「英語が話せる」だけでは意味がない?140か国以上を訪れた写真家が語る真の「英語力」とは。

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はじめに

恵泉女学園大学の桃井和馬先生は、世界を飛び回り活躍した元ジャーナリスト&写真家です。これまでに訪れた国はなんと140ヶ国! そんな桃井先生は、「英語力はもちろん大切。しかし重要なのは、前提となる知識や教養、そして英語を使って何をするのかということ」と言います。これからのグローバル社会で必要な本当の教養や英語力について、お話を伺いました。

実際の戦争の原因は違った? 教養が必要だと痛感したワケ

―― 先生はこれまで140ヶ国を見て回られたとのことですが、そもそも小さな頃から勉強が好きだったのですか。

そんなことはありません。むしろじっとしているのが苦手で落ち着きがなく、特に歴史などは年号を意味もなく覚えるのが嫌でたまりませんでした。
転機が訪れたのは大学時代。「年号を覚える必要はない。原因と結果とプロセスを考えるのが学問なのだ」というある先生の言葉に衝撃を受けました。勉強と学問の差を知りましたね。そこで自分のこの目で世界の出来事を見て、現代史の尻尾に触れたいと思ったのが世界各国をまわるきっかけとなりました。そしてそれを可能にしてくれたのが、世界共通語である『英語』だったのです。

―― 歴史が嫌いだったなんてとても意外です。実際に、これまでにどんな国を見てきたのでしょうか。

冷戦の終焉前後から、世界各地の紛争や戦争を本格的に取材し始めました。すると、日本のメディアでは、『宗教・民族紛争』と伝えられていたものとは違う現実が見えてきたのです。戦争の根底にある原因は、領土や食料、水、資源の奪い合いだと理解できました。そしてそれらはすべて地球に存在する『限りあるもの』なのだと気づいたのです。戦争を正当化するために宗教や民族が使われるようになったわけです。戦争の本質には、地球の限りある環境や資源が深く関わっている。それに気づくと「地球環境の悪化は、紛争や戦争の機会を増やす可能性が高い」という未来をも推測できると知ったのです。だからこそ、紛争や戦争を起こさないためにも、今、地球環境を守る必要が出てくるのです。このように背景にある物語から、未来を考える本物の教養が、今、必要になっているのです。

―― 確かに地理や歴史、政治や宗教などを知らなければ、わからないことだと思います。ほかにもそういった例はあるのでしょうか。

今年9月のドイツ連邦議会選挙を前に引退を表明したメルケル首相は、2015年にシリア危機が起きた直後、いち早く難民救護に全力を傾ける決意を示し、実際120万人を受け入れたのです。こうした行動の背景には、生後まもなく牧師である父親に連れられ西ドイツから東ドイツに渡り、父親の仕事現場である『知的障害者施設』で育ったことが深く関係しています。彼女は貧しく弱い立場にある人たちの気持ちを十分に理解できた。それが原動力だったのです。このような知識がなければ、正しく、今起きている出来事を理解することができません。だからこそ、歴史、哲学、宗教といった様々な学問に触れ、身につけ、現実の出来事に向きあうことが大切なのです。

世界にアクセスするには、英語力+教養がとても大切になってくる

―― そういった知識は、英語を勉強して、現地の人と会話をするだけでは身につかないものなのでしょうか。

難しいと思います。むしろ英会話だけなら、今やスマホの翻訳アプリがあれば十分かもしれません。だからこそ、英語力を前提として、相手の文化を理解した上で、どうコミュニケーションをとっていくのか。語学を身につけるだけでなく、そういった姿勢がとても重要になってきます。

―― 教養を身につけるのは、専門的な知識を身につけるよりも重要なことなのでしょうか。

教養は、専門知識の土台となるものです。土台がなければ専門知識は身につきませんし、そもそも重要な情報にはアクセスできません。海外でも、英語を知っているだけで知識がなければすぐに相手に見抜かれて、深くコミュニケーションをとってはくれないでしょう。
今、何が問題となっているのか。なぜそれが起こり、今後どうなっていくのか。こういったことをきちんと理解し考えるために、教養を身につける必要があるのです。それ以前に、教養とは元々古代ギリシャ・ローマから始まった学問で、自分を「自由」にする「技」という意味。生涯、自分が自分らしく生きていくために必要な力だと考えられてきたのです。

語学と語学に必要不可欠な教養。その両方を学べる人文学部英語コミュニケーション学科

―― 恵泉女学園大学の英語コミュニケーション学科では、そうした広い教養をも学ぶことができるのでしょうか。

「英語」+「コミュニケーション」学科は、これからの世界に対応すべく生まれました。たんに「英語ができる」だけでなく、「英語を使って何をするのか」が求められる時代なのです。そうした世界状況を前に、英語力そのものを向上させるだけでなく、相手に自分を伝える力や多文化理解も深め、総合的な英語コミュニケーション力を伸ばしていくのが本学科の特徴です。

―― 先生の授業では、どのようなことをやられているのでしょうか。

例えば写真と文章の授業では、それぞれの学生が撮った写真と文章で、見えない世界を表現します。たとえば、学生が用意した『お母さんが持たせてくれた手作り弁当』の写真のアップに、学生自身が『コロナ禍の今、おかずが一品増えた』と書いた文章が添えられると、写真と文章を通し、『お母さんの愛情』、つまり、見えない気持ちを、見る人は感じることができるでしょう。写真と文章を使って『目に見えない』大切なものを伝える方法を授業で教えているのです。写真で説明していることは文章で表現する必要がありません。写真という二次元の情報と文章を組み合わせることで、ひとつの物語を形作っていくのです。
どうやって印象深く、言葉と視覚で相手に情報を伝えていくか。これも立派なコミュニケーションの訓練です。取り組んでいくうちに、効果的な表現方法に気づいたり、目に見えない背景にスポットライトを当てる大切さなどがわかってきたりします。

―― 面白そうな授業ですね! 恵泉女学園大学についてもぜひ教えてください。

恵泉女学園では、「聖書」「国際」「園芸」を三つの礎にしてきましたが、これは他の大学には見られない特徴です。創立者である河井道先生は、人間の基本的なあり方を学び、広い視野をもつ自立した女性の育成を願って学校を作りました。その言葉の通り、人間の本質について学ぶ、全人格教育と充実した教育体制があり、これまでもたくさんの素晴らしい人材を輩出してきました。

―― 女性としての教養が身につけられる大学なのですね。最後に、受験を控えている高校生にメッセージをお願いします。

本学科は英語力とともに、4年間という時間をかけて教養を学ぶ大学です。「なぜ?」の疑問を持ち続け、自ら見つけた問いを、自らの力で解き続ける。これそこが大学の学問であり、ダイナミズムです。教養は一生の宝物であり本物の財産。ぜひ一緒に学び、一生の役に立つ力を身につけていきましょう。

おわりに

世界を実際に見て回ってきた桃井先生の言葉は、一つひとつが力強く、重みがありました。テクノロジーが発展し、世界に簡単にアクセスできる現代だからこそ英語力、そして本当の意味での教養が必要になってくるはずです。
世界の情勢を正しく理解し、英語以上の力を身につけたい方は、ぜひ英語コミュニケーション学科で学んでみてはいかがでしょうか。

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