はじめに
皆さんは「ゲーム」に対してどんなイメージをもっていますか?
ゲームはこれまで、世界中の人々を熱狂させてきました。そんなゲームが今、私たちの社会にも影響を与え、変えていく存在へ進化しようとしています。
Z世代へのアンケートでは、「ゲームは教育にも活用できると思う?」という質問に対して、全体の62.2%が「あてはまる」と回答しており(株式会社SHIBUYA109エンタテイメント調べ)、そのイメージは大きく変わろうとしています。また、大学にも「ゲーム」の名称を冠した学部・学科、専攻が続々と誕生しており、新たな進路の選択肢として人気を集めています。
そこで今回は、社会課題の解決にゲームが用いられている実例や、大学で実際に行われているゲームを使った研究について紹介していきます。
社会課題の解決にゲームはどう役立っている?
ゲームが社会課題の解決に役立っている身近な例としてまず紹介するのは、高校の授業でもとり入れられているカードゲーム『2030 SDGs』です。これはSDGsの壮大なビジョンを実現する道のりを体験的に理解できるシミュレーションゲームで、世界で30万人が体験、国連本部でも実施されています。
プレーヤーが鉄道会社の社長となり、実在する日本全国の駅をすごろく方式でまわる名作ゲーム『桃太郎電鉄』も、2023年から『桃鉄 教育版』として全国の約3000もの小中学校で教材に採用されています。現在は、社会の授業で地名や歴史を学ぶ教材として、あるいは国語の授業で難読駅名から漢字を学んだり、数学の授業で期待値計算などに用いられたりしています。
また、年齢や性別などを超えてみんなで盛り上がることができるゲームは、コミュニケーション不足を解消するツールとしても大きな可能性を秘めています。ほかにも、都市の計画や環境保護のための新しい技術を開発するシナリオを通じて、創造的な解決策などを模索していくシミュレーションゲームも登場しています。
都市開発のノウハウや課題をゲームから学べる⁈
シミュレーションゲームといえば、皆さんはどんなものを想像しますか?
シミュレーションRPG、恋愛シミュレーション、実機シミュレーションなど、多種多様なゲームがありますが、社会課題の解決にかかわる学びを得られるものも数多く存在しています。
例えば、住民一人ひとりの生活をシミュレートしながらリアルな都市開発を体験できる内容で、海外でも高い評価を得ているのが『Cities: Skylines』です。そのほかにも、SF都市建設ゲーム『Surviving Mars』、中世を舞台にした都市開発ゲーム『Banished』、農業シミュレーション『Farming Simulator』など、どれも現実にはなかなか経験できない状況を疑似体験できるのが大きな魅力です。今後は「AI×ゲーム」の組み合わせによって、その進化はさらに加速していくことが予想されています。
大学でもゲームを使ったこんな研究が!
大学教育の現場でも、ゲームを通じて社会課題の解決をめざす研究が進められています。なかでも最近注目されているのが、大阪電気通信大学のデジタルゲーム学科です。
例えば、3D技術やVR/AR技術によって考古学の研究や普及を支援している研究室。ゲームの技術と考え方を応用し、医療、教育、福祉や健康など幅広い分野の問題解決をめざす研究室。学習や体験、関心を呼びさますことで社会課題の解決をめざすシリアスゲームの開発に取り組む研究室。このほかにも最先端の技術を用いることで、ゲームを通じてより良い社会の実現をめざす研究が大阪電気通信大学では行われています。
新しく生まれ変わる大阪電気通信大学のデジタルゲーム学科をご紹介!
大阪電気通信大学は、2003年、日本初となる「デジタルゲーム学科」を設置したことで知られています。デジタルゲーム学科では、世界最大級のゲームの総合展示会である東京ゲームショウに2007年から出展し、来場者の注目を集めています。
そして、2026年4月、「デジタルゲーム学科」に「ゲーム・社会デザイン専攻」「デジタルゲーム専攻」「ゲーム&メディア専攻」の3専攻を設置する構想を進めています。
「ゲーム・社会デザイン専攻」は「ゲームで変える」をコンセプトに、ゲームやエンターテインメント分野の企画を活用して、社会課題の解決方法を学びます。「ゲームを創る」をコンセプトとするデジタルゲーム専攻は、ソフトウェア開発やモーションキャプチャー、CGなどの専門的な知識・技術を学びます。ゲーム&メディア専攻は「ゲームを拡げる」をテーマに、ゲームの知識に加えてeスポーツや動画配信の技術など、さまざまなメディアでの表現力を磨きます。
3専攻は学生がそれぞれの専門分野を学びながら、他の専攻の科目も自由に選択できる仕組みになっています。これにより、ゲームに関する幅広い知識と専門性をバランス良く身につけ、入学から卒業までの間で、それぞれの興味や目標に合わせて柔軟に学習を進め、自分らしい成長を実現することができます。
デジタル人材を育成する大阪電気通信大学とは?
大阪電気通信大学は、工学部、情報通信工学部、建築・デザイン学部、健康情報学部、総合情報学部を有する大学です。モノづくりの楽しさを体感しながら実践的に学べるのが大きな特長で、IoTや生成AIなど技術が進化するこの社会で生き抜くために、デジタルスキルを身つけた人材を育成します。
また、学科を越えた共同プロジェクトから課題解決プロジェクトまで、社会で活躍するための力を育む演習。全学科を対象に、ICTを活用した問題解決力を養う文部科学省認定のプログラムを実施しています。その結果、おおよそ2人に1人が大企業へ就職するという高い就職率を実現しており、2024年実就職率ランキング(※卒業生1,000人以上の大学 大学通信調べ)で関西圏2位(全国10位)に選ばれています。
おわりに
皆さんの「ゲーム」に対するイメージに変化はありましたか?
今回の記事をきっかけに興味をもった方、より専門的な知識やスキルを身につけたいと思った方は、ぜひ大阪電気通信大学のウェブサイトをチェックしてみてください。新たに開設されるデジタルゲーム学科についても、より詳しい情報が掲載されていますので、きっと皆さんの進路選びの参考になるはずです!