はじめに
2024年度のノーベル賞では、物理学賞と化学賞にAIを用いた研究が歴史上はじめて選ばれ、大きな話題を呼びました。その背景としては、今やAI技術が私たちの日常生活に深くかかわる存在となり、未来を形づくる重要な力となっている事実を挙げることができます。
特に「感情を理解するAI」の発展は、これからの社会に大きな影響を与えるといわれています。全国の「Studyplus」ユーザー(高校1~3年生、女子生徒)を対象にしたアンケートでも、「『 AI活用に関する学び』が学べる学部でどのような分野に興味がありますか?」という質問に対し、「心理学」という回答が最も多く寄せられました。
そこで今回は、2026年4月に開設が予定されている和洋女子大学の「AIライフデザイン学部(仮称・設置構想中)」で、「こころ」分野を担当される髙梨一彦先生にインタビュー。デジタルの力で人々の心の動きに寄り添う技術が進化する今、AIを使ったどのような新たな学びが生まれているのか、お話を伺いました。
AIは人間の「こころ」を理解できるのか?
――AIライフデザイン学部で実施される「こころとAIについての学び」について教えてください。
「こころ」には、わからない部分がたくさんあります。心理学は、それを解き明かしていく学問ともいえますが、自分のことはまだしも他人のことを理解することはとてもむずかしいことです。しかし、相手を知るための心理テストをAIが補助してくれれば、短い時間でその人のことを深く知ることも可能になるかもしれません。
たとえば、誰かにプレゼントを贈りたいときには、相手の性格や好みを知る必要があります。それは決して簡単ではなく、友達に相談したりするとプライバシーがもれてしまったりもします。ところが、AIに相談すれば、誰かに秘密を漏らすことなくすぐに答えを出してくれます。もちろん、AIが出す答えは得られたデータからはじき出された回答になるため、相手が絶対に喜んでくれるかとなると話は別ですが、「こころ」を理解するインデックス(指標)としては活用できるでしょう。そうした心理学におけるAIの賢い使い方について学んでいくのが「こころとAIについての学び」です。
――最近ではAIが感情を理解しはじめていると聞きますが、AIはどのように理解しているのでしょうか?
私たち人間は、相手の表情などを見て感情を理解しています。AIの場合、映像などでとらえた表情の動きをデータ化し、それがどんな感情なのか判断しています。ただ、これは人間がAIに対して、「この表情のときにはこんな感情である」と教えてはじめてできるわけで、要は計算の答え合わせをしているようなものです。ですから、感情に関するデータを事細かに学習させることで、AIは人間の感情を理解できるようにはなると思います。心理学の研究でいう「感情のデータ」をとって、それを再現することも可能になるはずです。しかし、それが人間のもつ感情と同じかというと、それはまた別のものなのではないかと私は考えています。
AIを使いこなすことで広がるクリエイティブな未来
――AIが感情を理解しはじめることで、社会にどんな影響があるのでしょうか?
たとえば、相手の感情を読み取ることが苦手な人もAIの補助を受けることで、今より豊かな人間関係を構築できるようになるかもしれません。一方で、AIが人間の感情を理解できるようになれば、それに揺さぶりをかけることで相手を誘導したい方へ自由に引っぱっていくことも可能です。それが商品やサービスの広告等に使われるだけであればよいのですが、選挙活動や世論誘導などで使われるようになると社会に大きな影響を与えかねません。
現段階でAIに善悪の判断はできません。社会に悪影響を与えることでも回答してくれますし、誤った学習をすれば不正確な回答をすることもあります。そこでAIを学ぶときには、使う際のモラル(倫理)に関してしっかり学ぶことが欠かせませんし、得られた情報が正しいかどうかを判断できる能力も磨いていく必要があります。
――「こころとAIについての学び」は、どのような仕事に結びつくのでしょうか?
AIを仕事の学習に活用すれば、それまで長い時間をかけなければ得られなかった経験値を短時間のうちに身につけられます。また、自分の意見とAIの出した答えを比較し、その違いについて考えていくことで、新たな発見をする機会が増え、ものすごいスピードで世界が広がっていきます。そうした学びを重ねることで、たとえば和洋女子大学であれば、既存の4学部9学科の学問領域を学ぶことで活躍できる仕事にプラスして、例えば企業のプロダクト開発やマーケティング部門、デザイン部門など、そのほか様々な分野において今までにない発想で新しいものを創りだしていくクリエイティブな仕事での活躍が期待できます。
AIライフデザイン学部だから得られる学びとは?
AIが人間の仕事をサポートしてくれるようになる、これからの時代には、AIを賢く「使いこなす」ことが重要です。「AIを自在に使いこなせる人材」、さらには「AIを使ってデータ分析から課題解決提案ができる人材」へのニーズは、ますます高まっていくことが予測されています。そこで「AIライフデザイン学部」では、既存の4学部9学科が有する専門知識にAIの学びを「+(プラス)」していくことで、社会の「あらゆる分野のあらゆる業種」における課題を解決し、新しいアイデアを提案できるスキルを養っていきます。
また、理系文系の枠組みにとらわれず、「なにか新しいことをやりたい」「大学でおもしろいことはないかな」といった発想をもった人たちが、AIを使うことでその想いを実現し、未来を切り拓いていけるのが「AIライフデザイン学部」のカリキュラムの特徴です。特に既存の学びにプラスして、AIを使った映像に関する学びには力を入れていく予定で、学生の皆さんがクリエイティブに新しいことに挑戦できる環境のもとで4年間を過ごすことができます。
おわりに
今回は「心理学+AI」が描く新しい未来や、「AIライフデザイン学部」で得られる学びについてお話をうかがいました。
髙梨先生へのインタビューをきっかけに、和洋女子大学に興味をもった人は、ぜひ、オープンキャンパスに参加してみてください。次回の開催日時は2025年2月23日(日祝)。少人数でじっくり授業体験&相談したい人におすすめのプログラムとなっています。
「冬のオープンキャンパス」
2025年2月23日(日祝)9:30~12:30
「春休みオープンキャンパス」&「高校生のための『大学での探究』体験講座」
2025年3月26日(水)&27日(木)
2月 冬のオープンキャンパス 予約申し込みはこちら
新学部やオープンキャンパスの詳しい情報については、下記のサイトに掲載されていますのでチェックしてみてください!
和洋女子大学 AIライフデザイン学部
和洋女子大学 イベントスケジュール 2025