はじめに
医療の現場は今、大きな転換期を迎えようとしています。これまでのように「症状が出てから対応する」だけでなく、変化の兆しをとらえ、より早く適切に対応する医療へと進化しつつあります。
その変化を支えるのが「デジタルツイン」という技術です。現実世界で集めたデータをもとに、仮想空間に状態を再現することで、これまで見えなかった変化やリスクを見える化できます。
デジタルツインのような技術を活かして未来の医療を切り拓くうえで欠かせないのが、「医療」と「工学」を融合した知識やスキルです。こうした変化のなかで、藤田医科大学に新たに誕生するのが「医工共創学科」です。
今回は、新設される医工共創学科で教鞭をとる予定の光田益士先生に、その学びの魅力と可能性についてお話をうかがいました。
デジタルツインを活用することで医療現場に起こる変化とは?

――光田先生が取り組まれている研究について教えてください。
私が現在取り組んでいるのは、医療現場で起きている困りごとを科学技術で解決する研究で、主に「創傷治癒(きずの治り)」と「スキンケア」をテーマとしています。
創傷治癒の研究では、褥瘡(じょくそう。床ずれとも言います)や糖尿病性足潰瘍といった、治療が困難な傷の予防や治療に着目しています。褥瘡は、寝たきりや同じ姿勢の維持により皮膚が長時間圧迫され、皮膚が赤くなったり潰瘍ができる状態です。また、糖尿病性足潰瘍は、高血糖が続くことで足の神経や血管が障害され、小さな傷が治らずに深い潰瘍ができます。痛みを感じにくいため発見が遅れ、最悪の場合、足の切断に至る深刻な合併症です。
私は、これらの発症原因となる「体にかかる圧力や擦れ(摩擦)」などの力をまとめて測定し、その発生メカニズムを詳しく分析しています。その研究成果をもとに、発症や重症化を防ぐ新製品の開発を企業と進めています。さらに、在宅で療養している方のご家族や介護従事者が床ずれのリスクを簡単に確認し予防ケアに繋げる仕組みづくりにも取り組んでいます。
スキンケアの分野では、「おむつかぶれ」や「尿漏れによる皮膚かぶれ」を防ぐため、皮膚に定着する細菌や真菌に着目し、皮膚トラブルとの関係を調べています。こうした研究成果も企業と連携しながら、病院だけでなく地域での予防にも活かされる取り組みを進めています。
――デジタルツインが活用されることで、どういった効果が期待されているのでしょうか?
これまで、患者さんの皮膚や傷の状態を調べるには、医療従事者が実際に目で見たり、血液検査を行ったりする方法が中心でした。しかし、それだけでは体の中で何が起きているかまで詳しく知ることは難しく、治療やケアは医療従事者の経験や判断に頼る部分が大きいのが実情です。
そこで注目されているのが、患者さんの体の状態をデジタル上に再現する「デジタルツイン」です。多くの患者さんから集めたデータを活用することで、なぜ症状が悪化するのか、なぜ治りにくいのかの予測、手術のシミュレーション、皮膚や傷の状態をリアルタイムで把握することが可能になり、治療方針の決定に役立てられるようになります。
これにより、医療従事者の経験に加え、データに基づいた、より正確で一人ひとりに合った治療やケアが可能になります。その知見は新しい予防法や治療法、製品の開発にも役立ち、将来の医療を支える技術として期待されています。
私が現在取り組んでいるのは、医療現場で起きている困りごとを科学技術で解決する研究で、主に「創傷治癒(きずの治り)」と「スキンケア」をテーマとしています。
創傷治癒の研究では、褥瘡(じょくそう。床ずれとも言います)や糖尿病性足潰瘍といった、治療が困難な傷の予防や治療に着目しています。褥瘡は、寝たきりや同じ姿勢の維持により皮膚が長時間圧迫され、皮膚が赤くなったり潰瘍ができる状態です。また、糖尿病性足潰瘍は、高血糖が続くことで足の神経や血管が障害され、小さな傷が治らずに深い潰瘍ができます。痛みを感じにくいため発見が遅れ、最悪の場合、足の切断に至る深刻な合併症です。
私は、これらの発症原因となる「体にかかる圧力や擦れ(摩擦)」などの力をまとめて測定し、その発生メカニズムを詳しく分析しています。その研究成果をもとに、発症や重症化を防ぐ新製品の開発を企業と進めています。さらに、在宅で療養している方のご家族や介護従事者が床ずれのリスクを簡単に確認し予防ケアに繋げる仕組みづくりにも取り組んでいます。
スキンケアの分野では、「おむつかぶれ」や「尿漏れによる皮膚かぶれ」を防ぐため、皮膚に定着する細菌や真菌に着目し、皮膚トラブルとの関係を調べています。こうした研究成果も企業と連携しながら、病院だけでなく地域での予防にも活かされる取り組みを進めています。
――デジタルツインが活用されることで、どういった効果が期待されているのでしょうか?
