知っていそうで、意外と知られていない?色の仕組みと不思議

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はじめに

みなさんは、“色”が私たちの住むこの世界に、様々な影響を及ぼしていることを知っていますか?今、色を使わない産業はほとんどありません。日用品から家具・家電製品など消費者の心に響く“色づかい”、看板・標識など利用者が判断・識別しやすい“色づかい”など、あらゆる物に色の工夫が求められています。
さらには、文化財や芸術作品のデジタルアーカイブ※における高精度な色再現は、文字通り、色褪せず文化を後世に伝える役割も担います。“色”は、経済的、文化的、社会的に重要な存在なのです。
そこで今回は、意外と知らない「色の仕組みと不思議」についてご紹介したいと思います!
※デジタルアーカイブ…有形・無形の文化資源(文化資材・文化的財)等をデジタル化して記録保存を行うこと。

光の具合や周りの色によって色の見え方が変わる

以下の服のイラストを見てみましょう。「明るい場所の青黒」と「暗い場所の白金」どちらも全く違った色に見えると思いますが、実は同じ色なんです。
「明るい場所の青黒」は、服は明るい場所にあるから、実際はもっと暗いだろうと脳が判断し、「暗い場所の白金」は、服は暗い場所になるから、実際はもっと明るいだろうと判断する。それぞれが異なった捉え方で脳内補正をかけてしまい、それによって色が違って見えるという不思議な現象を引き起こしたようです。
その結果、同じ色なのに、全く別の色に見えるのです。

これは、「人が色を見る際にどのように見ているのか」がよくわかる事例です。
私たち人間は、色を見る時に無意識に照明などの光の色を脳内で補正して見ています。
例えば、オレンジ色の光を当てたりんごと青白い光を当てたりんごは、本来なら異なって見えるはずなのですが、私たちはどちらも赤く認識できます。これを「色の恒常性」といいます。物理的な色の波長をそのまま受け取るのではなく、環境に惑わされずに本来の色を見ようとする習性が備わっているのです。

意外な色の正体

草木染めの「桜色」は、どのように色付けされているか知っていますか?桜色というくらいですから「桜の花びら」で染めているかと思いきや、実は「ベニバナ」で染めているそうです。桜の花びらの色が、桜以外の花でつくられていたなんて驚きです。

しかし、もっと驚くのが、人間国宝の志村ふくみさんは、なんと「桜の樹皮」で桜色を再現されているのです。
あの、黒くごつごつした樹皮から、淡い繊細な桜の花びらの色が出るなんて誰が思うでしょうか。しかも、どの樹皮でもいいわけではないそうです。冬を超え、枝につぼみができて、桜の花が咲く直前の桜の樹皮でないと、桜色に染まらないのです。
丁寧にじっくりじっくり煮だしていって、いくつもの工程を経て綺麗な桜色になっていく・・・自然界にもこんなにロマンチックな色の不思議がありました。
(参考文献:「言葉の力」大岡信)

伝統的手法で抽出されたベニバナ色素膜の緑色金属光沢の科学的解明

ベニバナの花の色を集めて作った伝統的な口紅は、薄くつければ鮮やかな赤色に、そして濃く塗れば、光沢を伴う緑色になります。浮世絵の美人画にしばしば見られるように、唇を緑色に光らせる化粧法は江戸時代に流行しました。この現象は、ドイツの哲学者ゲーテの著書にも記述がみられ、昔から洋の東西を問わず広く知られていましたが、今日まで科学的な解明はなされていません。そこで近年、紅の色の不思議さ、緑色の輝きの仕組みを多角的に解明しようと研究をはじめた大学もあります。

その他の研究事例

色に関する研究は、その他にもたくさんあります。「色を再現する原理を簡単に理解できる工作キット『カラーミキサ』」の開発や、「動物や昆虫など他の生物は世界をどう見ているのか」の研究、「医療現場において最適なインテリアの照明や色」の研究、「リアルな色調と質感の画像をディスプレイ画面に再現する『デジタル展示システム』」の研究、「建築物に使える様々な色合いに着色されたカラーコンクリート」の開発など、多くの分野で色に関する研究が進められています。

① 「他のいきものが知覚している世界」についてはこちら
② 「混色教育のためのカラーミキサの開発とアウトリーチ活動」についてはこちら
③ 「医療環境における照明色による介入効果の数値化」についてはこちら
④ 「写真プリントに高質感再現システムの研究」についてはこちら
⑤ 「主要構造部材への適用を目指したカラーコンクリートに関する研究」についてはこちら

色とメディアを研究する東京工芸大学

東京工芸大学は、芸術学部と工学部をもつ、アートとテクノロジーの融合を目指した大学です。両学部は一見、相反するように見えるかもしれませんが、現代社会においては、様々な場面でテクノロジーとアートの融合が進んでいます。そこで、東京工芸大学では、工学部の学生は1年次に写真とデザインを学ぶことで芸術的なセンスを身につけ、芸術学部の学生はメディアアートを通して工学的な技術を身につけられるような学びを提供しています。
また、本学は、文部科学省平成28年度私立大学研究ブランディング事業にも選ばれています。工・芸一体となって、色の科学の基礎や最先端の研究成果を、写真、映像、拡張現実、プロジェクションマッピング、コンピュータグラフィックス、マンガ、ゲーム等のメディアアートの手段を用いて、わかりやすく楽しく情報発信していきます。

工学部

2019年度、工学部は、学科制からコース制へ生まれ変わりました。IoTやAIが浸透し、あらゆる業種と業界が連携したこれからの社会を見据え、新生工学部では、「機械」「電気電子」「情報」「化学・材料」「建築」の5コース全ての学生が情報基礎を学びます。専門的な知識はもちろん情報化社会に対応した創造力、そして自主性と柔軟性を育むフィールドは、学生の将来の可能性を大きく広げることになるでしょう。また、工学部にいながら「写真演習」「デザイン演習」を学べるのは、写真教育をルーツに持ち、芸術学部を併設する本学ならではの強みです。

芸術学部

写真、映像、デザイン、インタラクティブメディア、アニメーション、ゲーム、マンガという7つの学科を持つ芸術学部は、アートとテクノロジーを融合させた「メディア芸術」を学生に教え、才能を開花させることを使命としています。この学部で学ぶことによって、学生たちは自分の好きなことやこだわりを成長につなげ、「メディア芸術」と直結したクリエイティブ産業など、広く社会を支える人材になっていきます。本学では最新設備を擁した環境を整え、最先端の知識を持った教員が指導にあたっています。

おわりに

いかがでしたか?今の時代、アートだけ、テクノロジーだけの学びでは足りません。両方が融合して初めて画期的なアイディアが実現できるのです。特に「色」という領域横断的なテーマにおいては、東京工芸大学の特長である工学部・芸術学部教員の共同研究によって、新技術の開発や新たな表現が生まれることになるかもしれません。あなたも文科省のブランディング事業にも選ばれた東京工芸大学で、“色”の研究を一緒にしてみませんか?
興味を持った方はぜひホームページもみてくださいね!

工学部 詳細はこちら 芸術学部 詳細はこちら 色の科学芸術センター 詳細はこちら
この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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