「家政学=家庭のこと」はもう古い! 男女問わず学ぶ現代の家政学とは

はじめに

みなさんは家政学に対して、どんなイメージがありますか? 「家事や裁縫といった技術を学ぶ」「なんとなく古い感じがする」「女性だけが学ぶ学問」なんてイメージがあるかもしれません。科学技術が発展した今、家政学は必要なのかと疑問を持っている方もいるかもしれませんね。
しかし、そんな時代だからこそ、男女問わず、家政学がますます重要になっていることをご存知でしょうか。家政学は、生活のあらゆる場面に関わる学問。テクノロジーの発達、またジェンダー平等などで私たちの暮らしが変わりつつある今こそ、家政学の可能性は拡がり続けているのです。
そんな現代の家政学とは、一体どんなものなのでしょうか。そこで今回は、東京家政学院大学の鷹野学長にインタビューを実施。現代の家政学について、気になることを聞いてみました!

身近な暮らしから、地球規模の課題まで。SDGsとも密接に関係

東京家政学院大学 学長
鷹野景子

――そもそも、家政学とはどんな学問なのでしょうか。
家政学は生活科学とも呼ばれ、衣食住やこどもに関することを中心に、生活の質の向上や社会への貢献を目指す学問です。かつては家事、裁縫、手芸といった家庭において必要とされる技術の習得を目的として学ぶ傾向にありました。しかし時代の流れとともに家政学の対象は拡がり、現在では家族・家庭を最小単位として、地域社会や国、地球規模の課題に取り組む学問となっています。SDGsの17の目標に一番関わりが深い学問かもしれません。

――具体的には、どんな課題が家政学の研究対象となっているのですか。
例えば最近は、ジェンダーに関するテーマが話題となっていますが、これも家政学の対象のひとつ。そのほかにも消費経済、また日々の生活に関係する環境問題なども家政学の対象です。私たちの生活の延長線上にあり、文理を問わず、複数の学問を掛け合わせた複合的かつ幅広いテーマを扱うのが現代の家政学の特徴です。

男女問わず学べ、最先端のテクノロジーも活用する現代の家政学

――現代はSNSやAIが盛んですが、そういった身近なテクノロジーと家政学も関係はあるのでしょうか。
大いに関係があります。例えば、スマートフォンに蓄積された生活に関わる個人データをどう活かせばより良い暮らしにつながるのか、AIの発展により生活がどう変化していくのかといったことを考えるのも、家政学の役割。そのため本学でもSNS、AI、データサイエンスといったテクノロジーに関わる領域では、経験豊かな講師による授業を展開しています。

――家政学は「女性が学ぶ学問」というイメージがありますが、男性も学ぶべきなのでしょうか。
かつては家事全般の技術を身につけ、良妻賢母を目指すところから始まった家政学ですが、現代はジェンダー平等の時代です。生活を科学するのは、性別を問わず大切なこと。家政学は生活する全ての人に関わる学問ですので、女性だけでなく男性も積極的に学ぶことで、これからの生活や社会を良くしていってほしいと思います。

2025年4月から新学部設立&男女共学となる東京家政学院大学

――東京家政学院大学は2025年4月から段階的に共学となりますが、こちらについて教えてください。
本学は女子大学でしたが、2025年4月に新設する生活共創学部(町田キャンパス)で男子学生を受け入れるほか、2026年4月から現代生活学部と人間栄養学部(千代田三番町キャンパス)でも男子学生を受け入れます。男女問わず新しい時代の家政学が学べるようになることで、キャンパス内ではこれまでにない様々な交流や価値観が生まれてくると思います。

――2025年4月新設の生活共創学部とは、どんな学部なのでしょうか。
「生活共創学部」では、生活に関する学びを中心に、ビジネス、IT、地域創成などを幅広く学び、予測困難な時代を生き抜く力が身につくようなカリキュラムを用意しています。この学部は、生活科学の知識・技能を基盤として身近な人々と協働できる人を育成する「生活共創学科」と、こどもが未来社会で創造的に生きていくための教育・保育を協働して推進できる人を育成する「こども教育学科」の2学科から構成されています。

興味ある分野が必ず見つかる。家政学は生活に直結する学問

――鷹野学長が考える、家政学の面白さについて教えてください。
大学で学ぶ内容が、自分の生活に直結する点だと思います。化学や生物、医療といった理系科目とも関連が深いため、理系科目が得意な方も実践的に楽しく学べますし、衣食住のみならず消費生活やジェンダーの問題など、社会科学的な課題にも取り組めます。ジャンルを問わず特定の分野の学びを深めたり、生活全般に視野を広げていったりすることもできます。自分の興味ある分野を必ず見つけられる学問ではないでしょうか。

――最後に、受験生にメッセージをお願いします!
家政学は、生活を豊かにするための学問。みなさん自身はもちろん、家族や周囲の方々の生活、ひいては社会を豊かにするために、多様な切り口で、生活者の視点から学ぶことができます。それぞれの興味・関心を入り口として、学びを深め、そして幅を広げていただきたいと思います。家政学分野の学びは、必ず将来のキャリアにつながりますので、ぜひ本学の門を叩いてみてください。

おわりに

鷹野学長のインタビューはいかがでしたか?
家政学は時代の変化を取り入れて、男性にも関わりのある学問に変貌を遂げています。皆さんの印象は大きく変わったのではないでしょうか。
東京家政学院大学では、通常のオープンキャンパスに加えて、男子高校生向けのオープンキャンパスも開催予定です。興味のある方はぜひ参加してみてください。

この記事を書いた人
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