これまで、患者さんの皮膚や傷の状態を調べるには、医療従事者が実際に目で見たり、血液検査を行ったりする方法が中心でした。しかし、それだけでは体の中で何が起きているかまで詳しく知ることは難しく、治療やケアは医療従事者の経験や判断に頼る部分が大きいのが実情です。
そこで注目されているのが、患者さんの体の状態をデジタル上に再現する「デジタルツイン」です。多くの患者さんから集めたデータを活用することで、なぜ症状が悪化するのか、なぜ治りにくいのかの予測、手術のシミュレーション、皮膚や傷の状態をリアルタイムで把握することが可能になり、治療方針の決定に役立てられるようになります。
これにより、医療従事者の経験に加え、データに基づいた、より正確で一人ひとりに合った治療やケアが可能になります。その知見は新しい予防法や治療法、製品の開発にも役立ち、将来の医療を支える技術として期待されています。
実社会での活用まで視野に入れた研究ができる医工共創学科

――藤田医科大学ならではの研究環境の強みとは、どういった部分でしょうか?
日本最多の病床数を誇る藤田医科大学病院が隣接しているため、医療現場のニーズを直接感じながら研究に取り組んだり、新しく開発した技術を検証できたりするアジャイル型(実行と改善を短いスパンでくり返し、すみやかな意思決定によって課題解決を実現する手法)の学びができる部分です。
――新設される医工共創学科の特色とは?
医学部の中に設置されていることから、最先端医療を実践する医師による基礎・臨床医学の講義に加え、病院内での実習を通じて医療現場のリアルな課題を体感することができます。また、6年一貫教育により医療と工学を統合した知識を得られることに加え、新しい学術領域を横断的に学んでいくことで、未来の医療を創造するための思考法・技術・プロセスを体系的に習得できるのも魅力です。
さらに、指導を担当する教員にはさまざまな分野の専門家が揃っていますが、そのなかには私のように企業での実務経験を積んだ教員もいます。加えて藤田医科大学には、研究開発によって得られた知識や技術などを実社会で活用することまで視野に入れた研究に取り組む「社会実装看護創成研究センター」も設置されているため、「研究して終わり」ではなく「製品として世に出す(社会実装)」プロセスを直接学べる点も、他大学にはない大きな特色となっています。
日本最多の病床数を誇る藤田医科大学病院が隣接しているため、医療現場のニーズを直接感じながら研究に取り組んだり、新しく開発した技術を検証できたりするアジャイル型(実行と改善を短いスパンでくり返し、すみやかな意思決定によって課題解決を実現する手法)の学びができる部分です。
――新設される医工共創学科の特色とは?
