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はじめに
人間の感情は、大脳の内側にある大脳辺縁系が司っているといわれています。大脳辺縁系の働きによって、喜怒哀楽などの豊かな感情が生まれるわけです。こうした感情は、記憶力や考察力が必要な勉強とは無関係と思われがちですが、じつはそんなことはないのです。
「怒り」は目標に向かう原動力になる
うまくいかないことがあったり、嫌なことをされたりしたとき、人は怒りの感情を抱きます。
怒ったときほど人は冷静でいられなくなりますから、勉強にはいちばん向かなそうな感情です。
けれども、怒りは行動をうながす強い力を持っているといわれています。
それはなぜでしょう?
怒りは人間の生存本能ともっとも密接に結びついた感情です。
たとえば、敵に襲われた動物が戦うか逃げるかを選択するときに、その決断をさせるのは怒りの感情によるものです。
つまり、人間は怒りによって動機づけられる本能を持っているのです。
これを勉強に当てはめてみましょう。
何らかの目的や目標に向けて行動する場合、「前回の試験で順位が落ちて悔しい!」とか、「赤点をとって笑われて悔しい!」といった怒り感情が芽生えることがあります。
そういった怒りの感情を無理に消そうとせず、「悔しいからがんばる」という前向きな行動に結びつければ、目標達成に向けた原動力になることでしょう。
ただし、怒りの感情は長持ちしないともいわれています。怒りの感情が芽生えたら、すぐ行動を起こしたほうがよいでしょう。
「哀しみ」を感じたときほど冷静になれる
人は哀しい感情を抱くと、小さなことにもクヨクヨしてしまいがち。
哀しみという感情にはそういうネガティブなイメージがあります。
ですが、その一方で哀しみは細部にまで眼を向けたり、冷静な判断をさせたりすることに役立ちます。
たとえば、あなたがテストで思うような点がとれなかったとします。
哀しみにとらわれたあなたは、しばらくの間「漢字の勉強が足りなかった」「なぜ、あのときにミスをしたのか」「そもそも試験の前日に早く寝てしまったのがいけない」などと後悔します。
脳が哀しみに支配されることによって、ここまで冷静に細部を振り返れるのです。
社会心理学の実験でも、人は哀しんでいるときほど冷静な意思決定ができるという結果が出ています。
たとえば、哀しい気分にひたれるドラマや漫画を味わってから、試験を自分で採点してみたらどうでしょう?
おそらく、いつも以上に冷静に自分の足りないポイントがわかるはずです。
そこで感じた「これがダメだった」という哀しみを、「ということは、こう改善すればいいのだ」という前向きな姿勢に変えましょう。
「喜び」「楽しみ」で集中力アップ!
喜怒哀楽の中の喜び、楽しみという感情は、集中力につながっています。
喜びの感情で生まれた勢いが消えないうちに勉強すると、高い集中状態で勉強することができるのです。
勉強と関係ないことで感じた喜びでも勉強に活かすことができるので、日常生活の中で喜んだときは、すぐ勉強にとりかかりましょう。
また、喜びの感情は人のクリエイティブな力を増幅させるともいわれています。
表現力が必要な小論文を練習するとき、または数学などで発想力が問われるときには喜びの感情が役立つことでしょう。
こうした課題に取り組むときは、勉強の前に楽しい気分になる音楽を聞いたり、漫画を読んだり、動画を見たりするとよいでしょう。
このように喜怒哀楽の感情をうまく利用することで、勉強のパフォーマンスを向上させることができます。
「◯△の感情のせいで勉強が手につかない」、そう感じたときは、その感情が勉強に役立つ局面があることを思い出してください。