モチベーションが上がる名言【第三回】〜アリストテレスの言葉〜

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はじめに

ソクラテス、プラトンと並んで、古代ギリシャを代表する哲学者であるアリストテレスは、習慣としての「学び」を体現した哲学者でした。

目次[非表示]
  • 1 はじめに
  • 2 人間の行為や感情は、習慣によって自然と決まる
  • 3 「現実に向き合う哲学」を目指したアリストテレス
  • 3.0.1 プロフィール●アリストテレス

人間の行為や感情は、習慣によって自然と決まる

我々自身は繰り返し行っている行動により作られる。したがって、優秀さは行動ではなく習慣によるものだ。

(引用元:--アリストテレス(哲学者)「二コマコス倫理学」より)


今回の名言の主であるアリストテレスは、父親がマケドニア王の侍医だったこともあり、幼いころから自然科学的思考の訓練を受けていたと言われています。
17歳の時にはアテナイでプラトン主催の学園「アカメデイア」に入門し、以後20年もの間、様々な分野の学問や研究に没頭しました。
まさに、学問を生涯の「習慣」として身につけていたのです。
その後、故郷で後にアレクサンドロス大王となる王子の家庭教師となり、49歳のときにアテナイで学園「リュケイオン」を創設。
後世、アリストテレスは、その多岐にわたる学問的な業績から「万学の祖」と称されるようになりました。

アリストテレスの著作は膨大で、そのほとんどは研究や講義のために制作されたノートでした。
現在まで残されているのはほんの一部ですが、それでも重要な部分は、ほぼ伝えられているとされています。
今回紹介した名言も、残された草稿やノートを編纂した「ニコマコス倫理学」の内容に基づくものですが、後世の西洋哲学研究者が、アリストテレスの言葉を要約したという説もあります。
ちなみに「ニコマコス」はアリストテレスの息子の名前で、父と同様に哲学者・数学者として活躍。
この息子が中心となって編纂されたため、この名がつきました。習慣の大切さを父からきっちりと受け継いで結果を出したのですね。

アリストテレスは、人間は個々人がお互いに関わり合って生きていくために必要な2つの「徳」があると唱えました。
一つは、知恵や思慮、学問的知識などからなる知性的な徳
もう一つは、それ以外の人間の行為や感情、日常生活のほとんどすべてにかかわる習性的な徳です。
この「習性的な徳」には、働き方、お金の使い方、人間関係などのほか、「勉強の仕方」も含まれます。
アリストテレスは、これらは繰り返し習慣化することで身につけるものであり、やりすぎや怠慢を避け「中庸(中間にあること)」を目指すべきだと言っています。
アリストテレスは無謀と臆病の中間である「勇気」という中庸の徳を、絶えざる習慣によって身につけることが重要だとしているのです。

「現実に向き合う哲学」を目指したアリストテレス

イタリアルネサンスを代表する画家ラファエロの代表作『アテナイの学堂』(部分)。中央に描かれた二人はプラトン(向かって左)とアリストテレス(右)とされる。

アリストテレスの哲学は、師匠であるプラトンの「イデア論」を批判することから出発しています。
プラトンは、正しさそのもの、美しさそのもの、善そのものなどが「イデア(真の実在)」の世界にあり、現実の世界は不完全な仮のものであるとしました。
一方、動物学や生物学の研究でめざましい成果を残したアリストテレスには、実体がなく、確かめようのない「イデア」の世界を、自然科学者として認めることができなかったといわれています。
そのため、アリストテレスは極めて「現実的な哲学」を人々に提示したのです。

バチカン宮殿に残されている有名な絵画「アテナイの学堂」の中心には、プラトンとアリストテレスが描かれています。
2人は議論をしているように見え、プラトンは天を指さして、右足を一歩前に出し、アリストテレスは地に掌をかざして立ち止まっています。
これが両者の哲学の違いを象徴的に表しているのです。

確かに、夢や理想を持つことは大切なことです。
しかし、アリストテレスは「目の前にないもの」ではなく、現実を見つめてコツコツと学ぶことで「万学の祖」と称される偉大な哲学者となりました。
今回のアリストテレスの名言は、学問の原点は習慣にあることを受験生に教えてくれます。

プロフィール●アリストテレス

紀元前384年生まれ、同322年、62歳で死去。
古代ギリシャの大哲学者として、ソクラテス、プラトンとともに並び称される。
物理学、天文学、気象学、動物学といった自然科学の分野で多大な功績を残したほか、論理学、倫理学、政治学、文学にも精通していた。

この記事を書いた人
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