青山学院大学の「コミュニティ人間科学部(収容定員増認可申請中)」で地域の課題解決に貢献する人になる

はじめに

今、日本で少子高齢化や人口減少が深刻な問題になっていると聞いたことはありませんか? これらの問題は地方だけではなく、都市部を含めた日本全国の各地域に広がりつつあります。こうした「地域」の課題解決に取り組む能力を身につけられる学部が2019年4月、青山学院大学の相模原キャンパスに新設を予定しています。その名も、「コミュニティ人間科学部」。今回は、新学部開設準備室 室長 鈴木眞理教授に、設立の背景や教育の特色についてお話を伺いました。

コミュニティ人間科学部(収容定員増認可申請中)の設立の背景について

ーーコミュニティ人間科学部の設立の背景について教えてください。

コミュニティ人間科学部は、青山学院のスクール・モットーである「地の塩、世の光」に沿う形で社会貢献を強く意識した学部です。青山学院大学には、グローバルな視点から社会貢献を考える学部として、地球社会共生学部と国際政治経済学部の2つがありますが、日本国内に目を向けた学部はこれまでありませんでした。一方で日本は、高齢化や人口減少によって多くの地域が衰退の一途をたどっているという課題を抱えています。こうした背景もあり、地域に着目した社会貢献を考える学部を新たに作ろうということになりました。

日本の地域が抱えている課題

ーー日本の地域が抱えている課題について詳しく教えてください。また、これらの課題はどのように解決していけばよいのでしょうか。

一番大きな課題は少子高齢化です。そこから、所得・世代間格差の拡大や訪日・在留外国人の増加など、社会環境の問題も派生してきます。これらの課題を解決するためにはどうすれば良いのかと考えたときに、公務員やNPOで活躍するような人たちが主導して取り組む方向と、その地域の住民が自らさまざまな活動に取り組むという方向の2つの道があります。コミュニティ人間科学部では、その両方の道を考えていこうというわけです。専門家だけでは十分ではありません。地域には住民がいるわけですから、その人たちに積極的に関わってもらうことが求められます。

専門家と地域住民のみなさんが一緒になって活動

ーー専門家と地域住民のみなさんが一緒になって活動していかなければならないということですね。

学部の名称に「地域」ではなく「コミュニティ」という言葉を使っていることにも意味があります。「地域」というのは一般的に、ある広がりをもった概念です。一方で「コミュニティ」は、そこに人がいて、その人たちが自律的・自発的に行動をしている状態です。さまざまな人たちの意見を聞きながら、自分がどう行動すべきかを考えていく——コミュニティ人間科学部では、そのように地域に住む人たちが能動的に行動していける社会を目指しています。

青山学院大学ならではの地域系の学部学科の特徴

ーー地域系の学部や学科というと地方大学にあるイメージが強いですが、青山学院大学ならではの特徴はありますか。

他の大学の地域系学部は、産業の振興を中心とした経済学、経営学の学びが多いですが、コミュニティ人間科学部は、社会学と教育学を中心とした学びの学部であることが特徴です。これは「地域をつくるのは人である」という考え方が根本にあります。

人を育てるには、教育や学習、他の人との関係性が重要になってきます。このように「人」を中心として物事を考えるには、他の人をきちんと自律した個人だと捉える、ある意味"都会的な感覚"が必要になります。地方でよく見られる"もたれ合い"といったような関係をいったん切り離して、きちんと自律した一個人としての人間のあり方を追求することが重要です。それができるのは、やはり青山学院大学ならではの特徴ではないでしょうか。

カリキュラムの具体的な特徴

ーーカリキュラムの具体的な特徴を教えてください。

実習で実際に地域活動を体験できることが一番の特徴ですが、その前にまずは必修となっている「学部基礎科目」で、地域の歴史や社会的な仕組み、子ども・若者・女性・障がい者・高齢者など地域で活動する人たちについて理解を深めます。また「研究理解科目」で、文献探索の方法や数量的・質的調査の手法など、研究を進めていくうえで必要な基礎を身につけます。

実習先で学んだことを生かし専門を深めていく

ーーまずは地域活動の土台作りをしっかりと行ったうえで、実際に現地で実習をしていくということですね。

多様な実習先が選べるのも、この学部の特徴です。「地域実習」では、まず約24人のグループで実習の下準備を行い、その後1グループ約8名の少人数で、興味のあるNPOや自治体、社会教育施設などでの地域活動に参加します。少人数制なので、個人個人が主体的に動くことができるのが良いところです。

また実習は1度行っただけで終わりというわけではありません。3年次に行う「専門演習」というゼミでは、実習先で学んだことを生かしながらそれぞれの専門について考えていきます。さらに卒業研究では、それまで学んだ知識や経験をもとに卒業論文をまとめていきますので、実習先とは長く付き合っていくことになると思います。

5つの専門領域

ーー専門領域には具体的にどのようなものがありますか。

専門領域として5つのプログラムをそれぞれ設けています。「子ども・若者活動支援」、「女性活動支援」、「コミュニティ活動支援」というプログラムではそれぞれ、対象としている人たちの活動を支援する際に求められる知識や技術を学んでいきます。「コミュニティ資源継承」プログラムでは、地域に眠っている文化遺産や情報資産の活用・伝達方法について学んでいきます。具体的にいえば、図書館や博物館などが地域のためにどのような役割を果たしていけるかということを考えていきます。また、地域社会の制度を理解してこれからの計画全体について検討していく「コミュニティ創生計画」プログラムも設けています。必要な科目を修得することで学芸員や司書、社会教育主事、社会調査士の資格取得も可能です。

コミュニティ人間科学部で社会貢献を考えられる人を育てる

ーーコミュニティ人間科学部では、どのような力が身につくのでしょうか。また、どのような人を育てていきたいと考えられていますか?

地域の問題に積極的に関わることができて、さらには周囲の人たちに関心を持つことができるような人です。職業としては、公務員やNPO職員などのほか地方銀行や信用金庫の職員、地方紙の記者など、地域に密着した仕事をする人や、地方議員になるような人がいても良いですよね。

また、現在、多くの企業は社会貢献を考えずには、成り立ちません。一般企業でも、コミュニティ人間科学部で学んだ知識や技術は十分生かせると思います。地域住民が何を考えてどんな行動をしているのか、どういうものを求めているのかを考えられる人になることで、どんな職に就こうとも、貢献できることはたくさんあるはずです。

読者のみなさんへメッセージ

ーー最後に、進学を考えられている読者のみなさんにメッセージをお願いします。

地域の問題に関心を持つということはとても意味のあることです。地方の人にも来てもらいたいですし、都会の人にも来てもらいたいですね。自分が暮らす街、自分が働く街、自分が生まれた街……自分と関係のある地域のために、いかに能動的に活動していけるかということをぜひ考えてみて欲しいと思います。

この記事を書いた人
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