はじめに
プログラミング未経験からスタートし、大学での学びや課外活動を通じて着実に力を伸ばしてきた学生が、世界的なIT企業のインターンを経験。どのような環境で、どのようにスキルを高めてきたのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
今回は、Google 日本法人でのインターンシップを経験し、4月からソフトウェアエンジニアとして入社予定の情報理工学部4年次の学生にインタビュー。大学での学びやインターンでの経験、そしてこれから目指すエンジニア像について深掘りしました。
進路選びから始まった、エンジニアへの道
──大学の進路として、コンピュータや情報技術に関する幅広い分野を学ぶIT系・情報系を選んだ理由を教えてください。
両親が理系だったことや、当時の得意科目が数学と英語だったこともあり、理系の進路の中でも自然と情報系を志望するようになりました。
特別に「エンジニアになりたい!」という強い動機があったわけではなかったのですが、幅広い選択肢がある分野だと感じていて、進学後にいろいろなことに挑戦できそうだと思ったのが決め手でした。
──その中で、京都産業大学に進学した理由を教えてください。
第一志望は国立大学の情報系学部でしたが、ご縁がありませんでした。その結果として、京都産業大学の情報理工学部に進学することになりました。ここには多彩なコースが用意されていて、自分の興味や将来の進路に合わせて学びを深められる仕組みがあるのが魅力だと思っています。
──京都産業大学情報理工学部ではどのようなことを勉強していますか?
情報系の幅広い分野を体系的に学んできました。
学部には固定された学科制はなく、入学後に10あるコースから最大3つまで自分の興味や将来の方向性に合わせて選択できる仕組みです。私は入学後にセキュリティ分野に興味を持ち、「情報セキュリティコース」「データサイエンスコース」「ネットワークシステムコース」の3つのコースを選びました。
さらに、3年生の秋からは高信頼分散システムの研究室に所属し、分散トレーシングシステムのネットワークパフォーマンスの最適化に取り組んでいます。
インターン生としてGoogleプロダクトの開発に参加
──Googleインターンシップに興味を持ったきっかけを教えてください。
Googleには、女子の学部生を対象としたSTEP(Student Training in Engineering Program)と、一般向けのSWE(Software Engineer)という2種類のインターンシップがあります。私はまずSTEPに参加しました。STEPは、教育コースとインターンシップの2段階で構成されています。教育コースでは、アルゴリズムやデータ構造など、コンピュータサイエンスの基礎について深く学ぶことができるのが魅力でした。また、週に1回の授業と課題提出を通して、現役エンジニアからフィードバックをもらえるのは貴重な経験です。さらに、プログラミングを学ぶ女子学生とのつながりができたり、Googleの渋谷オフィスを訪問できたりする点にも惹かれました。
このプログラムの存在は、GoogleでChromeOSの開発をされているhikaliumさんがSNSで紹介していたのを見て知りました。インターンの選考を通過できなかったとしても、得られる学びが大きいと感じ、応募を決めました。
──「STEP教育コース」からどのようにインターンへ進みましたか?
教育コースの後半に、インターンへの選考が並行して行われました。私が参加した年は、コーディング面接が2回行われました。
選考を通過し、2023年9月から12月にかけてSTEPインターンに参加することになり、そのタイミングにあわせて大学を休学しました。配属されたのはChromeOSのチームで、開発者向けツールに新機能を追加するプロジェクトに取り組みました。
──社内のコミュニケーションは英語で行われているんですか?
はい、社内の公用語は英語です。
それまで英語で会話するような環境に身を置いたことがなかったので、最初はかなり苦労しましたが、わからないことは何度も聞き返し、ジェスチャーや翻訳ツールも活用しながら、少しずつコミュニケーションを取れるようになっていきました。
──「ソフトウェアエンジニアインターン」では、どんな就業体験をしましたか?
STEPインターンでの評価が良かったので、次のステップとしてSWEインターンに進むことができました。2024年12月から2025年4月にかけて、Google マップのチームに配属されました。
担当したのは、Android版Google マップのフロントエンド開発です。既存のライブラリのマイグレーションとUIの改善に取り組みました。
京産大だからできた、学びと成長の両立
──京都産業大学での学びはどのように役立ちましたか?
大学での授業は、理論だけでなく実際の現場で役立つ実践的な内容も多かったと感じています。特にソフトウェア工学の授業では、要件定義から設計、実装、テストまでの開発フローについて学び、チーム開発を通じてそのプロセスを実際に体験できました。インターンでも同様の流れで開発が進められていたため、授業での経験がそのまま活かされました。
──大学の環境がインターンに出るまでに役立ったエピソードを教えてください。
京都産業大学情報理工学部には、学生が互いに刺激し合って成長できる環境があります。
例えば、週に一度の「ランチタイムトーク」では、学生がインターンやイベントでの経験を発表したり、Webサービス開発や国際コンテストに挑戦する仲間の話を聞けたりします。これは「自分も頑張ろう」というモチベーションにつながっています。
また、学内は情報系のサークルやコミュニティが豊富で、私自身もセキュリティに関するコミュニティを運営しています。ここでは、ハッカソン参加者や競技プログラミングに取り組む人など、それぞれが興味を深めながら自主的に学び合っています。こうした活動が、外部のインターンやイベントに挑戦する大きな後押しになったと感じています。
──4月からGoogleへ就職されますが、将来どんなエンジニアになりたいですか?
大学の授業やインターンを通じて、ハードウェアに近い、基盤となるソフトウェアの部分から、ユーザーが実際に触れる画面のような部分まで、さまざまな技術に関わる機会がありました。将来的には、そうした幅広いレイヤーを自在に行き来できるエンジニアになりたいです。
おわりに
「京産大には、自分の興味・関心を深掘りして応援してくれる環境がある」と彼女は話してくれました。課外活動や学生同士の交流を通じて、成長していくことの大切さを体現する彼女の活躍が楽しみです。
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