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はじめに
<スタプラ×アウトプット大全 vol.1>
参考書をたくさん読んで必死に勉強しているのに、ちっとも頭に入って来ない、せっかく覚えたことをすぐ忘れてしまう…。そんな人はもしかしたら「インプット」ばかりになっていて「アウトプット」が足りていないのかもしれません。
勉強でいうなら、教科書を読むのがインプット。問題集を解く、テストを受けるのがアウトプットです。「最も理想的なのはインプット3:アウトプット7の割合」だと、アウトプットの専門家で精神科医の樺沢紫苑先生は言います。書籍「学びを結果に変える アウトプット大全」の中から「受験生に最も効果的な勉強法」についてご紹介します。
■読んで覚えるよりも、書いて覚えるほうが効果的な理由
「書く」「話す」といった運動神経を使った記憶は、「運動性記憶」と呼ばれます。運動性記憶の特徴は、一度覚えるとその後はほとんど忘れることはないということです。3 年ぶりに自転車に乗ったら乗り方を忘れていた、ということはないはずです。 筋肉や腱を動かすと、その運動は小脳を経て、海馬を経由し、 大脳連合野に蓄積されます。小脳を経由するので、経路が複雑になり、多くの神経細胞が働くことで記憶に残りやすくなる。だから、一度覚えたら忘れにくいという特徴があるのです。通常の教科書を読んで覚える「暗記」は「意味記憶」を使って記憶しますが、意味記憶は覚えにくく、忘れやすいという特徴 があります。そこで「書いて覚える」「声に出して覚える」ようにするだけで、「運動性記憶」として記憶することができるのです。 たとえば、漢字や英単語の場合、いちいち頭で考えなくても、 手が勝手に動くということがあると思いますが、この「体が覚えている」という感覚が「運動性記憶」です。
「apple りんご」と頭の中で読み上げるだけでは、ほとんど記憶に残りません。「apple りんご」と声を出して読み上げながら、紙に「apple りんご」を何度も書く。10 回から 20 回繰り返すと、 かなり記憶に残るはずです。
■2 週間で3回復習すると忘れない
人間の脳は、「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情報」は忘れるようにつくられています。「重要な情報」とは、 インプットしたあとに何度も「使われる情報」です。つまり、インプットしても、その情報を何度も使わないと、すぐに忘れてしまうのです。3日前の夕食は覚えているのに、1ヶ月前の夕食を思い出せないのは、そのせいです。 脳に入力された情報は、「海馬」というところに仮保存されます。その期間は、2 ~ 4 週間です。海馬の仮保存期間中に、その情報が何度も使われると、脳はその情報を「重要な情報」と判断し、「側頭葉」の長期記憶に移動します。一度、側頭葉に記憶されると、その記憶は忘れづらく、長期間覚えていることができます。
だいたいの目安としては、情報の入力から 2 週間で 3 回以上アウトプットすると、長期記憶として残りやすくなるといいます。英単語を一度で暗記できる人はいません。最初に暗記してから、3 回くらい復習して、ようやく記憶できるのです。情報を「話す」「書く」ことで、長期記憶に移動されるのです。
■成績のいい子はテストが終わった後に何をしているのか?
アウトプットしたあと、 次のインプットの前に、絶対に必要なプロセスがあります。それが「フィードバック」です。 フィードバックとは、アウトプットによって得られた結果を評価し、その結果を考慮して、次のインプットに修正を加えるという作業です。
たとえば、試験で問題を間違えた場合。成績のいい子どもは、なぜ間違ったのか原因を調べて、きちんと復習して、自分の弱点を補強し、二度と間違わないように勉強し直します。成績の悪い子どもは、「間違った問題」をほったらかしにします。 結局、次の試験でも同じ間違いを繰り返してしまう。それでは、 成績が上がるはずがありません。アウトプットをしてフィードバックをしないのは、トイレに 行って水を流さないようなもの。せっかくのアウトプットもや りっぱなしでは、成長につながらないのです。
書籍「学びを結果に変える アウトプット大全」の中では、計80の効果的なアウトプット法について解説しています。ぜひ受験勉強にお役立てください。
樺沢紫苑(かばさわしおん)
精神科医、作家
1965 年、札幌生まれ。1991 年、札幌医科大学医学部卒。2004 年からシカゴの イリノイ大学に 3 年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。
月に20冊以上の読書を30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、15万部のベストセラーに。
その他、『いい緊張は能力を 2 倍にする』(文響社)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など、28 冊の著書がある。
公式ブログ http://kabasawa3.com/blog/