医学部の中に設置されていることから、最先端医療を実践する医師による基礎・臨床医学の講義に加え、病院内での実習を通じて医療現場のリアルな課題を体感することができます。また、6年一貫教育により医療と工学を統合した知識を得られることに加え、新しい学術領域を横断的に学んでいくことで、未来の医療を創造するための思考法・技術・プロセスを体系的に習得できるのも魅力です。
さらに、指導を担当する教員にはさまざまな分野の専門家が揃っていますが、そのなかには私のように企業での実務経験を積んだ教員もいます。加えて藤田医科大学には、研究開発によって得られた知識や技術などを実社会で活用することまで視野に入れた研究に取り組む「社会実装看護創成研究センター」も設置されているため、「研究して終わり」ではなく「製品として世に出す(社会実装)」プロセスを直接学べる点も、他大学にはない大きな特色となっています。
これまでにない“新しい”を創ることにチャレンジ!

――医工共創学科での学びを経て、将来はどういった分野での活躍が期待されているのでしょうか?
医工共創学科では、医療系・工学系の両分野に対応した教育・研究プログラムを提供します。そのため卒業後は、大学病院や医療機関での研究・技術職、医療機器・ヘルステック企業での開発・企画職、地域医療・行政・NPOなどでの医療政策・実装支援、大学院(修士課程、博士課程)進学による高度専門職といった幅広い進路が想定されます。さらに、デジタルツインを活用したデータ分析を通じて得た学びやノウハウを活かして、医療以外にもさまざまな分野での活躍を期待しています。
――最後に、進路選びに迷っている受験生に向けてメッセージをお願いします。
医療と工学の融合という、これまでにない新しい取り組みを行っていく医工共創学科では、医療だけでなく工学や情報など、多様な分野に興味をもっている学生の皆さんが満足できる学びを得られるはずです。それぞれの得意をもつ皆さんが、さまざまな分野の専門家である教員たちと一緒に学んでいくことで、これまでにない新しいことを創っていきましょう。
医工共創学科では、医療系・工学系の両分野に対応した教育・研究プログラムを提供します。そのため卒業後は、大学病院や医療機関での研究・技術職、医療機器・ヘルステック企業での開発・企画職、地域医療・行政・NPOなどでの医療政策・実装支援、大学院(修士課程、博士課程)進学による高度専門職といった幅広い進路が想定されます。さらに、デジタルツインを活用したデータ分析を通じて得た学びやノウハウを活かして、医療以外にもさまざまな分野での活躍を期待しています。
――最後に、進路選びに迷っている受験生に向けてメッセージをお願いします。
医療と工学の融合という、これまでにない新しい取り組みを行っていく医工共創学科では、医療だけでなく工学や情報など、多様な分野に興味をもっている学生の皆さんが満足できる学びを得られるはずです。それぞれの得意をもつ皆さんが、さまざまな分野の専門家である教員たちと一緒に学んでいくことで、これまでにない新しいことを創っていきましょう。
おわりに

AIや先端テクノロジーが飛躍的に発展するなか、医療と工学の両方を理解し、未来の医療をデザインしていく人材は、医療現場において欠かせない存在となっていきます。
2027年4月、藤田医科大学医学部に開設される「医工共創学科」では、そうした力を備えた人材の育成を目指し、医療系大学として医学とともに工学や情報学などを横断的に学べる6年一貫教育を展開していきます。
先端医療の研究にチャレンジしてみたい、理系の得意を活かして社会に貢献したい人はもちろん、今回の光田先生のお話をきっかけに新学科に興味をもった人は、ぜひ下記のサイトで「医工共創学科」の詳細をチェックしてみてください!
※設置認可申請中のため、変更となる可能性があります。
2027年4月、藤田医科大学医学部に開設される「医工共創学科」では、そうした力を備えた人材の育成を目指し、医療系大学として医学とともに工学や情報学などを横断的に学べる6年一貫教育を展開していきます。
先端医療の研究にチャレンジしてみたい、理系の得意を活かして社会に貢献したい人はもちろん、今回の光田先生のお話をきっかけに新学科に興味をもった人は、ぜひ下記のサイトで「医工共創学科」の詳細をチェックしてみてください!
※設置認可申請中のため、変更となる可能性があります。



