが示す通り、最近ではAIが私たちの生活の様々な場面に急速に浸透してきています。特にChatGPTが公開されたことで、AIに対する関心は急速に高まっています。こうした現状を背景に、理系文系という枠を越え、和洋女子大学らしい学びを提供できないかと考え、「AIライフデザイン学部」を開設することになりました。
――では、新学部の特色について教えてください。
これからの時代、AIが人間のあらゆる仕事をサポートしてくれるようになりますが、そのためにはAIという道具を「賢く使いこなす」ことが重要となります。実際、ChatGPTが公開された直後から、アメリカではAIに対して適切な指示を出す「プロンプター」という職業がもてはやされました。このように「AIを自在に使いこなせる人材」、さらには「AIを使ってデータの分析から課題解決提案ができる人材」へのニーズは、これから社会でますます高まっていくことが予測されています。
そこで「AIライフデザイン学部」では、既存の4学部9学科が有する専門知識を活用しながら、AIに関する幅広い学びと融合させます。社会の「あらゆる分野のあらゆる業種」でAIを駆使して「様々な課題を解決していくための提案ができる」、学生たちのスキルを養っていきます。
体系的な学びを通じて社会で求められる力を養える!
――具体的にどういったカリキュラムが展開される予定なのでしょうか?
既存の4学部9学科のもつ学問的基礎と研究課題を取り入れながら、理系文系の枠を越えたカリキュラムを展開していきます。真に社会から求められる人材を輩出するべく、カリキュラム設計には企業にも参画してもらう予定です。また、AIを使う際のモラル(倫理)に関しては、徹底的に学んでもらいます。同様に、AIが誤った学習を行うと、バイアスのかかった不正確で、偏見を持った回答をするようになることにも注意を向け、得られた情報が正しいかどうかを客観的に判断できる能力も磨いていきます。
AIライフデザイン学部では、和洋女子大学の培ってきた「文学」「家政学」の学びとデジタル技術を融合した新しい学びを提供します。AIデジタル技術の基礎、既存の学科の関連科目等、自身の興味に応じて幅広く学べるカリキュラムで構成されていることが特徴です。
たとえば、「情報化社会における消費者心理学」「メタバースファッション表現」「AI翻訳論」をはじめとする、既存学科の学びを活かした、和洋女子大学ならではのカリキュラムを揃えています。
――「AIライフデザイン学部」で学ぶことにより、どんなスキルが身につくのでしょうか?
AIを使いこなす基本技術やスタイルが身につきます。そのうえで、AIやアプリケーションを使って多様なデータを自在に分析し、社会や企業に対して課題解決提案ができる知識や技術を養うことができます。こうしたスキルを身につけることで、卒業後の就職先に関しても、業界や業種を問わず多方面での活躍が期待されます。
AIのスキルをもったジェネラリストとして新時代で活躍!
――和洋女子大学で学ぶ魅力について教えてください。
和洋女子大学は創設125年以上の歴史を誇る大学です。伝統ある大学ならではの穏やかな雰囲気に包まれながら、安心して学びを進められるのは大きな魅力だと思います。また、自治体や企業との協力体制が整っていることから、地域や企業とのコラボにも大きな可能性がある点も、実践的な学びを展開していくうえで大きな強みとなっています。
――最後に、高校生へ向けてメッセージをお願いします。
今後、AIが発達することで様々なことが瞬時に解決できるようになれば、専門的な知識やスキルはAIによって解決される可能性があります。そういった意味で「AIライフデザイン学部」ではスペシャリスト(専門家)と共に、幅広い知識とスキルをもったジェネラリスト、即ち、オールラウンドプレイヤーの育成をめざしています。
人の役に立ちたいけれど、自分に何ができるのかわからない。好奇心はもっているけれど、何をやりたいのかまだ決まっていない。高校生の皆さんのなかには、卒業後の進路がまだ決まらない人もいると思いますが、少しでもAIに興味があるのなら、ぜひ一緒に学んでいきましょう。AIを使いこなすことで、皆さんの未来への可能性は想像以上に大きく広がっていくはずです。
おわりに
これから求められるAIに関する学びやスキルについて、鬘谷先生のお話しを通じてご理解いただけましたか?
今回の記事をきっかけに和洋女子大学や、新しく開設される「AIライフデザイン学部(仮称・設置構想中)」に興味をもった方には、以下の日程で開催されるオープンキャンパスへの参加をおすすめします。
7月21日(日)・8月4日(日/高校1・2年生対象)・8月11日(日・祝)・8月25日(日)・9月22日(日・祝)・11月23日(土・祝)
新学部やオープンキャンパスの詳しい情報は、下記のサイトで随時更新されますので、ぜひチェックしてみてください!