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はじめに
<スタプラ×アウトプット大全 vol.4>
参考書をたくさん読んで必死に勉強しているのに、ちっとも頭に入って来ない、せっかく覚えたことをすぐ忘れてしまう…。そんな人はもしかしたら「インプット」ばかりになっていて「アウトプット」が足りていないのかもしれません。
勉強でいうなら、教科書を読むのがインプット。問題集を解く、テストを受けるのがアウトプットです。「最も理想的なのはインプット3:アウトプット7の割合」だと、アウトプットの専門家で精神科医の樺沢紫苑先生は言います。書籍「学びを結果に変える アウトプット大全」の中から「受験生に最も効果的な勉強法」についてご紹介します。
■「暗記3」:「問題集7」が勉強の黄金比
あなたは試験のとき、教科書派ですか??それとも問題集派ですか? 教科書中心、暗記中心の勉強をするのか、それとも問題集や模擬テストなど実践的な勉強をするのか。どちらの勉強がより効率的に記憶できるのでしょうか。
ワシントン大学の研究では、学生に40 個のスワヒリ語の単語を暗記してもらう実験を行いました。入力(記憶)に関して「全問」を記憶し直すのと、「ミスした問のみ」記憶し直すパターン。出力(確認テスト)に関して「全問」をテストするのと、「ミスした問題のみ」テストするパターン。 この組み合わせを 4 つのグループにわけ、単語を記憶してもらい ました。結果は、入力方法の差では違いはなく、出力で常に全問をテストしたグループが高得点をとったのです。
つまり、記憶においては、インプットよりもアウトプットが重要。できるだけたくさんの「問題を解く」ということが、記憶に残すためには重要であることが明らかになりました。教科書や参考書を読むというのは、インプットです。問題集を解く、過去問を解く、模擬試験を受けるというのは、アウトプットです。ただ、教科書を反復して暗記するだけでは、記憶には残りません。
インプットとアウトプットの黄金比は、3対7です。短時間で 教科書を暗記し、その倍の時間を、問題を解くことに振り向ける。これが最も効果的な記憶法、勉強法といえます。
■「人に教える」ことが最強の勉強法
人に「教える」ことは最強の勉強法です。ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記して もらう実験で、最初のグループには、「これが終わったあとにテ ストをしますので、暗記してください」と言います。もうひとつのグループには、「これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶しておいてください」と言います。 同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。その結果、「教えてもらいます」と伝えたグループのほうが高い得点をとったのです。
人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということです。人に教えた経験がある人はわかると思いますが、しっかり理解していないと、人に教えることはできません。友人同士で協力し、自分の得意な分野を教えて、不得意な分野を教えてもらうなどするのはとても効果的です。
■やる気が出ないときは「5分だけ」机に向かう
「なかなか勉強がスタートできない」という人は多いと思います。勉強を瞬時に始める方法があれば、勉強はものすごくはかどるに違いありません。そんな夢のような方法があります。それは、「まず始める」ことです。「なかなか始められないから悩んでいるのに!」とツッコミが入りそうですが、残念ながら「まず始める」しかないのです。
クレペリン検査で有名な精神科医のクレペリンは、「作業を始めてみると、だんだん気分が盛り上がってきてやる気が出てくる」ことを、「作業興奮」と呼びました。最近の脳科学では「作業興奮」のメカニズムが判明しています。 脳に「側坐核」という部位があります。脳のほぼ真ん中あたりに左右対象に存在するリンゴの種ほどの小さな部位です。この側坐核の神経細胞が活動すると、海馬と前頭前野に信号を送り、「やる気」が出て、脳の調子が上がっていきます。しかし、側坐核の神経細胞は、「ある程度の強さ」の刺激がこないと活動を始めません。その必要時間はたったの 5 分です。側坐核は脳の「やる気スイッチ」です。「とりあえず作業を始める」ことで、やる気スイッチがオンになって、側坐核が自己興奮して本格的な「やる気」が出るのです。ですから、やる気を出したいときは、「まず始める」しかない のです。「やるぞ!」と宣言して、簡単な作業からスタート。まず、 5 分だけがんばりましょう。
書籍「学びを結果に変える アウトプット大全」の中では、計80の効果的なアウトプット法について解説しています。ぜひ受験勉強にお役立てください。
樺沢紫苑(かばさわしおん)
精神科医、作家
1965 年、札幌生まれ。1991 年、札幌医科大学医学部卒。2004 年からシカゴの イリノイ大学に 3 年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。
月に20冊以上の読書を30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、15万部のベストセラーに。
その他、『いい緊張は能力を 2 倍にする』(文響社)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など、28 冊の著書がある。
公式ブログ http://kabasawa3.com/blog/